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ピックルスホールディングスは反発の動き、23年2月期減益予想だが24年2月期収益回復期待
- 2022/10/31 10:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ピックルスホールディングス<2935>(東証プライム、ピックルスコーポレーションが株式移転で設立した持株会社が22年9月1日付で新規上場)は、漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」のブランド力が向上し、野菜・発酵・健康の総合メーカーを目指して、EC・外食・小売・農業領域への展開も推進している。23年2月期は巣ごもり需要の反動減やインフレに伴う消費者の節約志向などの影響で実質減収となり、包装材費や光熱費の高騰なども影響して減益予想としている。積極的な事業展開で24年2月期の収益回復を期待したい。株価は持株会社へ移行後の安値を更新する展開だったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■22年9月1日付で持株会社が上場
ピックルスコーポレーションが株式移転で設立した持株会社ピックルスホールディングスが22年9月1日付で東証プライム市場に上場(完全子会社となったピックルスコーポレーションは22年8月30日付で上場廃止)した。グループ経営の戦略立案機能を強化し、グループ内における経営資源の配分を最適化する。
なお子会社ピックルスコーポレーションが保有している関係会社管理事業および財務管理事業に属する権利義務を、会社分割の方式で持株会社ピックルスホールディングスに承継(効力発生日22年12月1日予定)する。
■漬物製品の最大手で「ご飯がススム キムチ」ブランド力向上
漬物・キムチ製品の最大手である。主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズのブランド力が向上し、さらに野菜・発酵・健康の総合メーカーを目指してEC・外食・小売・農業領域への展開も推進している。
22年2月期の品目別売上構成比は製品65.8%(浅漬・キムチ41.9%、惣菜22.8%、ふる漬1.1%)および商品(漬物、調味料、その他)34.2%、販路別売上構成比は量販店・問屋等74.5%、コンビニ16.7%、外食・その他8.8%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。収益面の特性としては、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。
■成長戦略として新規事業も推進
中期経営目標値(収益認識会計基準適用後)として、25年2月期売上高420億円(浅漬・キムチ176億63百万円、惣菜101億21百万円、ふる漬4億87百万円、商品137億28百万円)、営業利益26億円、経常利益27億30百万円、親会社株主帰属当期純利益18億30百万円を掲げている。設備投資は23年2月期からの3年間で合計60億円を計画している。24年2月期には関東でのキムチ専用工場、25年2月期には関西での工場新築を検討している。
成長戦略として、製品開発の強化(キムチ製品、惣菜、ドライ商品、調味料)、販売エリアの拡大(特に西日本エリアでの販売拡大)、販売先の拡大(ドラッグストア、量販店、配食事業など)、新規事業(ECサイト、ピーネコーポレーション、BtoC事業、農業事業など)を推進している。
製品開発の強化では、主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズの新製品、成長分野である惣菜製品の開発に注力する。10月19日には、独自の植物性乳酸菌Pne-12(ピーネ12)とフラクトオリゴ糖を配合し、BMIが高めの方の体脂肪を減らす機能性表示食品「旨辛キムチ」の販売を開始した。
販売エリアの拡大では全国ネットワークを活かした営業戦略を推進し、特に西日本エリアでの販売拡大に注力する。販売先の拡大では既存分野以外の売場への商品展開を推進する。
新規事業のECサイトについては18年4月に、ピーネ12乳酸菌活用した商品のECサイト「Piene」と、国産・化学調味料不使用にこだわった漬物のECサイト「八幡屋」を開設した。19年4月にはピーネ関連製品を製造する新工場が完成した。さらに「Piene」と「八幡屋」を統合してECサイトをリニューアル予定である。
またグループ商品を活用してBtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月に運営子会社OHが、埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。日本の伝統的な食文化「発酵」を発信していく。
20年9月には地球環境に配慮し、浅漬用に植物由来原料の容器を導入して軽量化と省資源化を図ると発表した。21年1月には浅漬製品のブランドリニューアルを発表した。パッケージデザインを刷新するとともに、包装パッケージに使用するインキを植物性バイオマスインキに順次切り替えて環境負荷低減も推進する。22年2月には「ご飯がススム キムチ」シリーズの「ご飯がススム辛口キムチ」と「ご飯がススムカクテキ」をリニューアル発売し、包装パッケージ印刷に使用するインキも植物性バイオマスインキに切り替えた。
22年3月には子会社ピックルスファームを設立し、埼玉県内で農業事業を開始した。所沢工場向けの小松菜や「OH!!!」向けのさつまいもを生産する。野菜の生産に関わることで安全・安心な原料野菜を継続的に調達するとともに、農業を通じた雇用創出や地域活性化にも貢献することを目指す。
■23年2月期減益予想だが24年2月期収益回復期待
23年2月期連結業績予想(22年9月27日付で下方修正)は、売上高が400億円(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非記載、旧基準の22年2月期のピックルスコーポレーションの実績は450億06百万円、営業利益以下への影響は軽微)で、営業利益が22年2月期のピックルスコーポレーションの実績との比較で38.8%減の18億円、経常利益が37.7%減の19億10百万円、親会社株主帰属当期純利益が40.3%減の12億70百万円としている。配当予想は22年2月期と同額の20円(期末一括)としている。
第2四半期累計(22年8月30日付で上場廃止の子会社ピックルスコーポレーションの連結業績)は、売上高が213億08百万円(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非記載、旧基準の前年同期は244億23百万円)で、営業利益が前年同期比47.5%減の11億71百万円、経常利益が46.6%減の12億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が49.0%減の8億31百万円だった。
収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が13億50百万円減少、売上原価が36百万円減少、販管費が13億31百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ17百万円増加している。
売上面は、収益認識会計基準適用の影響、巣ごもり需要の落ち着きによる反動減、インフレに伴う消費者の節約志向の影響などで実質減収となり、利益面は、原料の野菜価格が安定的に推移し、生産効率向上も推進したが、減収影響に加えて、調味料や包装材などの原材料費、光熱費、物流費の高騰の影響などで減益だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が105億17百万円で営業利益が6億72百万円、第2四半期は売上高が107億91百万円で営業利益が4億99百万円だった。
通期予想は前回予想に対して売上高を7億円、営業利益を7億円、経常利益を7億20百万円、親会社株主帰属当期純利益を4億90百万円、それぞれ下方修正した。収益認識会計基準適用の影響、巣ごもり需要の落ち着きによる反動減、インフレに伴う消費者の節約志向の影響などで実質減収となり、利益面は減収影響に加えて、調味料や包装材などの原材料費、光熱費、物流費の高騰の影響などで前回予想を下回る見込みだ。
品目別売上高は製品が268億40百万円(浅漬・キムチが163億60百万円、惣菜が100億円、ふる漬が4億80百万円)で商品が131億60百万円、販路別売上高は量販店・問屋等が306億円、コンビニが59億40百万円、外食・その他が34億60百万円の計画としている。
23年2月期は減益予想だが、積極的な事業展開で24年2月期の収益回復を期待したい。
■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象
株主優待制度は毎年2月末時点の100株(1単元)以上保有株主を対象として、商品詰め合わせセットなど(数種類から1点選択、詳細は会社HP参照)を贈呈する。なお21年9月1日付け株式2分割後も100株(1単元)以上を対象として実施しているため、実質的に株主優待制度の大幅拡充となっている。
■株価は反発の動き
株価は持株会社へ移行後の安値を更新する展開だったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。10月28日の終値は1053円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS98円77銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(ピックルスコーポレーションの前期実績の連結BPS1288円57銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約135億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)