加賀電子は23年3月期通期業績予想を上方修正(2回目)して配当予想も上方修正、通期業績予想は3回目の上振れの可能性
- 2022/11/9 09:12
- 決算発表記事情報
(決算速報)
加賀電子<8154>(東証プライム)は11月8日の取引時間終了後に23年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。主力の電子部品事業が伸長して大幅増収となり、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上も寄与して大幅増益だった。そして通期業績予想を上方修正(2回目)し、配当予想も上方修正した。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値更新の展開だ。指標面の割安感は依然として強い。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■23年3月期通期業績予想を上方修正(2回目)して配当予想も上方修正
11月8日発表した23年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比34.0%増の2987億60百万円、営業利益が2.2倍の183億61百万円、経常利益が2.2倍の189億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の134億12百万円だった。
売上面は、電子部品事業が自動車や産業機器関連を中心に広範な分野で伸長して大幅増収となった。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。利益面は、大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.2ポイント上昇)も寄与して大幅増益だった。売上高、各利益とも第2四半期累計として過去最高だった。なお社内計画に対して売上高は237億円、営業利益は48億円上振れて着地したとしている。
電子部品事業は、売上高が38.1%増の2684億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.3倍の166億17百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルにおいても、PMI(企業買収後の統合プロセス)が進捗して貢献した。EMSビジネスでは、車載関連や医療機器関連を中心に主要顧客向け販売が伸長した。
情報機器事業は売上高が4.7%増の195億97百万円、利益が6.0%増の9億65百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調に推移し、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が5.6%増の13億07百万円、利益が95百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。ゲーム制作やCG制作の新規案件の受注が増加した。その他事業は売上高が8.6%増の93億92百万円、利益が2.1倍の6億58百万円だった。リサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円だった。
通期の連結業績予想は、11月8日付で上方修正(8月4日付に続いて2回目)して、売上高が22年3月期比15.0%増の5700億円、営業利益が33.9%増の280億円、経常利益が35.2%増の290億円、親会社株主帰属当期純利益が29.9%増の200億円とした。配当予想は11月8日付で第2四半期末30円、期末20円、合計50円上方修正して、22年3月期比80円増配の200円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末100円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当20円)とした。
通期連結業績予想は前回予想(8月4日付上方修正値)に対して、売上高を300億円、営業利益を40億円、経常利益を45億円、親会社株主帰属当期純利益を40億円、それぞれ上方修正した。半導体市況、新型コロナ、ウクライナ情勢、為替変動などの不透明感を考慮して、第2四半期累計時点の上振れを反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた。
修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が16.9%増の5070億円(前回予想は4770億円)で利益が37.0%増の248億円(同213億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が2億円の黒字(同1億円の黒字、22年3月期は26百万円の赤字)、その他の売上高が2.1%増の200億円で利益が59.7%増の10億円(同6億円)としている。
修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.4%、営業利益が65.6%、経常利益が65.3%、親会社株主帰属当期純利益が67.1%となる。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は上場来高値更新の展開だ。指標面の割安感は依然として強い。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月8日の終値は4525円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS761円70銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の200円で算出)は約4.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約1299億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)