【株式市場特集】下方修正が続く内需系セクターで業績を上方修正した銘柄に注目
- 2022/11/21 08:32
- 特集
今週の当特集は、下方修正が続いた内需系セクターのなかで逆に業績を上方修正した銘柄に注目することにした。例えば化学ポストでは同じ11月8日に三井化学<4183>(東証プライム)が、今3月期業績を上方修正し、三菱ケミカルグループ<4188>(東証プライム)が下方修正する真逆の決算発表となり、株価は、三菱ケミカルが悪材料出尽くしとしてその後の高値まで7%超高となったが、三井化学は13%超高をオーバーパフォームした。こうした比較優位性が、今後も持続可能と期待できるかもしれない。
もちろんNT倍率の低下、内需系銘柄中心相場は、FOMCの結果次第で一過性に終わる懸念もある。とういことで上方修正銘柄のなかでも投資採算的に割安放置となっている銘柄に限定するのがリスク限定的となるはずで、師走相場は前哨戦から本番のクリスマスラリー、「掉尾の一振」に備えることも一法となりそうだ。
■建設株、化学株には増配も同時発表しランキング上位浮上銘柄も
内需系銘柄ではまず建設ポストの上方修正銘柄が要マークとなる。大手ゼネコンでは、大成建設<1801>(東証プライム)が今3月期売り上げの下方修正、大林組<1802>(東証プライム)が業績の下方修正、清水建設<1803>(東証プライム)が期初予想の据え置き、鹿島<1812>(東証プライム)が上方修正と4社4様の決算発表となった。このうち鹿島は、PER7.3倍、PBR0.7倍と割安であり、同時に自己株式取得も発表し割安放置をアピールした。準大手では安藤ハザマ<1719>(東証プライム)と奥村組<1833>(東証プライム)は、9月中間期業績に続く今3月期通期業績の上方修正で、浅沼組<1852>(東証プライム)は、3月通期業績は期初予想の据え置きとしたが、9月中間業績を上方修正し、配当は株式分割勘案で連続増配を予定しており、年間配当利回りは6.73%と建設ポストの高配当利回りランキングの第2位に位置している。
化学株では前記の三井化学のPER5.7倍を含めて、業績を上方修正した低PER株トップ10銘柄を上げるとPER4.7倍のセントラル硝子<4044>(東証プライム)以下、大伸化学<4629>(東証スタンダード)、住友精化<4008>(東証プライム)、石原産業<4028>(東証プライム)、関東電化工業<4047>(東証プライム)、ダイセル<4202>(東証プライム)、戸田工業<4100>(東証プライム)、日本曹達<4041>(東証プライム)、片倉コープアグリ<4031>(東証スタンダード)と続き、片倉コープのPERは8.1倍である。このなかでセントラル硝子は、中間業績を含めて3回目の上方修正で、旧村上ファンドの保有株式を買い取る自己株式買付の株式公開買い付けを実施し、石原産業とダイセルは増配と自己株式取得、住友精化と関東電化、片倉コープは増配とのそれぞれ同時発表となった。
■食品主力株はやや割高も自己株式取得でカバーし外食株は負け組が勝ち組化
上方修正した食品株で割安放置が目立つのは、まず水産2社の日本水産<1332>(東証プライム)とマルハニチロ<1333>(東証プライム)で、次いで鶏卵関連のホクリョウ<1384>(東証スタンダード)、調味料の和弘食品<2813>(東証スタンダード)、宝ホールディングス<2531>(東証プライム)と続く。ヤクルト本社<2267>(東証プライム)と味の素<2802>(東証プライム)は割高だが、純利益が連続して過去最高を更新し、ヤクルト本社は増配、味の素は増配と自己株式取得との同時発表であり、信用好取組もオンして食品関連の主力株人気は続きそうだ。
外食関連では、「ウイズ・コロナ」関連の勝ち組だった日本マクドナルドホールディングス<2702>(東証スタンダード)が、今12月期業績を下方修正したのはネガティブ・サプライズだったが、逆に負け組だったホットランド<3196>(東証プライム)、トリドール<3397>(東証プライム)、力の源ホールディングス<3561>(東証プライム)、シンクロ・フード<3963>(東証プライム)が業績を上方修正して年初来高値まで買われており、投資採算的には割高だが、腕に覚えの投資家は、どこまで航続力を伸ばすか試してみるのも一興となろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)