【どう見るこの株】ダブルエーは23年1月期3Q累計大幅営業増益、通期予想据え置きだが上振れの可能性

ダブルエー<7683>(東証グロース)は婦人靴の販売をSPA型で展開している。高効率販売を特徴として販路拡大や新製品投入などの施策を積極推進している。12月15日に発表した23年1月期第3四半期累計連結業績は、店舗販売やEC販売が好調に推移して大幅増収・大幅営業増益だった。コスト面では円安によって仕入価格が上昇し、広告宣伝費も増加したが、プロパー価格での販売に注力して粗利率を維持した。通期減益予想を据え置いたが、季節要因で第4四半期の構成比が高い収益特性を勘案すれば、第3四半期累計の進捗率は高水準であり、通期会社予想は上振れの可能性が高いだろう。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが徐々に下値を切り上げている。第3四半期累計業績を評価して出直りを期待したい。

■婦人靴の販売をSPA型で展開

婦人靴の販売をSPA(製造小売)型で展開している。中国のパートナー工場との連携によって、企画~流通~販売のサイクルを高速回転させる高効率販売を特徴としている。ORiental TRafficを主力ブランドとして、スポーツブランドのORTR、都会的なデザインを提案するNICAL、卑弥呼(20年5月に子会社化)なども展開している。また23年3月(予定)には、玉屋より新設分割される予定の分割承継会社のMISCH MASCH(ミッシュマッシュ)を取得し、分割承継会社を吸収合併する。

23年1月期第3四半期末時点の実店舗数は国内が165店(ダブルエーが114店、卑弥呼が51店)、海外が20店(香港が18店、マカオが2店)で、グループ合計が185店となっている。EC店舗数は国内が16店(ダブルエーが11店、卑弥呼が5店)、海外が1店(中国が1店)で、グループ合計が17店となっている。この他に、台湾では海外販売ライセンス契約に基づいて現地企業が実店舗12店、EC1店を展開している。

また、さらなる販路拡大・ブランド認知度向上戦略として、ORiental TRafficを、ストライプインターナショナル運営のAMERICAN HOLIC、キャン運営のTe chichi、ライトオン運営のRight-onにも展開している。

■23年1月期3Q累計大幅営業増益、通期上振れの可能性

23年1月期第3四半期累計(2月~10月)の連結業績は、売上高が前年同期比14.5%増の124億43百万円、営業利益が25.9%増の6億58百万円、経常利益が8.8%減の4億77百万円、親会社株主帰属四半期純利益が6.8%減の2億98百万円だった。

店舗販売やEC販売が好調に推移して大幅増収・大幅営業増益だった。グループ全体の店舗展開は実店舗の新規出店が14店舗、退店が10店舗、期末店舗数が185店舗で、期末EC店舗は合計17店舗となった。単体ベースの販路別売上高は、実店舗販売が9.7%増の60億37百万円、EC販売が25.0%増の20億53百万円、その他(委託販売等)が35.2%増の9億52百万円だった。

コスト面では円安によって仕入価格が上昇し、テレビCM放映などで広告宣伝費も増加したが、SPAの特徴を生かした自社努力に加えて、プロパー価格での販売に注力して前年と同程度の粗利率を維持した。経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は営業外費用で為替差損1億74百万円を計上したため減益だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が33億04百万円で営業利益が2億17百万円の赤字、第2四半期は売上高が49億30百万円で営業利益が5億12百万円、第3四半期は売上高が42億08百万円で営業利益が3億63百万円だった。第3四半期の営業利益は前年比で2.3倍と大幅伸長した。

通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年1月期比10.8%増の173億97百万円、営業利益が13.1%減の9億01百万円、経常利益が14.0%減の8億87百万円、親会社株主帰属当期純利益が32.3%減の4億79百万円としている。配当予想は22年1月期と同額の25円(期末一括)としている。

店舗販売やEC販売が好調に推移して過去最高の売上高を目指すが、利益面は円安影響や広告宣伝投資などを考慮して減益予想としている。ただし第3四半期累計の進捗率は売上高が71.5%、営業利益が73.0%、経常利益が53.8%、親会社株主帰属当期純利益が62.3%だった。季節要因で第4四半期(11月~1月)の構成比が高い収益特性を勘案すれば、第3四半期累計の進捗率は高水準であり、通期会社予想は上振れの可能性が高いだろう。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

なお単体ベースの月次売上状況(速報値、前年比)を見ると、22年11月は店舗販売103%、EC販売101%、その他170%、合計107%だった。店舗販売は平年より気温が高くブーツの売上が伸び悩んだが、パンプスとスニーカーが増加した。EC販売は販促を抑えながらも前年と同程度を確保した。22年2月~11月累計ベースでは店舗販売109%、EC販売122%、その他135%、合計114%となった。

■株価は下値切り上げ

株価は反発力の鈍い展開だが徐々に下値を切り上げている。第3四半期累計業績を評価して出直りを期待したい。12月15日の終値は2518円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS100円43銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1704円32銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約120億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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