- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- ディ・アイ・システムは下値切り上げ、22年9月期増収増益予想、23年9月期も収益拡大基調
ディ・アイ・システムは下値切り上げ、22年9月期増収増益予想、23年9月期も収益拡大基調
- 2022/10/21 10:21
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ディ・アイ・システム<4421>(東証スタンダード)は独立系のシステムインテグレーターである。大手SIerと長期取引関係を構築し、ワンストップサービスによる高い生産性などを強みとしている。さらなる成長に向けて顧客企業のDX推進を支援するためのサービスの強化・拡充を推進している。22年9月期は増収増益・増配予想(9月16日付で上方修正)としている。DX関連の受注が好調に推移しており、23年9月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上方修正を好感して急伸する場面があったが、その後は買いが続かず、地合い悪化も影響して反落の形となった。ただし下値を着実に切り上げている。好業績を再評価して戻りを試す展開を期待したい。なお11月14日に22年9月期決算発表を予定している。
■独立系のシステムインテグレーター
独立系のシステムインテグレーターである。システムインテグレーション事業(業務用アプリケーション設計開発業務、インフラシステム設計構築業務、運用・保守)を主力として、教育サービス事業(新入社員・中堅技術者向けIT研修サービス)も展開している。連結子会社はアスリーブレインズ、ステップコム(21年10月に子会社化)、ウイーズ・システムズ(22年7月に子会社化)である。
NTTコミュニケーションズなど大手SIerと長期取引関係を構築し、ワンストップサービスによる高い生産性、新卒者継続採用と教育サービスのシナジー効果などを特徴・強みとしている。21年10月には、福岡エリアの案件増加に伴うオフィス環境整備、および福岡エリアにおける採用拠点としての活用を目的として、福岡サテライトオフィス(福岡県福岡市)を開設した。
21年9月期のセグメント別売上高構成比は、システムインテグレーション事業が95%(業務用アプリケーション設計開発業務が41%、インフラシステム設計構築業務が38%、運用・保守が16%)、教育サービス事業が5%(新卒向け研修サービスが4%、中堅向け研修サービスが1%)だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、システムインテグレーション事業が88%、教育サービス事業が12%だった。
システムインテグレーション事業は、顧客の検収が多い第2四半期(1月~3月)および第4四半期(7月~9月)の売上と利益の構成比が高くなる傾向がある。ただし22年9月期から収益認識会計基準を適用しているため、これまでの売上高の四半期変動傾向に若干の影響(主に原価回収基準の影響)が生じる可能性があるとしている。教育サービス事業は毎年4~6月に新入社員向け研修の受注が増加するため、第3四半期(4月~6月)の売上高が拡大する傾向がある。
■DX推進に向けて人材育成・サービス拡充
中期経営計画(21年9月期~23年9月期)の目標数値は、23年9月期の売上高64億07百万円、売上総利益12億93百万円、営業利益3億28百万円、経常利益3億26百万円、親会社株主帰属当期純利益2億19百万円を掲げている。さらに中長期目標として売上高100億円、営業利益10億円(営業利益率10%)を目指すとしている。
経営方針には、人材の確保・育成およびビジネスパートナー拡大、企業のデジタル化やリモート化などキーワードに応じたIT技術の提供、DX推進を背景とするサービス拡充に向けた研究開発・新製品開発、新基幹システム導入による内部管理体制強化、ガバナンス・コンプライアンスの徹底、配当性向25%~30%目標とする株主還元を掲げている。
システムインテグレーション事業では、元請け案件獲得加速(元請け比率20%目標)に向けたビジネスパートナーの拡大とワンストップ体制の確立、大手プレイヤーが希薄な中小規模案件への積極取り組みなどを推進する。なお21年9月期の元請け比率は20年9月期比8.3ポイント上昇して24.6%となった。
教育サービス事業ではリモート研修サービスの体制強化などを推進する。22年8月には「メタバース体験研修」の提供を開始した。
なお22年10月22日開催の企業・学校対抗のプログラミングコンテスト「PG BATTLE 2022」にPrizeスポンサーとして協賛する。
■22年9月期増収増益予想、23年9月期も収益拡大基調
22年9月期連結業績予想(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非記載、損益への影響軽微、9月16日付で上方修正)は、売上高が54億50百万円、営業利益が2億64百万円、経常利益が2億63百万円、親会社株主帰属当期純利益が1億76百万円としている。配当予想(5月13日付で期末1円50銭上方修正、9月16日付で期末1円上方修正)は、21年9月期比2円50銭増配の15円(期末一括)としている。
前回予想に対して売上高を26百万円、営業利益を23百万円、経常利益を23百万円、親会社株主帰属当期純利益を15百万円それぞれ上方修正した。ウイーズ・システムズの子会社化(22年7月)に加えて、機器納品遅れで先送りとなっていた一部案件の検収、教育サービスにおいて22年8月に開始したメタバース体験研修も寄与するなど、グループ全体でDX関連の受注が好調に推移している。収益認識会計基準適用前の21年9月期実績との単純比較で増減率を算出すると売上高は17.1%増収、営業利益は29.4%増益、経常利益は27.1%増益、親会社株主帰属当期純利益は18.1%増益となる。
なお第3四半期累計連は売上高が39億97百万円、営業利益が2億07百万円、経常利益が2億06百万円、親会社株主帰属四半期純利益が1億30百万円だった。主力のシステムインテグレーション事業が顧客獲得や既存顧客との取引拡大、さらにエンジニア工数の効率的な稼働などで概ね順調に推移した。
収益認識会計基準適用の影響額としては、従来方法に比べて売上高が53百万円増加、売上原価が50百万円増加、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ3百万円増加しているが、影響は軽微である。収益認識会計基準適用前の前年同期(売上高34億78百万円、営業利益2億26百万円、経常利益2億28百万円、親会社株主帰属四半期純利益1億55百万円)との単純比較では、一部案件の第4四半期への先送り、人件費の増加、コロナ禍緩和に伴う出張費・会議費の増加、M&Aに伴う支払手数料の発生などの影響で減益だった。
システムインテグレーション事業は、売上高が14.8%増の37億440百万円(業務用アプリケーション設計開発業務が0.5%増の15億46百万円、インフラシステム設計構築業務が16.0%増の15億64百万円、運用・保守が69.5%増の6億28百万円)で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が10.7%増の7億38百万円だった。教育サービス事業は売上高が17.5%増の2億57百万円(新卒向け研修サービスが22.3%増の2億38百万円、中堅向け研修サービスが20.1%減の19百万円)で、セグメント利益が26.6%増の98百万円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が12億07百万円で営業利益が33百万円、第2四半期は売上高が13億40百万円で営業利益が1億54百万円、第3四半期は売上高が14億50百万円で営業利益が20百万円だった。なお四半期変動の季節要因として、システムインテグレーション事業は顧客企業の決算月となる第2四半期(1月~3月)および第4四半期(7月~9月)の構成比が高くなる傾向がある。教育サービス事業は新入社員向け研修の受注で、第3四半期(4月~6月)の売上高が増加する傾向がある。
DX関連の受注が好調に推移しており、23年9月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は下値切り上げ
株価は上方修正を好感して急伸する場面があったが、その後は買いが続かず、地合い悪化も影響して反落の形となった。ただし下値を着実に切り上げている。好業績を再評価して戻りを試す展開を期待したい。10月20日の終値は741円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS60円21銭で算出)は約12倍、前期推定配当利回り(会社予想の15円で算出)は約2.0%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS347円71銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約23億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)