【編集長の視点】ムサシは続落も業績上方修正・増配見直しに政局流動化懸念が加わり安値拾いも一考

編集長の視点

■選挙関連株人気の再燃に期待

 ムサシ<7521>(東証スタンダード)は、前日1日に9円安の1452円と変わらずも含めて5営業日続落して引けた。日経平均株価は、257円高と5営業日ぶりに反発したが、主力値がさ株、ハイテク株買いが中心で内需関連の同社株は小口売りに押された。ただ株価水準は、8月につけた年初来安値1402円に並ぶ安値圏にあり、今年10月25日に発表した今2023年3月期の上方修正と増配からは下げ過ぎは明らかで、安値拾いも一考余地がある。来年4月に控える統一地方選挙や、足元の岸田内閣での閣僚の辞任ドミノ、各種世論調査での内閣支持率の低下など政局の流動化が懸念されていることも、選挙関連株人気の再燃期待を高めそうだ。

■参議院選挙向け投開票管理システムが伸び文章デジタル化事業も好調

 同社の今2023年3月期業績は、期初予想より売り上げを8億5200万円、営業利益を8億9100万円、経常利益を9億900万円、純利益を6億4600万円それぞれ引き上げ、売り上げ362億9400万円(前期比0.2%増)、営業利益20億4800万円(同17.3%増)、経常利益21億700万円(同14.0%増)、純利益13億9900万円(同42.5%増)と見込み、期初の減益転換予想が2ケタ増益に変わった。参議院選挙向けの選挙機器や投開票管理システムが、開票作業を迅速化する投票用紙計数機などの新製品の寄与で大幅に伸長し、文書のデジタル化事業も在宅勤務拡大の恩恵で好調に推移したことなどが要因となった。

 今期配当は、中間配当に特別配当11円を上乗せして期初予想の12円から23円に増配し、期末配当を期初予想の据え置きの12円として年間配当を期初予想の24円から35円(前期実績40円)に増配を予定、前期からの減配幅を縮小させる。前期年間配当は、前期業績の上方修正で中間配当の特別配当増配により期初予想の24円から30円に引き上げ、さらに期末には創立75周年記念の記念配当8円を上乗せして年間40円に増配しており、今期も今後の業績推移次第では前期同様の再増配期待も高まる。

■25日線で下値を確認しPER7倍、PBR0.3倍の割安修正に再発進

 株価は、前期配当の記念配当上乗せの再増配を歓迎して年初来高値1892円まで買われ、ウクライナ情勢緊迫化による世界同時株安や今期業績の減益転換・減配予想、さらに参議院選挙で自民党が圧勝して今後3年間は国政選挙がない「黄金の3年間」となり、同社の選挙関連事業に逆風になることも響いて年初来安値1402円まで調整した。同安値固めからは今期第1四半期の好決算に感応して底上げ、今期業績の上方修正と増配発表で1637円の戻り高値へ200円高したが、戻り売りも出てほぼ往って来いとなり25日移動平均線で下値を確認する展開が続いた。PERは7.08倍、PBRは0.36倍と大きく割り負けており、まず戻り高値を奪回し、年初来高値にキャッチアップしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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