【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ソーバルは6月高値試す、16年2月期増額の可能性や積極的な株主還元姿勢を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ソーバル<2186>(JQS)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開している。株価は高値圏で堅調に推移して自律調整一巡感も強めている。16年2月期業績予想増額の可能性や、積極的な株主還元姿勢を評価する流れに変化はなく、6月の上場来高値を試す展開だろう。8月中間期末の配当や株主優待権利取りの動きも注目点だ。

■組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開

 組み込みソフト開発、ウェブ/スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。優良な大口顧客を抱えていることが特徴だ。

 15年2月期の主要顧客別売上構成比は、キヤノン<7751>グループが63.3%、ソニー<6758>グループが11.9%、富士通<6702>グループが8.5%、NTT<9432>グループが3.7%だった。15年2月期はソニーグループの構成比が14年12月期に比べて2.4ポイント上昇した。

 M&Aも積極活用して顧客や分野の多様化、新規事業の開拓、人材の確保を推進している。12年9月にはオムロン<6645>向けを主力とするモバイルコンピューティングテクノロジーズ(現MCTEC)を子会社化した。

 15年5月にはアンドールシステムサポート(東京都)を子会社化した。同社は車載システム開発、生産ラインや物流搬送設備などの制御システム開発に強みを持ち、子会社化することで組み込み用ソフトウェア・ハードウェア受託開発分野の業容拡大に繋がる。また同社の大阪支社を当社グループの関西圏進出の拠点と位置付けて積極的な事業展開を推進する。

 一方では15年3月にRFID事業をアートファイネックス(福井県)に譲渡した。15年2月期にソフトバンク関連の機器置き換え特需が一段落したため、RFID事業を売却して経営資源をエンジニアリング事業に集中する戦略だ。

■第1四半期は実質増収増益、16年2月期会社予想は増額の可能性

 15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)17億74百万円、第2四半期(6月~8月)16億86百万円、第3四半期(9月~11月)17億65百万円、第4四半期(12月~2月)16億95百万円で、営業利益は第1四半期2億01百万円、第2四半期70百万円、第3四半期1億73百万円、第4四半期1億07百万円だった。第2四半期の営業利益は本社移転費用計上という一時的要因が影響した。

 また15年2月期の配当性向は40.1%だった。ROEは14年2月期比0.5ポイント上昇して13.5%、自己資本比率は同6.0ポイント低下して70.8%だった。

 今期(16年2月期)の連結業績予想(4月10日公表)は、売上高が前期比2.6%増の71億円、営業利益が同5.1%増の5億80百万円、経常利益が同3.5%増の5億80百万円、純利益が同5.0%増の3億50百万円としている。配当予想は同7円増配の年間38円(第2四半期末19円、期末19円)としている。大幅連続増配で予想配当性向は45.6%となる。

 エンジニアリング事業の受注が増加基調であり、新規顧客の開拓、受託案件の作業効率化、エンジニアの技術力アップとローテーションによる稼働最適化といった施策も推進する。本社移転費用や厚生年金基金脱退損失といった一時的費用も一巡して増収増益予想だ。

 第1四半期(3月~5月)は売上高が前年同期比0.3%減の17億69百万円、営業利益が同11.0%減の1億79百万円、経常利益が同12.0%減の1億78百万円、純利益が同7.1%減の1億10百万円だった。

 RFID事業(前年同期の売上高75百万円、営業利益48百万円)で前年同期に特需があった反動や、RFID事業を15年3月31日付で譲渡した影響で全体として減収減益の形だが、エンジニアリング事業は同5.2%増収と好調に推移して実質的に増収増益だった。

 また通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が24.9%、営業利益が30.9%、経常利益が30.7%、純利益が31.4%と高水準である。新規連結のアンドールシステムサポートの業績を織り込んでいないことも考慮すると、通期会社予想は増額の可能性が高いだろう。

 製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。人材やパートナー企業の確保が課題だが、エンジニアのワーク・ライフ・バランスの充実、エンジニアの技術力向上、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーの育成、精度の高いプロジェクト管理、そして積極的なM&A戦略などの効果で中期的に収益拡大基調だろう。

■株価は高値圏で堅調、自律調整一巡して6月の上場来高値を試す

 株主優待制度については、毎年8月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。100株以上~500株未満保有株主に対して500円相当のQUOカード、500株以上保有株主に対して2000円相当のQUOカードを贈呈する。

 株価の動きを見ると、6月23日の上場来高値1480円まで上伸した後は利益確定売りで上げ一服の展開となったが、7月上旬の全般地合い悪化の影響も限定的にとどまり、上場来高値圏で堅調に推移している。そして自律調整一巡感を強めている。大幅連続増配という積極的な株主還元姿勢を評価する流れに変化はないだろう。

 8月4日の終値1388円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円32銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は2.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS599円57銭で算出)は2.3倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線をサポートラインとする上昇トレンドだ。そして今期予想配当利回りは2%台後半で割安感のある水準だ。自律調整が一巡し、16年2月期業績予想増額の可能性や積極的な株主還元姿勢を評価して、6月の上場来高値1480円を試す展開だろう。8月中間期末の配当や株主優待権利取りの動きも注目点だ。

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