【アナリスト水田雅展の銘柄分析】第一実業は第1四半期の大幅増益を好感して06年2月以来の高値水準

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 第一実業<8059>(東1)は各種産業機械の取扱を主力とする総合機械商社である。株価は第1四半期(4月~6月)大幅増益も好感して7月30日の年初来高値697円まで上伸した。06年2月748円以来の高値水準だ。その後も高値圏で堅調に推移している。16年3月期増収増益・増配予想、そして指標面の割安感を評価して上値追いの展開だろう。

■産業機械を主力とする総合機械商社

 各種産業機械の取扱を主力とする総合機械商社で、プラント・エネルギー事業、産業機械事業、エレクトロニクス事業、航空事業を展開し、海外は米州、中国、東南アジア・インド、欧州の世界18カ国36拠点に展開している。

 13年5月発表の新経営計画「AIM2015」では、最終年度16年3月期の売上高1550億円、営業利益57億円、経常利益59億円、純利益37億円、ROE10.7%を目標値として掲げ、広範囲な営業力とエンジニアリング集団としての強みを活かしてグローバルビジネスを積極展開している。

 新規事業としては、植物工場システムの販売に関するプロジェクトを立ち上げて、埼玉県入間市にパイロットプラントを建設した。また14年3月には長野県飯田市でメガソーラー「第一実業飯田太陽光発電所」が竣工した。茨城県笠間市の太陽光発電所に続く2カ所目のメガソーラーだ。

 バイナリー発電装置ビジネスに関しては焼却プラント6基、温泉地熱プラント5基が稼動し、焼却プラント向け1基、地熱・温泉向け11基を建設中である。

 14年4月に米アクセスエナジー社のバイナリー発電装置の日本国内での独占的製造権を取得し、14年5月には地熱・温泉業界向け小型バイナリー発電装置の独占販売代理店契約を締結した。地熱、温泉熱、焼却廃熱、一般工場廃熱など、未利用熱エネルギーを有効活用して発電するバイナリー発電システムの拡大を目指す戦略だ。

 また15年4月には連結子会社の第一メカテックのDJTECH事業部門を名古屋電機工業<6797>に譲渡した。DJTECH事業部門は高性能はんだ印刷検査装置の開発・製造・販売を行っており、これらに関するノウハウ・技術を名古屋電機工業と一元化する。そして名古屋電機工業と当該検査装置事業に係る代理店契約を締結し、製販サービスの一貫体制を強化して両社の事業拡大を目指すとしている。

■16年3月期第1四半期は大幅増益、通期は増収増益・増配予想

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)320億72百万円、第2四半期(7月~9月)412億59百万円、第3四半期(10月~12月)299億74百万円、第4四半期(1月~3月)400億56百万円、営業利益は第1四半期44百万円、第2四半期16億79百万円、第3四半期4億48百万円、第4四半期21億70百万円だった。

 大型案件の動向で四半期収益は変動しやすく、さらに設備投資関連のため概ね第2四半期および第4四半期の構成比が高い収益構造である。また15年3月期のROEは14年3月期比0.5ポイント上昇して8.7%、自己資本比率は同0.1ポイント上昇して38.3%、DERは同0.03ポイント上昇して0.31倍となった。配当性向は29.4%だった。

 7月31日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.5%減の296億61百万円だったが、営業利益が同11.7倍の5億16百万円、経常利益が同2.6倍の6億62百万円、純利益が4億57百万円(前年同期は27百万円の赤字)だった。

 海外向けプラント用設備など大口案件が一巡して減収だったが、粗利率の改善や販管費の減少が寄与して大幅増益だった。なお全体の受注高は同8.6%減の390億71百万円だった。

 セグメント別に見ると、プラント・エネルギー事業は大型案件が一巡して売上高が同15.7%減の77億72百万円だったが、粗利率の改善で営業利益(全社費用等調整前)が15百万円の赤字(前年同期は89百万円の赤字)に改善した。産業機械事業は自動車関連業界向け自動組み立てラインなどの大型案件が一巡して売上高が同17.1%減の96億40百万円だったが、粗利率の改善で営業利益が同15.8%増の2億73百万円だった。

 エレクトロニクス事業は、中国・アジア向け電子部品実装機などが好調に推移して売上高が同16.3%増の103億50百万円、営業利益が59百万円(前年同期は26百万円の赤字)に改善した。航空事業は航空機地上支援機材および空港施設関連機器の大型案件が一巡して売上高が同70.9%減の2億37百万円、営業利益が48百万円の赤字(前年同期は5百万円の利益)だった。

 通期の連結業績予想は前回予想(5月11日公表)を据え置いて、売上高が前期比8.1%増の1550億円、営業利益が同26.7%増の55億円、経常利益が同19.9%増の57億円、純利益が同27.7%増の37億円としている。配当予想は同1円増配の年間17円(第2四半期末8円、期末9円)で予想配当性向は24.5%となる。

 セグメント別売上高の計画は、プラント・エネルギー事業が同6.1%増の320億円、エレクトロニクス事業が同3.0%増の370億円、産業機械事業が同4.7%増の430億円、海外法人が同19.0%増の400億円、その他が同17.5%増の30億円としている。なお受注高については高水準だった前期(前々期比37.0%増の1740億07百万円)の反動を考慮して同8.0%減の1600億円としている。

 メキシコにおける自動車関連業界向け自動組立ライン・塗装ロボット、アジア地域における電子部品実装関連など、国内外で自動車関連業界や電子部品実装関連を中心に設備投資需要が高水準に推移する。バイナリー発電関連の収益寄与も期待される。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が19.1%、営業利益が9.4%、経常利益が11.6%、純利益が12.4%と低水準の形だが、大型案件の動向で四半期収益が変動しやすく、設備投資関連のため概ね第2四半期および第4四半期の構成比が高い収益構造であるため、現時点では特にネガティブ要因とはならない。増収増益基調だろう。

■株価は06年2月以来の高値圏で堅調

 株価の動きを見ると、第1四半期の大幅増益も好感して7月30日の年初来高値697円まで上伸した。06年2月748円以来の高値水準だ。その後も高値圏で堅調に推移している。好業績見通しを評価する流れに変化はないようだ。

 8月6日の終値687円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS69円09銭で算出)は10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間17円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS659円44銭で算出)は1.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形だ。16年3月期の増収増益・増配予想、そして指標面の割安感を評価して上値追いの展開だろう。06年2月の748円は射程圏だ。

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