【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トレジャー・ファクトリーは中期成長力を評価する流れに変化なし、利益確定売り一巡して上値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)は総合リユースショップを展開している。株価は7月の上場来高値1747円から急反落して1500円近辺でモミ合う展開だ。第2四半期累計(3月~8月)業績予想を増額修正したが、好材料出尽くしとして利益確定売りが優勢になったようだ。ただし中期成長力を評価する流れに変化はなく、目先的な利益確定売りが一巡して上値を試す展開だろう。

■リユースショップをチェーン展開、関西への出店や新業態の開発も積極化

 首都圏を中心として、総合リユース業態「トレジャー・ファクトリー」や服飾専門リユース業態「トレファクスタイル」などのリユースショップを直営店中心にチェーン展開している。

 15年2月期末時点の店舗数は直営総合業態「トレジャー・ファクトリー」50店舗、直営服飾業態「トレファクスタイル」24店舗、新業態の古着アウトレット業態「ユーズレット」1店舗、スポーツ・アウトドア業態「トレファクスポーツ」1店舗、事業を譲り受けた「ブランドコレクト」業態2店舗、およびFC総合業態「トレジャー・ファクトリー」4店舗の合計82店舗である。

 中期成長戦略として、多店舗展開(複数の業態を組み合わせて年間10店舗程度の新規出店、関西地域でのドミナント出店)、既存店活性化(店舗移転・リニューアルによる収益力改善、既存店の売上総利益率改善)、ネットへの取り組み強化(宅配買い取りの強化、ネット経由の販売強化)、そして新業態開発を推進している。

 関西地域でのドミナント出店については、13年5月総合業態の関西1号店・神戸新長田店、13年10月服飾業態の関西1号店・尼崎店、14年3月大阪府初出店となる関西3号店の総合業態・岸和田店、7月大阪府2号店となる総合業態・八尾店、11月大阪府3号店となる総合業態・東大阪店、そして15年2月服飾業態の関西旗艦店となるアメリカ村店(大阪市中央区)をオープンして関西圏の店舗数は合計6店舗となった。

 新業態はスポーツ・アウトドア用品専門業態「トレファクスポーツ」1号店の横浜市・青葉台店を14年9月にオープンし、ネット通販も強化して13年4月に楽天市場へ出店した。また新規事業として10年10月からブランドバッグ&ファッションのオンラインレンタルサービス「Cariru」を運営している。

 14年10月にはファーストザウェーブ社の「ブランドコレクト」事業(ウェブサイト、フルフィルメントセンター1拠点、ブランドコレクト原宿店)を譲り受け、15年1月原宿2号店をオープンした。ネットでの事業展開を加速するとともに、ハイブランド・高価格帯のブランド古着に特化した都心型店舗の新業態としてファッションカテゴリーを強化する。

 15年2月には不動産賃貸仲介大手のハウスコム<3275>と業務提携した。ハウスコム店舗で契約したお客様限定で、引越と不用品買い取りを行うサービス「トレファク引越」を割引料金で提供して買い取りを強化する。

 7月8日には、大規模マンションの管理組合を対象にした新サービス「リユースコンシェルジュ for mansion」を6月26日に開始したと発表している。マンション内のコンシェルジュデスク等を介して不用品回収・買い取りなどのサービスを提供する。

■16年2月期も増収増益基調、第2四半期累計増額修正で通期も増額含み

 15年2月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)25億82百万円、第2四半期(6月~8月)23億36百万円、第3四半期(9月~11月)28億85百万円、第4四半期(12月~1月)28億79百万円、営業利益は第1四半期3億51百万円、第2四半期77百万円、第3四半期3億43百万円、第4四半期1億84百万円だった。

 既存店の売上総利益率は第1四半期66.8%、第2四半期65.9%、第3四半期66.5%、第4四半期63.4%だった。第1四半期と第3四半期は、引越シーズンなどで利益率の高い家電製品や家具の構成比が高まるため、売上総利益率が高くなるという季節要因があるようだ。

 また15年2月期の配当性向は17.7%だった。ROEは14年2月期比2.4ポイント上昇して21.0%、自己資本比率は同0.3ポイント上昇して58.5%、だった。

 7月10日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(3月~5月)の非連結業績は、売上高が前年同期比16.6%増の30億11百万円、営業利益が同12.1%増の3億95百万円、経常利益が同12.4%増の4億01百万円、純利益が同14.4%増の2億32百万円だった。

 商品別売上高(直営事業)は、主力の電化製品が同20.1%増収、服飾雑貨が同16.7%増収、衣料が同14.7%増収と好調に推移した。仕入の経路別構成比は一般買い取りが同2.2ポイント上昇して77.8%となった。なお前期まで営業外収益で計上していた引越事業の仲介手数料収入について、事業が本格化して重要性が高まったため16年2月期から売上高に計上している。15年2月期第1四半期は0.8百万円、16年2月期第1四半期は4百万円だった。

 既存店売上高は同7.2%増収で想定を上回った。既存店の売上総利益率は66.0%で同0.8ポイント低下したが、1件あたり販売単価は同222円上昇して3269円となった。

 第1四半期業績が想定を上回ったため、7月10日に第2四半期累計(3月~8月)非連結業績予想を増額修正した。前回予想(4月10日公表)に対して、売上高は1億08百万円増額して前年同期比13.4%増の55億77百万円、営業利益は57百万円増額して同5.0%増の4億52百万円、経常利益は60百万円増額して同3.7%増の4億61百万円、純利益は28百万円増額して同9.9%増の2億68百万円とした。

 通期(16年3月期)の非連結業績予想は前回予想(4月10日公表)を据え置いて、売上高が前期比10.9%増の118億53百万円で、営業利益が同8.2%増の10億39百万円、経常利益が同8.8%増の10億52百万円、純利益が同11.4%増の6億31百万円としている。

 配当予想は中間配当を開始して年間11円(第2四半期末5円50銭、期末5円50銭)としている。15年6月1日付の株式2分割を考慮して前期の年間18円を年間9円に換算すると実質的に前期比2円増配となる。予想配当性向は19.5%となる。なお配当性向については当面の目標を25%としている。

 既存店は前期並みの増収率(7.9%増)と売上総利益率(65.6%)の達成を目指し、新規出店は11~13店舗の計画だ。中部地域や北関東など新規エリアへの出店も検討するようだ。知名度上昇、新業態を含めた積極的な新規出店、既存店の収益力強化、大口仕入や出張買い取りの強化、さらにネット事業の強化、売上総利益率の上昇などで増収増益基調だろう。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.4%、営業利益が38.0%、経常利益が38.1%、純利益が36.8%である。第1四半期と第3四半期の売上総利益率が高くなる季節要因を考慮しても高水準と言えるだろう。通期業績の会社予想も増額含みだ。

 なお月次売上(直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、15年3月は全店111.8%、既存店104.0%、4月は全店118.3%、既存店108.4%、5月は全店117.6%、既存店109.5%、そして6月は全店116.3%、既存店107.1%だった。既存店売上は14年3月から16ヶ月連続の前年比プラスと好調に推移している。

 好調な仕入も背景として販売単価の高い生活家電、家具、さらに衣料、服飾雑貨の好調が続いている。新規出店は3月0店舗、4月1店舗、5月0店舗、6月1店舗で15年6月末時点の店舗数は合計84店舗だった。なお7月18日にトレファクスタイル本八幡店(千葉県市川市)をオープンした。

 リユース市場は拡大基調であり、中期成長に向けて国内主要都市への新規出店や業態の多様化を加速させる方針だ。首都圏や関西圏を中心に年間10店舗程度の新規出店で100店舗体制構築を当面の目標としている。既存店の収益力強化策や新業態・新規事業の積極展開も寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

■株価は目先的な利益確定売りが一巡して上値試す

 株主優待制度については毎年2月28日時点の1単元(100株)以上保有株主に対して「トレジャーチケット」を贈呈している。「トレジャーチケット」の内容は「トレジャー・ファクトリーオリジナルクオカード1000円分」、プレゼント抽選券「トレジャーロト」、および当社の店舗および宅配買い取りサービスで利用できる「買い取り金額アップクーポン」をセットにしている。

 株価の動き(14年9月1日付で株式2分割、15年6月1日付で株式2分割)を見ると、7月10日の上場来高値1747円から急反落して1500円近辺でモミ合う展開だ。第2四半期累計業績予想を増額修正したが、好材料出尽くしとして利益確定売りが優勢になったようだ。ただし大きく下押す動きは見られない。目先的な利益確定売りはほぼ一巡したようだ。

 8月4日の終値1450円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS56円38銭で算出)は25~26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮したBPS263円60銭で算出)は5.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が下向きに転じ、目先的には自律調整局面のようだ。ただし26週移動平均線がサポートラインの形だろう。中期成長力を評価する流れに変化はなく、目先的な利益確定売りが一巡して上値を試す展開だろう。

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