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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】テラスカイは急伸後の日柄調整局面だが、中期成長力を評価する流れに変化なし
- 2015/8/4 08:51
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
テラスカイ<3915>(東マ)はクラウド分野に特化してシステム導入コンサルティング・受託開発のソリューション事業を主力としている。株価は7月14日高値2万4650円から反落して8月3日の1万6110円まで調整した。第1四半期(3月~5月)業績発表で一旦は好材料出尽くしとして利益確定売りが優勢になり日柄調整局面のようだ。ただし中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。流動性向上に向けて株式分割期待も高まる。
■クラウド分野のシステム導入コンサルティング・受託開発が主力
06年3月設立(社名ヘッド・ソリューションズ)、07年2月現テラスカイに社名変更、15年4月東証マザーズに新規上場した。
クラウド分野に特化して、企業向けクラウドシステム導入コンサルティング・受託開発のソリューション事業、および製品を開発・販売する製品事業を展開している。15年2月期の売上高は14年2月期比49.1%増の16億39百万円、売上構成比はソリューション事業75.1%、製品事業24.9%だった。
■クラウド世界大手の米セールスフォース・ドットコム社と提携
10年9月NTTソフトウェアと資本業務提携、12年8月米国カリフォルニア州に子会社TerraSky Incを設立、13年9月サーバーワークスと資本業務提携、14年5月クラウドに特化したMSP事業(企業が保有するサーバやネットワークの運用・監視・保守などを請け負う事業)の新会社スカイ365を設立、14年10月米セールスフォース・ドットコム社と資本提携した。
ソリューション事業では、セールスフォースを中心としたシステムの導入・保守、業務コンサルティングや企業システムのグランドデザインなどシステムコンサルティングの提供、クラウドによるERPシステムの導入・開発・保守など、クラウドを活用した最適なシステム開発支援および受託開発を行っている。
製品事業ではクラウドに特化したサービスおよび製品の開発・販売を行っている。セールスフォースの画面を自由にユーザー自身でデザインできるSaaS型画面作成サービス「SkyVisualEditor」、クラウドサービス間や社内システムとのデータ連携をノンプログラミングで提供するシステム連携サービス「SkyOnDemand」、セールスフォースに特化したシステム連携ソフトウェア「DCSpider」の開発・販売を中心として、セールスフォースのライセンス販売や、クラウドシステムと親和性の高いサービスの紹介・仕入販売も行っている。
クラウド世界大手の米セールスフォース・ドットコム社が主催する4つの認定資格の国内合格者が1番多く所属している(15年3月1日時点)という技術力が強みで、クラウド世代のリーディングカンパニーとして業種業態を問わず1800件超という豊富なクラウド導入実績を誇っている。15年3月には日経BP社「クラウドランキング」パブリッククラウド導入支援サービス部門において6回連続でベストサービスに選出された。
■中期成長に向けてクラウド業界における「パラダイムシフトの勝者」目指す
中期成長に向けて、クラウド業界における「パラダイムシフトの勝者」を目指し、ハイブリッドクラウド事業への積極的投資、クラウドに特化したMSP(企業が保有するサーバやネットワークの運用・監視・保守などを請け負う事業)市場の確立、クラウドERP市場の創造と収益化、グローバルマーケットへの進出、IoTへの取り組みなどを推進する方針だ。
ハイブリッドクラウド戦略では、各クラウドサービスの適材適所を組み合わせた「ハイブリッドクラウドソリューション」の提供を目的として戦略的提携を推進する。なお14年5月にはサーバーワークスと共同で、クラウドに特化した運用支援サービスを専業体制で提供する新会社スカイ365を設立した。
■16年2月期は大幅増収増益予想
今期(16年2月期)の連結業績予想(4月30日公表)は、売上高が前期比40.5%増の23億04百万円、営業利益が同19.7%増の1億92百万円、経常利益が同14.0%増の1億76百万円、純利益が同29.4%増の93百万円としている。配当予想は無配継続としている。
セグメント別売上高の計画はソリューション事業が同40.6%増の17億31百万円、製品事業が同40.5%増の5億72百万円としている。
ソリューション事業では、大企業向けのシステム開発案件を中心として10百万円超の大型案件が増加し、10百万円以下の案件も既存顧客の改修ニーズが増加する。製品事業ではセールスフォースの利用拡大に伴って当社製品の利用も拡大し、米国市場での当社製品の認知度向上効果も寄与する。
売上原価ではシステム開発および製品開発に伴う労務費・外注費の増加、販管費および営業外費用では人件費の増加、事務所移転に伴う賃借料の増加、株式公開費用の発生があるが、増収効果で吸収して大幅増収増益予想だ。
7月14日に発表した第1四半期(3月~5月)の連結業績は、売上高が5億30百万円、営業利益が42百万円、経常利益が29百万円、純利益が16百万円だった。セグメント別売上高はソリューション事業が4億06百万円、製品事業が1億23百万円だった。
ソリューション事業では受託開発案件および保守案件の件数が増加した。製品事業では契約社数が増加し、契約金額も伸長した。米国子会社の収益改善も寄与した。
通期予想に対する進捗率は売上高23.0%、営業利益21.9%、経常利益16.5%、純利益17.2%である。通期予想に対してはやや低水準の形だが、期初時点で下期偏重の計画である。
そして第2四半期累計(3月~8月)に対する進捗率は売上高50.2%、営業利益75.0%、経常利益59.2%、84.2%と高水準である。16年2月期は通期ベースで増収増益基調であり、増額余地もありそうだ。
総務省「平成25年版情報通信白書」によると、法人向けクラウドサービスの世界市場規模は10年の約410億ドルから16年には約1080億ドルに成長すると予測されている。またMM総研「国内クラウドサービス需要動向」によると、15年度の市場規模は13年度比2.9倍の1兆8000億円規模に拡大すると予測している。クラウド市場の成長も追い風として、中期的に収益拡大基調だろう。
■株価は急伸後の利益確定売りだが、中期成長力を評価する流れに変化なし
株価の動き(初値5月1日7650円)を見ると、IPO後の1万4000円~1万8000円近辺でのモミ合いから上放れて7月14日の上場来高値2万4650円まで急伸したが、その後は反落して8月3日に1万6110円まで調整した。
好業績期待で事前に急伸して過熱感を強めていたこともあり、第1四半期業績の発表で一旦は好材料出尽くしとして利益確定売りが優勢になったようだ。日柄調整局面だろう。
8月3日の終値1万6330円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想の連結EPS68円15銭で算出)は240倍近辺、実績PBR(16年2月期第1四半期末のBPS574円34銭で算出)は28倍近辺である。
日足チャートで見ると一旦25日移動平均線を割り込み、IPO後の短期モミ合いレンジに回帰した形だ。ただし中期成長力を評価する流れに変化なく、日柄調整一巡後に上値を試す展開だろう。流動性向上に向けて株式分割期待も高まる。