【株式市場特集】7~8月に続いて10月以降に業績再上方修正に踏み切った電炉株に注目
- 2022/11/7 08:58
- 特集
今週の特集は、業績を上方修正し価格転嫁力の強さを示唆した鉄鋼関連株と追随する鉄鋼専門商社株にフォーカスすることにした。ただしこの鉄鋼関連株は、注意が必要である。というのも同じ鉄鋼株でも日本冶金工業<5480>(東証プライム)のようにストップ高を演じた銘柄がある一方で、今期業績を再上方修正したものの第2四半期業績が、前回の上方修正値を下ぶれて売られた東京製鉄<5423>(東証プライム)や一転して前回の上方修正値を下方修正して株価が急落した共英製鋼<5440>(東証プライム)や大阪製鉄<5449>(東証スタンダード)のケースもあったからだ。
「森を見ずに木を見る」相場セオリーは、さらに「木の枝ぶりも見極める」厳選は不可欠となる。そこで注目は、今年7月~8月に続いてこの10月以降に業績の再上方修正に踏み切った電炉株である。原材料の鉄スクラップ価格が、中国景気の動向次第ではさらに下ぶれるかもしれない潜在材料もある。鉄鋼専門商社株ともどもPERは1ケタ台、増配により配当利回りも大きく市場平均を上回り、それぞれ低PER・高配当利回りランキングの上位にランクされおり、超出遅れ修正は想定範囲内となる。
■低PER・高配当利回りランクの上位に顔を並べ利回り6.5%のバリュー株も
この10月、11月に業績を再上方修正した電炉株は、大和工業<5444>(東証プライム)、大同特殊鋼<5471>(東証プライム)と続き、今年8月に初開示した今期業績を上方修正したのが合同製鉄<5410>(東証プライム)、中部鋼鈑<5461>(名証プレミア)、山陽特殊製鋼<5481>(東証プライム)、愛知製鋼<5482>(東証プライム)で、このほとんどが業績修正とともに今期配当の増配を発表した。PERは23倍の愛知製鋼を例外に4倍~7倍、PBRは0.2倍~0.6倍に集中して、東証プライム市場の低PERランキングでは、合同製鉄が第27位、大和工業が第39位にランクインしている。年間配当利回りも、大幅復配の合同製鉄が、6.5%でランキング18位、増配の大和工業も6.4%で19位に位置するだけに「木を見て枝ぶりまで見極める」個別株物色の好ターゲットとなるはずである。
このほか今年8月に今期業績を上方修正した中山製鋼所<5408>(東証プライム)、メタルアート<5644>(東証スタンダード)の今後の第2四半期決算発表動向などが要注目となる。電炉周辺株では耐火物の黒崎播磨<5352>(東証プライム)が業績再上方修正組で、構内作業の山九<9065>(東証プライム)は、今期業績を上方修正し配当も増配予定である。
■鉄鋼商社株は年初来高値銘柄も多いがなおPER3倍、PBR0.4倍銘柄も
鉄鋼専門商社でも、神鋼商事<8075>(東証プライム)とUEX<9888>(東証スタンダード)が今期業績を2回上方修正済みで、カノークス<8076>(名証メイン)も、10月に今3月期業績を上方修正した。また今年8月に今期業績を上方修正した阪和興業<8078>(東証プライム)の11月10日発表予定の今期第2四半期決算や今年9月に今期純利益を上方修正した佐藤商事<8065>(東証プライム)の11月8日の決算発表は要マークとなる。このほか小野建<7414>(東証プライム)、日鉄物産<9810>(東証プライム)なども外せない。
年初来高値水準にある銘柄も多いが、それでもPBRは0.4倍~0.7倍、PERは3倍~6倍と超割安で、東証プライム市場の低PERランニングでは阪和興業が14位、佐藤商事が33位、神鋼商事が35位にランクインする。年間配当利回りも、増配予定のカノークスが7.4%で、神鋼商事の6.9%は東証プライム市場のランキング12位に位置しバリュー株の宝庫となっている。さらなる上値期待が高まろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)