TACは23年3月期2Q累計減益だが、通期の大幅営業・経常増益予想据え置き
- 2022/11/8 09:36
- 決算発表記事情報
(決算速報)
TAC<4319>(東証スタンダード)は11月7日の取引時間終了後に23年3月期第2四半期累計の連結業績を発表した。法人研修事業は堅調だったが、個人教育事業においてコロナ禍の影響が残り、出版事業における巣ごもり需要の減少も影響して減収減益だった。ただし通期の大幅営業・経常増益予想を据え置いた。生活様式の多様化への対応などの取り組みを推進する方針だ。通期ベースでは、積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は反発力が鈍く年初来安値圏だが調整一巡感を強めている。目先的には第2四半期累計業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。
■23年3月期2Q累計減益だが、通期の大幅営業・経常増益予想据え置き
23年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が前年同期比3.5%減の107億62百万円、営業利益が15.2%減の9億41百万円、経常利益が19.9%減の9億25百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が20.7%減の6億14百万円だった。法人研修事業は堅調だったが、個人教育事業においてコロナ禍の影響が残り、出版事業における巣ごもり需要の減少も影響して減収減益だった。なお同社が重視している現金ベース売上高は5.2%減の104億19百万円だった。
個人教育事業は現金ベース売上高が7.8%減の56億32百万円で、現金ベース営業利益が22百万円の赤字(前年同期は2億35百万円の黒字)だった。コロナ禍も影響して、学生を主な受講生とする講座(公認会計士講座など)の申し込み状況が低調だった。営業費用は3.8%減少したが減収影響をカバーできず赤字だった。
法人研修事業は現金ベース売上高が2.7%増の23億67百万円で、現金ベース営業利益が0.9%増の6億18百万円だった。企業のDX推進と相俟って研修需要が堅調に推移し、WEB会議システムを利用したオンライン研修需要が定着したことも寄与した。営業費用は3.3%増加したが増収効果で吸収した。
なお受講者数は個人受講者が4.9%減の7万4422人、法人受講者が3.8%減の5万1127人、合計が4.5%減の12万5549人だった。個人・法人合計の講座別には、情報処理講座が29.9%増、公務員講座が26.9%増、マンション管理士講座が6.9%増と増加した一方で、簿記検定講座が20.3%減、宅地建物取引士講座が13.4%減、FP講座が18.2%減と減少した。
出版事業(TAC出版、W出版)は売上高が7.6%減の21億30百万円、営業利益が10.1%減の5億87百万円だった。巣ごもり需要が一巡して減収だった。営業費用は6.6%減少したが、減収影響をカバーできず減益だった。人材事業は売上高が4.4%増の3億15百万円で営業利益が11.9%増の82百万円だった。会計系人材紹介、医療系人材紹介が順調だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が55億75百万円で営業利益が5億49百万円、第2四半期は売上高が51億87百万円で営業利益が3億92百万円だった。利益は期前半に集中し、下期は赤字となる収益特性がある。
通期連結業績予想は据え置いて売上高(前受金調整後の発生ベース売上高)が22年3月期比0.1%減の204億50百万円、営業利益が57.3%増の6億50百万円、経常利益が37.4%増の6億08百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が10.1%減の4億円としている。配当予想は22年3月期と同額の6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。
親会社株主帰属当期純利益は特別利益が剥落して減益予想だが、生活様式の多様化への対応、個人教育事業の早期回復、新たな事業領域への挑戦を中心とした施策に取り組んで大幅営業・経常増益予想としている。第2四半期累計は減益だったが、通期ベースでは積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は反発力が鈍く年初来安値圏だが調整一巡感を強めている。目先的には第2四半期累計業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが下値限定的だろう。11月7日の終値は207円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS21円62銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の6円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS333円22銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約38億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)