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And Doホールディングスは23年6月期2桁増益予想
- 2022/12/13 08:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
And Doホールディングス<3457>(東証プライム)は、住まいのワンストップサービスを展開し、さらに不動産×金融サービスの深化による高収益化を目指す不動産テック企業である。23年6月期はフランチャイズ事業やハウス・リースバック事業など成長強化事業が牽引して2桁増収増益予想としている。第1四半期は前年の不動産売買事業における大型案件の反動で減収減益だが、成長強化事業のハウス・リースバック事業が大幅伸長し、全体として概ね計画水準だった。そして通期の2桁増収増益予想を据え置いている。住宅需要は堅調であり、成長強化事業が牽引して収益拡大基調だろう。株価は上値を切り下げる形の軟調展開が続いているが、7月の年初来安値圏まで下押す動きは見られない。低PERや高配当利回りといった指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。
■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業
FCチェーンネットワーク構築による不動産情報のオープン化と、時代に即した不動産ソリューションサービスを提供する不動産サービスメーカーとして、住まいのワンストップサービスを展開している。さらにFinTechを活用して「不動産×金融」サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。
不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。そして22年1月1日付で事業持株会社に移行(ハウス・リースバック事業は移行後も同社が運営)し、商号をAnd Doホールディングスに変更した。
FCチェーンネットワークや高齢化社会に対応した不動産ソリューションなど顧客接点・地域密着ネットワークを構築し、売買仲介を起点として住まい関連サービスにつなげる事業シナジーを強みとしている。さらに不動産事業を通じて世の中を安心、便利なサービスを提供する「不動産コンビニ」構想も掲げている。
なお22年9月には、子会社のハウスドゥ住宅販売が経済産業省の「IT導入補助金2022」でIT導入支援業者として採択され、不動産仲介・買取WEBシステム「DO NETWORK」が補助金対象ツールとして登録された。IT導入支援業者としては今回で5度目の採択となる。また22年10月には、不動産賃貸仲介WEBシステム「RENT Doシステム」が補助金対象ツールとして登録された。12月5日には滋賀銀行とのサステナブル評価融資の契約締結と実行を発表している。
■ストック収益型事業が収益柱
ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、および不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進める。
22年6月期のセグメント別営業利益構成比(全社費用等調整前)は、成長強化事業が86%(フランチャイズ事業が34%、ハウス・リースバック事業が25%、金融事業が2%、不動産売買事業が25%)、不動産流通事業が11%、リフォーム事業が3%、その他が▲0%だった。22年6月期第3四半期からセグメント区分を変更し、小山建設グループの事業を不動産売買事業、不動産流通事業、ハウス・リースバック事業に振り分けた。不動産売買事業は大型物件などによって構成比が変動しやすい。
フランチャイズ事業の加盟契約数は22年6月期末時点で21年6月期末比19店舗減少して683店舗となった。20年9月に全国47都道府県すべてに出店契約を達成し、21年1月からはブランドロゴと店舗デザインを一新している。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。
ハウス・リースバック事業では、22年6月期期末の保有物件数が21年6月期末比306件増加して645件、保有物件総額(簿価ベース)が43億20百万円増加して89億14百万円となった。契約件数は187件増加の1090件、物件取得数は209件増加の1010件だった。
金融事業では、22年6月期のリバースモーゲージ保証残高が34億62百万円増加の88億05百万円、保証件数が267件増加の829件、不動産担保融資残高が49億22百万円減少の48億22百万円となった。さらにリバースモーゲージ保証残高は22年9月末時点で100億円を突破した。リバースモーゲージ保証事業では地域金融機関との提携を推進し、提携金融機関は22年10月3日時点で40金融機関となった。さらに、リバースモーゲージのさらなる普及拡大に向けて銀行代理業許可を取得している。楽天銀行の銀行代理業者として「楽天銀行リバースモーゲージ」の申込媒介を行う。なお不動産担保融資は戦略的に縮小させている。
■M&A・アライアンスも活用
M&A・アライアンスでは、19年8月に埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介を展開する小山建設グループを子会社化、20年7月に子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更した。21年7月には加盟店を対象とする業務支援サービスの利用に関して、不動産サービス比較サイト「リビングマッチ」運営のリビン・テクノロジーズ<4445>と業務提携した。21年9月には識学<7049>と業務提携した。識学の「成長する組織つくり」を加盟店が導入することで加盟店の組織力および業績拡大につなげる。
22年5月には、ドキュサイン・ジャパンと不動産売買取引における電子契約システムで業務提携すると発表した。ハウスドゥオリジナル基幹システム「DO NETWORK」と、ドキュサイン・ジャパンの電子署名サービス「DocuSign eSignature」との連携で電子契約が可能になる。
■新中期経営計画(23年6月期~25年6月期)
新中期経営計画(23年6月期~25年6月期)では目標数値に、25年6月期売上高518億19百万円、営業利益41億79百万円、経常利益40億円、親会社株主帰属当期純利益26億40百万円、経常利益率7.7%を掲げている。配当性向は30%以上を基本水準とする。
事業セグメント別の25年6月期の計画は、フランチャイズ事業の売上高41.8億円で営業利益29.0億円、ハウス・リースバック事業の売上高214.2億円で営業利益28.3億円、金融事業の売上高14.1億円で営業利益6.0億円、不動産売買事業の売上高207.6億円で営業利益18.0億円、不動産流通事業の売上高20.4億円で営業利益6.4億円、リフォーム事業の売上高27.0億円で営業利益2.3億円としている。
成長強化事業の主要指標の計画(25年6月期)は、フランチャイズ累計加盟店舗数が865店舗、ハウス・リースバック事業の年間仕入契約数が1440件、リバースモーゲージ保証残高が506億円、リバースモーゲージ提携金融機関が100行、不動産売買のたな卸資産残高が140億円としている。
成長戦略として、成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業)のさらなる拡大、不動産×金融サービスの深化、高収益体質化の促進を推進する。なお20年8月にはDX推進本部を設立している。
なお22年9月には、22年6月30日時点においてプライム市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額が基準を満たしていない状態となったため、上場維持基準適合に向けた計画書を作成・開示した。中期経営計画の達成、IR・PR活動の充実、コーポレート・ガバナンスの強化など、各種取組を推進して25年6月期までに基準値の充足を目指すとしている。
■23年6月期1Q減益だが計画水準、通期2桁増益予想据え置き
23年6月期の連結業績予想は、売上高が22年6月期比12.5%増の465億82百万円、営業利益が20.2%増の34億52百万円、経常利益が12.0%増の33億円、親会社株主帰属当期純利益が11.4%増の21億78百万円としている。配当予想は4円増配の40円(期末一括)としている。連続増配予想である。株主優待制度を22年6月期末対象で廃止し、以降は優待制度に要していた費用相当分を加味して配当で還元する。
セグメント別営業利益(調整前)計画はフランチャイズ事業が10.3%増の25億38百万円、ハウス・リースバック事業が38.9%増の23億87百万円、金融事業が34.2%増の1億85百万円、不動産売買事業が5.4%減の16億円、不動産流通事業が14.7%減の6億23百万円、リフォーム事業が17.5増の2億30百万円、調整額が▲41億11百万円としている。
第1四半期は、売上高が前年同期比13.2%減の96億12百万円、営業利益が56.7%減の3億43百万円、経常利益が58.8%減の2億90百万円、親会社株主帰属四半期純利益が57.9%減の1億74百万円だった。前年の不動産売買事業における大型案件の反動で減収減益だが、成長強化事業のハウス・リースバック事業が大幅伸長し、全体として概ね計画水準だった。
フランチャイズ事業は売上高(調整前)が9.3%減の7億90百万円で、セグメント利益(調整前営業利益)が14.1%減の5億19百万円だった。店舗数減少の影響で減収減益だった。なお累計加盟店数(レントドゥ含む)は682店舗で前年同期比16店舗減少したが、注力エリアの加盟は堅調だったとしている。
ハウス・リースバック事業は売上高が3.7倍の43億01百万円で、利益が5億50百万円(前年同期は5百万円の赤字)だった。HLB11号への譲渡を実施(売上高28.2億円)した。契約件数は68件増加の298件、物件取得数は34件増加の263件、期末保有物件数は173件増加の680件、保有物件総額(簿価ベース)は26億58百万円増加の95億24百万円となった。第2四半期以降の流動化に向けて保有物件数も充実している。なお23年6月期より、ハウス・リースバック保有物件の保有目的を固定資産から販売用不動産に変更した。
金融事業は売上高が28.3%減の1億65百万円で、利益が39.9%増の51百万円だった。不動産担保融資を戦略的に縮小(融資残高は42億37百万円減少の40億60百万円)しているため減収だが、リバースモーゲージ保証が伸長(保証残高が33億09百万円増加の100億02百万円)して大幅増益だった。
不動産売買事業は売上高が54.2%増の35億28百万円、利益が71.3%減の2億67百万円だった。前年の大型案件の反動で減収減益だった。取引件数は10件減少の146件だった。
不動産流通(仲介)事業は、仲介件数が減少して売上高が24.9%減の4億75百万円、利益が22.9%減の1億51百万円だった。仲介件数は28.8%減少の557件だった。リフォーム事業は売上高が8.8%減の5億66百万円だが、利益が39.1%増の35百万円だった。店舗統廃合の影響で受注が減少したが、生産性向上や販管費コントロールの効果で増益だった。リフォーム契約件数は37件減少の415件、完工件数は5件減少の429件だった。
通期の連結業績予想は据え置いている。第1四半期は大型案件の反動で減収減益となり、通期予想に対する進捗率も低水準の形だが、不動産売買事業の引き渡しは第2四半期に集中する見込みである。住宅需要は堅調であり、フランチャイズ事業やハウス・リースバック事業など成長強化事業が牽引して収益拡大基調だろう。
■株価は調整一巡
株価は上値を切り下げる形の軟調展開が続いているが、7月の年初来安値圏まで下押す動きは見られない。低PERや高配当利回りといった指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。12月12日の終値は841円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS111円33銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約4.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS706円07銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約165億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)