アルコニックスは23年3月期2Q累計営業・経常利益横ばい、通期減益予想据え置き
- 2022/11/9 09:12
- 決算発表記事情報
(決算速報)
アルコニックス<3036>(東証プライム)は11月8日の取引時間中に23年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上面は取扱数量増加や市況上昇効果で大幅増収だが、利益面はスマートフォン需要減速や自動車減産の影響、円安に伴う仕入・調達コスト上昇、新規連結に伴う販管費の増加などで営業・経常利益横ばいだった。そして通期の減益予想を据え置いた。ただし第2四半期累計の進捗率が高水準だったことを勘案すれば、通期会社予想は上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は第2四半期累計業績を嫌気する動きとなったが、指標面の割安感を評価すれば下値限定的だろう。目先的な売り一巡して出直りを期待したい。
■23年3月期2Q累計営業・経常利益横ばい、通期減益予想据え置き
23年3月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比23.7%増の922億14百万円、営業利益が1.1%増の56億82百万円、経常利益が0.7%増の61億05百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が8.5%減の41億41百万円だった。
売上面は取扱数量増加や市況上昇効果で大幅増収だが、利益面はスマートフォン需要減速や自動車減産の影響、円安に伴う仕入・調達コスト上昇、新規連結(ジュピター工業の損益を第2四半期から取り込み)に伴う販管費の増加などで営業・経常利益横ばいだった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は1億17百万円、今期は32百万円)したが、デリバティブ評価益が増加(前年同期は1億11百万円、今期は3億22百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前年同期は2億68百万円、今期は87百万円)したが、負ののれん発生益1億84百万円を計上した。
セグメント別利益(経常利益)は、商社流通の電子機能材が32.5%増の25億69百万円、商社流通のアルミ銅が21.7%減の11億47百万円、製造の装置材料が38.3%増の10億21百万円、製造の金属加工が26.3%減の14億01百万円だった。
商社流通の電子機能材は、二次電池材料が減少したが、電子部品や半導体材料向けを中心にニッケル製品の取扱高が増加し、レアメタル・レアアースの市況上昇も寄与した。商社流通のアルミ銅は、製品分野でアルミ圧延品や伸銅品が増加したが、自動車減産の影響で原料分野の銅・アルミスクラップおよびアルミ再生塊の取扱数量が減少した。製造の装置材料は、材料分野のカーボンブラシや装置分野の非破壊検査などが減少したが、材料分野で米国および中国のめっき材料の出荷が大幅に増加した。製造の金属加工は、金属精密加工部品が堅調だったが、半導体実装装置向け精密切削加工部品がスマートフォン向け需要の冷え込みで低調となり、金属精密プレス部品も自動車減産の影響で低調だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が468億37百万円、営業利益が39億31百万円、経常利益が42億51百万円、第2四半期は売上高が453億77百万円、営業利益が17億51百万円、経常利益が18億54百万円だった。
通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比8.8%増の1700億円、営業利益が17.4%減の91億円、経常利益が18.3%減の90億円、親会社株主に帰属する当期純利益が9.4%減の68億円としている。配当予想は22年3月期と同額の52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。
セグメント別利益(経常利益)計画は商社流通の電子機能材が34.5%減の28億円、商社流通のアルミ銅が41.0%減の12億円、製造の装置材料が3.7%減の12億円、製造の金属加工が10.2%増の38億円としている。
23年3月期は、コロナ禍や地政学リスクに起因する物流の混乱、原材料の供給不足などによる生産・出荷の一時的な落ち込みなど、事業環境の不透明感を考慮して期初時点で減益予想としている。そして通期予想を据え置いた。ただし通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が54.2%、営業利益が62.4%、経常利益が67.8%、親会社株主に帰属する当期純利益が60.9%と高水準だったことを勘案すれば、通期会社予想は上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は目先的な売り一巡
株価は第2四半期累計業績を嫌気する動きとなったが、指標面の割安感を評価すれば下値限定的だろう。目先的な売り一巡して出直りを期待したい。11月8日の終値は1300円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS226円14銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の52円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1889円53銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約403億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)