シナネンホールディングスは23年3月期2Q累計営業赤字拡大だが通期営業利益横ばい予想据え置き
- 2022/11/1 10:25
- 決算発表記事情報
(決算速報)
シナネンホールディングス<8132>(東証プライム)は10月31日の取引時間終了後に23年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上面は販売単価上昇などで大幅増収だった。利益面は石油類で差益を確保したが、LPガスや電力の売上総利益悪化、IT関連投資や人件費の増加などで営業赤字が拡大した。ただし通期営業利益横ばい予想を据え置いた。IT関連投資が減益要因となるが、仕入価格上昇分の販売価格への転嫁やシェアサイクル事業の利益貢献などで吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は年初来高値圏で堅調だ。23年3月期営業利益横ばい予想を織り込み済みであり、第2四半期累計の営業赤字に対するネガティブ反応も限定的だろう。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
■23年3月期2Q累計営業赤字拡大だが通期営業利益横ばい予想据え置き
10月31日に発表した23年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比39.0%増の1397億40百万円、営業利益が8億20百万円の赤字(前年同期は42百万円の赤字)、経常利益が4億25百万円の赤字(同3億23百万円の黒字)だった。親会社株主帰属四半期純利益は特別利益計上で11.8倍の8億52百万円だった。
売上面は、原油価格やプロパンCPの高騰に伴う販売単価上昇などで大幅増収だった。利益面は、石油類で差益を確保したが、LPガスや電力の売上総利益悪化、IT関連投資や人件費の増加などで営業赤字が拡大した。なお特別利益に固定資産売却益23億50百万円を計上、特別損失に韓国の大型陸上風力発電事業に関するのれん償却4億26百万円(株式を再評価してのれん残高を一括償却)を計上した。
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)は、平均気温が平年と比べて高く推移したためLPガス・灯油の販売数量が減少したが、原油価格やプロパンCPの高騰に伴って販売単価が上昇して増収だった。利益面はLPガスや電力の総利益悪化により減益だった。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)は、主力の石油事業においてBtoC事業と同様に販売単価が大幅に上昇し、販売数量も増加した。利益面は、電力販売における調達コストが上昇したが、石油事業において原油市況変動に対応した仕入施策で差益を確保し、全体として増益だった。
非エネルギー事業では、シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS)や環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク)が順調だったが、自転車事業(シナネンサイクル)の自転車販売が想定以上の環境変化、抗菌事業(シナネンゼオミック)が需要一服により収益悪化した。システム事業(ミノス)は電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS)が伸長した。建物維持管理事業(タカラビルメンなど)は運営エリア拡大などで増収だが、今期受託開始した大型物件の立ち上げに伴う一時的経費の影響で減益だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が711億94百万円で営業利益が50百万円の赤字、第2四半期は売上高が685億46百万円で営業利益が7億70百万円の赤字だった。
通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比7.1%増の3100億円、営業利益が0.8%増の25億円、経常利益が14.4%減の28億円、親会社株主帰属当期純利益が16.6%増の29億円としている。配当予想は22年3月期と同額の75円(期末一括)としている。
売上面は現状の原油価格・プロパンCPの水準を前提として増収を見込んでいる。利益面は、経営基盤整備に向けたIT関連投資推進が減益要因となるが、仕入価格上昇分の販売価格への転嫁やシェアサイクル事業の利益貢献などで吸収して、営業利益横ばい予想としている。経常利益はデリバティブ評価益減少などで減益予想、親会社株主帰属当期純利益は固定資産売却益計上で増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は上値試す
株価は年初来高値圏で堅調だ。23年3月期営業利益横ばい予想を織り込み済みであり、第2四半期累計の営業赤字に対するネガティブ反応も限定的だろう。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月31日の終値は4065円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS265円64銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の75円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4922円46銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約530億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)