ジェイテックは戻り試す、23年3月期は営業黒字転換予想で収益改善基調

 ジェイテック<2479>(東証グロース)はテクノロジスト派遣の「技術商社」を標榜し、技術職知財リース事業を主力としている。成長戦略として、テクノロジスト700名体制の早期実現に向けた人材採用・教育の強化など、持続的な成長に向けた収益基盤の強化を推進している。23年3月期は営業黒字転換、経常・最終大幅増益予想としている。第2四半期累計の各利益は計画を上回る水準で着地している。さらに第3四半期以降も新卒テクノロジストの稼働本格化や単価上昇が想定されることなどを勘案すれば、通期会社予想の達成は可能だろう。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。株価は地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、モミ合いから上放れの動きを強めている。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。

■技術者派遣の「技術職知財リース事業」が主力

 製造業の開発・設計部門に技術者を派遣する「技術職知財リース事業」を主力として、子会社のジェイテックアドバンストテクノロジは一般派遣およびエンジニア派遣事業を展開している。

 専門教育による知識を基盤として、新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的なエンジニアと区別している。そして「技術商社」を標榜し、テクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。

 独立系の技術者派遣会社として、上場企業および優良中堅企業160社以上と幅広く取引があり、機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発、建築設計の4分野を柱として、業種別にも幅広く展開していることが特徴だ。

 22年3月期の連結ベースの業種別売上高構成比は、建築関連が20%、産業用機器関連が19%、自動車関連が19%、情報処理関連が12%、電子・電気機器関連が10%、半導体・集積回路関連が6%、情報・通信機器関連が4%、航空機・宇宙関連が3%、精密機器関連が3%、そして一般派遣・その他が3.2%だった。業種別売上構成比は分散化の傾向が継続し、特定の業種に偏らない構成となっている。

 22年3月期の売上上位顧客企業(順不同)は、デンソーテン、ヤマハ発動機、本田技研工業、アイシン、リコージャパン、本田技術研究所、日立GEニュークリア・エナジー、ヤマハ、椿本チエイン、LIXILだった。

 連結ベースの22年4月1日時点の技術要員数は445名(22年3月期末423名、22年4月入社32名)で、単体ベースの22年4月1日時点のテクノロジスト数は212名(22年3月期末205名、22年4月1日入社8名)となっている。

■テクノロジスト700名体制の早期実現目指す

 中期経営計画(23年3月期~25年3月期)では、最終年度25年3月期の業績目標値を、売上高50億円、営業利益3億50百万円、経常利益3億22百万円、親会社株主帰属当期純利益1億92百万円としている。基本方針としては、持続的な成長に向けた収益基盤の強化、財務基盤の一層の強化と安定した株主還元、投資の拡大による成長の促進と多角的な収益源の確保を推進し、技術職知財リース事業の事業基盤をより強固なものとしつつ、事業の多角化により企業価値の向上・株主価値の向上を実現することを目指す。

 持続的な成長に向けた収益基盤の強化では、能力を重視した厳選採用の継続によるテクノロジスト700名体制の早期実現、技術力と高いヒューマンスキルを兼ね備えたテクノロジストの育成、グループ内連携による採用・営業の強化と効率化を推進する。財務基盤の一層の強化と安定した株主還元では、持続的成長を支えるための財務体質強化、社内分配と安定継続的な株主還元を推進する。投資の拡大による成長の促進と多角的な収益源の確保では、新技術分野へのアライアンスやM&Aへの注力、収益源の多角化による事業ポートフォリオ拡大を推進する。

 21年9月には事業拡大と採用強化に向けた北海道地方の拠点として札幌営業所を開設した。21年11月には東海エリアでの採用強化に向けて浜松営業所を移転・増床した。

 22年1月には新規事業領域として「まなクル事業」を発表した。長年に亘り蓄積した独自の人材育成カリキュラムや最新技術に関するノウハウを基軸として、生活支援コミュニティー・スペースを提供し、法人から個人に至るまで「働くこと」「学ぶこと」を支援するサービスである。事業拠点として全国6店舗でスタートし、順次新規店舗を展開する。22年4月には、まなクルによるリカレント教育サービスの拡大、埼玉・神奈川エリアの営業・採用強化を目的として、まなクル大袋・埼玉営業所、まなクル井土ヶ谷・横浜営業所を開設した。

 22年7月には従業員の賃金(月額基本給)改定を発表した。22年4月に実施した2.5%の定期昇給に加えて、22年10月1日から初めての特別昇給として、さらに一律0.5%引き上げる。給与引き上げを通じて一層の働きがいの向上と組織の活性化につなげ、中期経営計画の目標達成を目指す。

■グロース市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではグロース市場を選択し、グロース市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。

 24年3月期までにグロース市場の上場維持基準を充たすことを目指し、主力の技術職知財事業の持続的成長による収益力の向上、持続的な成長に向けた資本政策の実行、IR活動の強化など各種施策の取り組みを推進する。株主還元については、安定的かつ継続的な配当を基本として、配当性向20%の実現を目指すとしている。なお24年3月期までに時価総額基準を充たすことができなかった場合は、目標を新スタンダード市場への市場区分変更に切り替えるとしている。

■23年3月期は営業黒字転換予想で収益改善基調

 23年3月期連結業績予想は、売上高が22年3月期比17.0%増の35億円、営業利益が1億40百万円の黒字(22年3月期は1億18百万円の赤字)、経常利益が32.0%増の1億55百万円、親会社株主帰属当期純利益が54.3%増の93百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の1円(期末一括)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比10.5%増の15億78百万円、営業利益が34百万円の黒字(前年同期は1億30百万円の赤字)、経常利益が62百万円の黒字(同6百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が31百万円の黒字(同1百万円の赤字)だった。

 コロナ禍の影響が和らいでテクノロジストの稼働が回復傾向となり、増収効果で営業黒字転換した。前回予想(売上高16億55百万円、営業利益11百万円、経常利益25百万円、親会社株主帰属四半期純利益18百万円)に対しては、テクノロジストの稼働人員数が想定をやや下回ったため売上高は76百万円未達だったが、新卒テクノロジストの順調な稼働開始や全社的なコスト削減活動なども寄与して営業利益は23百万円、経常利益は37百万円、親会社株主帰属四半期純利益は13百万円、それぞれ超過達成して着地した。なお営業外収益では助成金収入27百万円を計上(前年同期は1億10百万円計上)した。

 技術職知財リース事業は、売上高が10.7%増の15億61百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が3.7倍の2億10百万円だった。大幅増収増益だった。労働工数が増加し、平均単価も上昇した。一般派遣およびエンジニア派遣事業は、売上高が1.4%減の17百万円で、利益が4百万円の黒字(前年同期は10百万円の赤字)だった。コロナ禍の影響で売上高は横ばいだったが、販管費の削減で黒字転換した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億82百万円で営業利益が25百万円の黒字、第2四半期は売上高が7億96百万円で営業利益が9百万円の黒字だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。コロナ禍の影響が23年3月末まで続くと仮定しているが、22年3月期との比較ではコロナ禍の影響が和らぎ、大幅増収、営業黒字転換、経常・最終大幅増益予想としている。第2四半期累計の進捗率は売上高が45.1%、営業利益が24.3%、経常利益が40.0%、親会社株主帰属当期純利益が33.3%とやや低水準だったが、各利益は計画を上回る水準で着地している。さらに第3四半期以降も新卒テクノロジストの稼働本格化や単価上昇が想定されることなどを勘案すれば、通期会社予想の達成は可能だろう。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、モミ合いから上放れの動きを強めている。そして週足チャートで見ると13週移動平均線が上向きに転じている。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。12月28日の終値は232円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS11円72銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS117円52銭で算出)は約2.0倍、そして時価総額は約20億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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