【注目銘柄】フクダ電子は株式分割の権利取りを業績上方修正と増配が後押しして反発

 フクダ電子<6960>(東証スタンダード)は、前日16日に100円高の9300円と3営業日ぶりに反発して引け、11月11日につけた年初来高値9600円を射程圏に捉えた。同社株は、今年11月30日を基準日に株式分割を予定しており、この権利取りを同時発表の今2022年12月期業績の上方修正と増配が後押しした。テクニカル的にも、株価が10月3日につけた年初来安値6940円から約2700円の底上げをする過程で25日移動平均線が、75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を鮮明化しており、追撃材料視されている。

■コロナ関連の生体検査装置・医療装置が伸び製品ミックス良化も寄与

 株式分割は、同社株式の投資単位当たりの金額を引き下げることによって投資しやすい環境を整え投資家層の拡大を図ることを目的にしており、1株を2株に分割する。また今期配当は、中間配当を期初予想の100円から140円に引き上げ、期末配当も115円から140円(株式分割権利落ち後は70円)へアップし、年間280円(前期実績305円)の予定と減配幅を縮小させる予定である。

 一方、今12月期業績は、期初予想より売り上げを50億円、営業利益を40億円、経常利益を43億円、純利益を30億円それぞれ引き上げ、売り上げ1250億円(前期比5.4%減)、営業利益200億円(同11.9%減)、経常利益203億円(同13.3%減)、純利益140億円(同13.7%減)と見込み、前期業績からの減収減益転換率を縮小させる。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関連する継続した医療需要の増加に伴って、生体検査装置や医療装置などの製品が伸びる増収効果に製品のミックス良化で利益率もアップしたことが寄与した。

■分割権利取りでPER10倍、PBR0.9倍の割安を修正し値幅効果

 株価は、今期第1四半期の好決算に新型コロナウイルス感染症拡大の「第7波」関連人気も加わって8230円まで買われる場面があったが、米国長期金利上昇による世界同時株安が波及して年初来安値6940円まで突っ込んだ。同安値からは下げ過ぎ修正に業績上方修正、増配、株式分割の好材料出現が加わって窓を開けて年初来高値9600円まで2700円幅の急騰を演じ、上昇トレンド転換を示唆するGCを示現した。それでもPERは10.0倍、PBRは0.90倍、年間配当利回りは3.01%と割安で上値余地がありそうだ。株式分割の権利取りとともに値幅効果も期待され、昨年8月高値1万2330円が意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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