ネオジャパンは底打ち感、23年1月期減益予想だが24年1月期収益拡大期待

 ネオジャパン<3921>(東証プライム)は自社開発グループウェアのクラウドサービスを主力として、製品ラインアップ拡充による市場シェア拡大戦略、アライアンス戦略、東南アジア市場開拓戦略などを推進している。11月21日にはクラウドサービス情報開示認定機関ASPISより、クラウドサービスにおける信頼・安全性の推進に多大なる貢献をしたサービス・事業者として、最優秀・資格継続賞を受賞したと発表している。23年1月期は認知度向上のための広告宣伝費の増加などで減益予想としている。ただし需要は高水準であり、積極的な事業展開で24年1月期の収益拡大を期待したい。株価は年初来安値を更新する軟調展開だったが、徐々に下値を切り上げて底打ち感を強めている。出直りを期待したい。なお12月13日に23年1月期第3四半期決算発表を予定している。

■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力

 ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発グループウェアdesknet‘s NEOのクラウドサービス(月額課金収入)を主力として、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。

 19年8月にはシステム開発のPro-Spireを子会社化した。10月14日には、現代ビジネスパーソンのコミュニケーション実態を把握・研究すべくNEOビズコミ研究所を新設した。

 海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立した。当面は投資が先行する見込みだが、ASEAN全域においてグループウェアdesknet‘s NEOブランドの確立を目指す。

 22年1月期(連結調整前)の売上構成比は、グループウェアを中心とするビジネスICTツールのソフトウェア事業が66%(クラウドサービスが41%、プロダクトが24%、技術開発が1%)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が34%、海外事業が0%、営業利益構成比はソフトウェア事業が93%、システム開発サービス事業が10%、海外事業が▲4%だった。ソフトウェア事業のストック型売上比率は73.1%(21年1月期は72.5%)だった。なお収益面では下期(特に第4四半期)の構成比が高い傾向がある。

 22年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に3年連続で選定された。22年4月にはバスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)に所属する東京羽田ヴィッキーズとスポンサーシップ契約を締結した。

■グループウェアdesknet‘s NEOは使いやすさが強み

 グループウェアdesknet‘s NEOは、ローカライゼーション(日本語、日本の商習慣やビジネス習慣など)に対応した27の基本機能を備え、多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。22年9月には最新バージョン7.1の提供を開始した。

 グループウェアdesknet‘s NEOの累計ユーザー数(クラウド版契約ユーザー数とパッケージ版販売ユーザー数の合計)は、22年1月期末時点で前年同期比24.2万ユーザー増加の462.6万ユーザーとなっている。業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用され、1000以上の自治体・政府機関(都道府県庁17を含めて自治体536、政府機関526)に導入されている。中長期的には累計ユーザー数1000万ユーザーを目指すとしている。なおクラウドユーザー数は前年同期比7.1万人増加の45.2万人となった。解約率は概ね0.2%~0.5%程度で推移している。

 22年9月には、経済産業省の「IT補助金2022」においてIT導入支援事業者として採択され、グループウェアdesknet‘s NEO、業務アプリ作成ツールAppSuite、ビジネスチャットChatLuckが補助金の対象ツールとして認定された。また、スマートキャンプが今最も評価されているSaaSを表彰する「BOXIL SaaS AWARD Autumn 2022」のグループウェア部門において、グループウェアdesknet‘s NEOが「Good Service」および「お役立ち度No.1」を受賞した。

 22年10月には、アイティクラウドのIT製品比較・レビューサイト「ITreview」の「ITreview Grid Awaed 2022 FALL」において、グループウェアdesknet‘s NEOがグループウェア部門とワークフロー部門の「Leader」を受賞、ビジネスチャットChatLuckがビジネスチャット部門の「Leader」を受賞した。

 また11月21日には、クラウドサービス情報開示認定機関ASPISより、クラウドサービスにおける信頼・安全性の推進に多大なる貢献をしたサービス・事業者として、最優秀・資格継続賞を受賞したと発表している。08年7月に7番目の事業会社として情報開示認定企業に認定されて以来、この資格を14年維持している。

 大規模導入事例として、21年7月にはカー用品専門店チェーンのイエローハット<9882>に、グループが運営する全国740店舗の従業員・スタッフをつなぐ情報共有基盤として、グループウェアdesknet‘s NEO大規模パッケージ版(3000ライセンス)が採用された。22年7月には、神奈川県横浜市が整備する最大6万人が利用する市区局共通グループウェアとして、desknet‘s NEOが全面的に採用(東芝デジタルソリューションズが市区局共通グループウェア構築事業を受託)された。

■製品ラインアップ拡充で市場シェア拡大を推進

 成長戦略として、国内累計販売ユーザー数1000万ユーザー、グループウェア国内トップシェア、売上高100億円を目指し、グループウェアdesknet‘s NEOを核とするエンタープライズ向け製品の市場シェア拡大戦略、シナジーが見込めるアライアンスへの戦略投資、マレーシアの合弁会社を拠点とするクラウドサービスの東南アジア市場開拓戦略などを推進している。

 製品ラインアップの拡充では、カスタムメイド型業務アプリ作成ツールAppSuite、新しいコミュニケーションツールとしてのビジネスチャットChatLuckを提供し、グループウェアdesknet‘s NEOとの連携も強化している。22年7月にはビジネスチャットChatLuck新バージョン5.0の提供を開始した。

 21年3月には横浜商工会議所が開設したデジタル化相談窓口に協力会社として参加した。デジタル化支援コンソーシアム協力事業者として中小企業のDX推進をサポートする。21年6月には、アイネット<9600>が提供する教育現場でのDX推進のための学校保護者間あんしん連絡サービスChatLuck SCを開発提供した。ビジネスチャットChatLuckをベースとして開発した。2社の共同事業として全国の国公立小中学校に販売する。

 21年8月にはDX推進のスピードアップや製品開発のプロセス強化などを目的としてプロセス改革部を新設した。21年4月に新設したカスタマーサクセス部と連携してユーザーの長期的な成功にコミットする。

 21年12月には、茨城県つくば市のワクチン配送におけるDX化実現のために、desknet‘s NEOとAppSuiteで作成したアプリケーション「つくば市新型コロナワクチン配送システム」および「ワクチン数量管理表」を開発して提供した。また22年1月には、つくば市で導入されたワクチン配送システムのテンプレートを、同じ課題を持つ自治体に向けて無償提供開始すると発表している。

 22年3月には、東京都多摩市が実施した「令和3年度多摩市民間提案制度」において、desknet‘s NEOとAppSuiteで作成した「ワクチン接種記録等の効率化と工数削減に向けた管理向上」事業が採用候補に認定された。ワクチン関連の行政の業務効率化において採用された事例としては、茨城県つくば市「つくば市新型コロナワクチン配送システム」に続く2例目となる。

 22年5月には、中小企業のDXを支援するAppSuiteアプリ集「ネコの手アプリ」シリーズを提供するシステムアプローチ(愛知県名古屋市)と、AppSuiteアプリの開発・販売活動で連携した。

■23年1月期減益予想だが24年1月期収益拡大期待

 23年1月期連結業績予想(収益認識会計基準適用だが損益への影響軽微、22年9月14日付で下方修正)は、売上高が22年1月期比1.2%増の59億89百万円、営業利益が12.3%減の10億94百万円、経常利益が13.1%減の11億82百万円、親会社株主帰属当期純利益が9.7%減の7億82百万円としている。配当予想(22年6月10日付で上方修正)は22年1月期比5円増配の19円(期末一括)としている。8期連続増配予想となる。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比3.3%増の29億36百万円、営業利益が4.9%減の6億10百万円、経常利益が5.0%減の6億87百万円、親会社株主帰属四半期純利益が6.2%減の4億63百万円だった。

 ソフトウェア事業はクラウドサービスが牽引して順調だが、システム開発サービス事業が主要顧客の体制縮小の影響で減少したため全体として売上高が伸び悩み、販管費の増加も影響して全体として減益だった。売上総利益は4.4%増の15億38百万円、販管費は11.5%増の9億28百万円だった。

 ソフトウェア事業は売上高が10.3%増の20億51百万円で、セグメント利益(調整前営業利益)が3.5%増の6億36百万円だった。クラウドサービスの売上高は利用ユーザー数の増加で12.6%増の13億08百万円(主力のグループウェアdesknet‘s NEOクラウドが11.8%増の10億91百万円など)と概ね順調だった。プロダクトの売上高は5.6%増の7億03百万円だった。ライセンス売上は100ユーザー以下の追加ライセンス減少の影響などで0.7%減少したが、サポートサービスが12.3%増収と順調だった。利益面では販売目的ソフトウェアの減価償却費が増加したため小幅増益にとどまった。

 グループウェアdesknet‘s NEO累計ユーザー数(クラウド版契約ユーザー数とパッケージ版販売ユーザー数の合計)は、22年7月末時点で471.9万ユーザーとなった。

 システム開発サービス事業は主要顧客の体制縮小の影響で売上高が10.5%減の8億92百万円、セグメント利益が63.7%減の18百万円だった。海外事業はコロナ禍による営業活動制約などで売上高が62.1%減の5百万円、セグメント利益が販管費の増加で43百万円の赤字(前年同期は22百万円の赤字)だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が14億96百万円で営業利益が3億09百万円、第2四半期は売上高が14億40百万円で営業利益が3億01百万円だった。

 通期の連結業績予想は、前回予想に対して売上高を2億82百万円、営業利益を1億77百万円、経常利益を1億76百万円、親会社株主帰属当期純利益を1億38百万円、それぞれ下方修正した。

 売上高の見込み(内部取引消去前)としては、ソフトウェア事業はクラウドサービスが前回予想を下回るため全体として42百万円下方修正、システム開発サービス事業は主要顧客の体制縮小の影響が下期も継続するため2億31百万円下方修正、海外事業は12百万円下方修正した。

 営業利益については、ソフトウェア事業を81百万円、システム開発サービス事業を64百万円、海外事業を31百万円下方修正した。売上高が前回予想を下回る見込みとなったことに加えて、ソフトウェア事業では下期に認知度向上のための広告宣伝費を64百万円追加支出する。また海外事業では、米国子会社における新サービス開発投資やASEAN子会社における人件費増加なども影響する見込みだ。

 23年1月期は減益予想だが、需要は高水準であり、積極的な事業展開で24年1月期の収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は1月末と7月末の年2回

 株主優待は年2回、毎年1月末と7月末の株主を対象として、保有株式数に応じてQUOカードを贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は底打ち感

 株価は年初来安値を更新する軟調展開だったが、徐々に下値を切り上げて底打ち感を強めている。出直りを期待したい。11月21日の終値は1006円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS52円48銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の19円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS345円53銭で算出)は約2.9倍、そして時価総額は約150億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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