ソフトクリエイトホールディングスは戻り試す、23年3月期2Q累計経常益横ばいだが通期増益予想

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。23年3月期第2四半期累計は概ね計画水準で着地した。積極的な先行投資で人件費や広告費が増加したため小幅営業・経常減益だが、売上面はECソリューション事業、ITソリューション事業とも拡大して2桁増収と順調だった。そして通期の増益予想を据え置いた。EC市場は拡大基調であり、企業のDX投資は高水準に推移することが予想される。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は9月の年初来安値圏から切り返している。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

 ITソリューションサービスを展開する持株会社である。22年3月期のセグメント別売上高(22年3月期からセグメント区分変更、収益認識会計基準適用後)は、ECソリューション事業が115.8億円(ECサイト構築パッケージ「ecbeing」が79.4億円、デジタルマーケティングが27.2億円、ECクラウドサービスが9.2億円)で、ITソリューション事業が96.4億円(セキュリティ・インフラ構築が46.0億円、ITパッケージが17.6億円、ITクラウドサービスが16.5億円、IT機器が16.3億円)だった。セグメント利益(全社費用等調整前経常利益)は、ECソリューション事業が31億22百万円、ITソリューション事業が24億01百万円だった。

 なお収益認識会計基準適用の影響で、従来方法に比べて売上高が71億09百万円減少、売上原価が70億97百万円減少している。特にIT機器が影響を受けている(収益認識会計基準適用前の21年3月期実績は56.6億円)が、利益への影響は軽微である。

 ECソリューション事業は、連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることが強みとして、中~大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は1500を突破している。市場シェアは14年連続1位(出典:富士キメラ総研「2021年ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査」で市場シェア43.6%)である。

 22年2月には連結子会社のecbeingが、海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。システム面での連携を強化し、より付加価値の高い中国市場向けソーシャル越境EC事業の実現を目指す。22年3月には「ecbeing」の20年の年間流通総額が6000億円を突破した。国内ECサイト構築業者としてNO.1の流通額である。

 ITソリューション事業は、自社開発サービス「SCクラウド」、不正アクセス端末検知・遮断システム「L2Blocker」、連結子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型「AgileWorks」、クラウド型「X-point Cloud」)、連結子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。

 22年7月には連結子会社エイトレッドのワークフローシステム「AgileWorks」と「X-point Cloud」が、アイティクラウド社主催のアワード「ITreview Grid Award 2022 summer」ワークフロー部門において最高位の「LEADER」を2期連続受賞した。22年10月にはエイトレッドが、デロイト トーマツ ミック経済研究所の「コラボレーション・モバイル管理ソフトの市場展望2022年度版」において、SaaS・ASP型ワークフロー市場シェア(出荷金額)で11年連続シェアNO.1になったと発表している。

■クラウドサービスの拡大を推進

 成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。

 さらに独自開発のクラウドサービス(ECクラウドサービス「メルカート」、ビジュアルマーケティング「visumo」、レビュー最適化ツール「Revico」、「サイトミライズ」、オムニチャネル分析ツール「Sechstant」など)の拡販にも注力している。

 22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野の「メルカート」が84社、「visumo」が335社、「Revico」が48社、「サイトミライズ」が106社、「Sechstant」が30社、ITクラウドサービス分野の「SCクラウド」が454社、「X-point Cloud」が847社、「L2Blocker」が181社となっている。21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用する「visumo」のソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用されている。22年5月には「Revico」の国内導入実績が100サイトを突破した。

■23年3月期2Q累計は先行投資で経常益横ばいだが計画水準

 23年3月期連結業績予想は売上高が22年3月期比10.5%増の234億60百万円、営業利益が2.7%増の41億40百万円、経常利益が2.5%増の42億65百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が4.5%増の24億70百万円としている。配当予想(10月21日付で第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は22年3月期比10円増配の50円(第2四半期末25円、期末26円)としている

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比12.4%増の115億54百万円、営業利益が3.2%減の20億21百万円、経常利益が0.5%減の21億38百万円、親会社株主帰属四半期純利益が0.1%増の12億60百万円だった。概ね期初計画(売上高113億31百万円、営業利益20億49百万円、経常利益21億11百万円、親会社株主帰属四半期純利益12億22百万円)水準で着地した。

 積極的な先行投資で人件費や広告費が増加したため小幅営業・経常減益だが、売上面はECソリューション事業、ITソリューション事業とも拡大して2桁増収と順調だった。売上原価は16.9%増加、販管費は15.4%増加した。経常利益(前年同期比0.1億円減益)の増減分析は、売上総利益増加で+3.2億円、人件費増加で▲2.9億円、広告費増加で▲0.8億円、その他の経費減少で+0.4億円だったとしている。

 セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高(外部顧客への売上高)が14.5%増の64億49百万円で利益(全社費用等調整前経常利益)が6.2%増の17億13百万円、ITソリューション事業は売上高が9.9%増の51億04百万円で利益が4.5%増の12億72百万円だった。

 売上高の内訳は、ECソリューション事業ではECサイト構築(ecbeing)が45.5億円、デジタルマーケティングが13.4億円、ECクラウドサービスが5.6億円、ITソリューション事業ではセキュリティ・インフラ構築が25.1億円、ITクラウドサービスが9.3億円、ITパッケージが8.4億円、IT機器販売が8.2億円だった。

 企業のECサイト構築やECクラウドサービスへの投資需要が高水準に推移し、ECソリューション事業ではECサイト構築「ecbeing」やECクラウドサービス「メルカート」などの売上が拡大した。企業の生産性向上に向けたDX投資も高水準に推移し、ITソリューション事業ではセキュリティ・インフラ構築や子会社エイトレッド<3969>のワークフローサービス「X-pointクラウド」などの売上が拡大した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が54億96百万円で営業利益が7億91百万円、第2四半期は売上高が60億58百万円で営業利益が12億30百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。売上面は需要が高水準に推移して2桁増収予想としている。利益面は、製品機能強化のための開発費の増加、知名度向上のための広告宣伝費の増加、積極的な人材採用に伴う採用費の増加など先行投資を考慮して小幅増益にとどまる予想としている。ただし保守的な印象が強い。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が49.2%、営業利益が48.8%、経常利益が50.1%、親会社株主帰属当期純利益が51.0%と順調だった。さらにクラウドサービスの拡大などで利益の積み上げが予想される。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株式数および保有期間に応じてオリジナルQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は戻り試す

 株価は9月の年初来安値圏から切り返している。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。11月18日の終値は3465円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS194円62銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1036円93銭で算出)は約3.3倍、そして時価総額は約477億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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