【株式市場特集】今年1年間に株式分割を実施した高配当利回り・低PER水準にある銘柄に注目
- 2022/12/12 08:49
- 特集
■ニューマネーの投資行動を勝手読みして先取り投資
今週の当特集は、相場全般が欧米各国の金融イベントや国内のIPO(新規株式公開)ラッシュなどでなお波乱展開が予想されるなか、流入するかもしれないニューマネーの投資行動を勝手読みして先取り投資を提案することにした。ターゲットは、投資しやすい環境を整えるために今年1年間に株式分割を実施し、なおかつ高配当利回り、低PER水準にある銘柄である。さらに投資単位が100万円以上と東証に名指しされた38銘柄のなかのバリュー株も注目され、東証の要請通りに株式分割に踏み切れば、プラスアルファも期待できることになる。
■別格の海運大手3社に続きランキング20位銘柄でもPERは8.0倍
今年1月以来、株式分割をした銘柄で低PER・高配当利回りと評価される銘柄では、海運大手3社が別格である。PERでは川崎汽船<9107>(東証プライム)の0.9倍を筆頭に日本郵船<9101>(東証プライム)、商船三井<9104>(東証プライム)が各1倍台、年間配当利回りは日本郵船の17.01%に続き商船三井16.84%、川崎汽船8.01%となっている。好業績、連続増配の要因となった「コンテナ船バブル」が、来期以降どう推移するのか注目課題となる。別格の別格は、ジャフコ グループ<8595>(東証プライム)だろう。同社は業績予想を開示せず予想PERは算出できないが、野村総合研究所<4307>(東証プライム)の株式売出しで保有株式を売却し、637億9600万円の売却益が発生する。この売却益は、同社株式を保有する旧村上ファンドの保有株を取得する自社株式公開買い付け(TOB)代金に充当する計画だったのが、前週8日にTOBの不実施を発表した。売却代金を株価換算すれば、海運3社に次ぐ超低PER株となるからで、ハイリターンかノーリターンか今後の動向から目を離せない。
海運3社に次ぐ第4位は、PER4倍台、配当利回り6.44%の4位のオプティマスグループ<9268>(東証スタンダード)となる。以下低PER20銘柄を上げると、ノジマ<7419>(東証プライム)、FCホールディングス<6542>(東証スタンダード)、ウェルス・マネージメント<3772>(東証スタンダード)、ハリマビステム<9780>(東証スタンダード)、ランドネット<2991>(東証スタンダード)、テクノクオーツ<5217>(東証スタンダード)、日鉄鉱業<1515>(東証プライム)、恵和<4251>(東証プライム)、スター・マイカ<2975>(東証プライム)、ヤマックス<5285>(東証スタンダード)、キムラユニティー<9368>(東証スタンダード)、愛知時計電機<7723>(東証プライム)、OATアグリオ<4979>(東証プライム)、グッドコムアセット<3475>(東証プライム)、フォーライフ<3477>(東証グロ-ス)、アズマハウス<3293>(東証スタンダード)、橋本総業ホールディングス<7570>(東証プライム)と続く。20位の橋本総業HDのPERは8.0倍、年間配当利回りは4.03%である。
■名指しの38社のうち低PER6銘柄、高配当利回り2銘柄をまず注目
東証が、投資単位当たり金額が100万円超として名指しでリストアップした38銘柄のトップはファーストリテイリング<9983>(東証プライム)で、投資単位当たり金額は831万9000円に達する。任天堂<7974>(東証プライム)は、今年9月30日を基準日に1株を10株に分割する10分割を実施したが、ファーストリテイリングが、50万円未満の投資単位金額をクリアするためには、これを上回る17分割が必要な計算になる。東証は、毎決算期末3カ月以内に上場会社に投資単位引下げの考え方と方針を開示することを義務付けており、プレッシャーが掛かり続けることになる。
38銘柄のうち低PER株と評価される銘柄は、PER6倍台の松本油脂製薬<4365>(東証スタンダード)以下、光通信<9435>(東証プライム)、信越化学工業<4063>(東証プライム)、しまむら<8227>(東証プライム)、富士通<6702>(東証プライム)、ローム<6963>(東証プライム)と続き、ロームのPERは12.9倍である。また大東建託<1878>(東証プライム)、東京エレクトロン<8035>(東証プライム)の年間配当利回りは3%台に乗せている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)