【編集長の視点】日トムソンは16期ぶりの最高純益更新を手掛かり値ごろ割安株買いが再燃し反発

編集長の視点

■GCを示現して上昇トレンド転換を示唆

 日本トムソン<6480>(東証プライム)は、前日5日に2円高の604円と小反発して引け、600円台固めに煮詰まり感を強めた。同社が、今2023年3月期第2四半期(2022年4月~9月期、2Q)累計決算を発表した今年11月14日に今3月期通期業績を上方修正し年間配当も増配予定しており、純利益が、16期ぶりに過去最高を更新することを見直し値ごろ割安株買いが再燃した。テクニカル的にも直近高値621円をつける過程で25日移動平均線が、75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を示唆しており、側面支援材料視されている。

■ころ軸受や直動案内機器が半導体製造装置向けに好調に推移し円安効果も

 同社の今3月期業績は、期初予想より売り上げを25億円、営業利益を14億円、経常利益を28億円、純利益を19億円それぞれ引き上げ売り上げ685億円(前期比14.1%増)、営業利益90億円(同52.6%増)、経常利益108億円(同44.2%増)、純利益74億円(同79.0%増)と大幅続伸が見込まれた。純利益は、2007年3月期の過去最高(63億3300万円)を大幅に更新する。半導体製造装置などのエレクトロニクス関連機器に高水準の設備投資が続き、同社の針状ころ軸受や直動案内機器の生産が好調に推移し、この増産・増収効果に加え為替の円安・ドル高による円安効果が上乗せとなったことが要因となった。

 なお同社は、前期業績も2Q決算発表時に上方修正したあと、第3四半期決算発表時の今年2月に再上方修正しており、積極的な中期経営計画を推進していることから、この再現、再上ぶれ期待も高めている。また今期配当は、前期業績の1回目の上方修正時と同様に中間配当、期末配当とも期初予想から引き上げて増配幅を拡大し、年間18円(前期実績13円)へ連続増配を予定している。

■GCを支えにPER5倍、PBR0.6倍を修正し昨年11月高値を目指す

 株価は、昨年11月の前期業績の1回目の上方修正・増配ではストップ高を交えて758円高値をつけ、今年2月の2回目の上方修正では材料出尽くし感を強め、ロシアのウクライナ侵攻による世界同時株安も響いて年初来安値468円まで調整した。同安値からは売られ過ぎ修正に今期業績の続伸・増配予想に今期第1四半期の好決算が続いて587円までリバウンド、11月の業績上方修正と増配幅拡大で621円の戻り高値まで買い進まれ、GCを示現して上昇トレンド転換を示唆した。足元では600円台を試す高値もみ合いに煮詰まり感も強めており、PERは5.81倍、PBRは0.62倍と割安である。信用買い残がやや積み上がるマイナス要素はあるものの、600円台の値ごろも魅力でGC示現を支えに戻り高値抜けから年初来高値690円を更新し、昨年11月高値758円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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