【話題】個人向け国債の利率引き上げ、年0.17%から一挙に年0.33%へ、金利上昇を懸念の一方、今年は「まともな利息」のつく貯蓄対象になることを願う投資家も

■「利息が電車賃にもならない」、長いこと「極超低金利」だが

 財務省は1月6日午前、1月に発行する個人向け国債の利率を発表し、10年国債(変動金利型、第154回債)の初回適用利率は年0.33%(税引後:年0.2629605%、野村証券のホームページより)とした。昨2022年12月債の初回適用利率は年0.17%だったため、2倍近い金利アップとなった。これを受け、株式市場関係者からは、昨年12月の日銀のYCC(長期金利のコントロール枠)上限引き上げによって湧きあがった金利上昇感が現実のものになってきたとの見方が出ている。

■長期金利の指標となる機関投資家向けは4月以来の引き上げ

 個人向け国債の利率は、機関投資家向け国債の入札結果を反映して決定される。1月発行の機関投資家向け国債の入札は、1月5日、10年国債(第369回債)の利率を年0.5%として入札を実施したと伝えられた。12月発行の機関投資家向け10年国債の利率は年0.2%で、引き上げ改定は2022年4月以来で、このときは年0.1%から年0.2%に引き上げられた。

■戦後最高利率の10年国債は年8.7%、複利投資で2.3倍に

 1月発行の個人向け国債は、財務省のホームページによると、『固定利率3年債』(第152回債)、『固定利率5年債』(第142回債)、『変動利率10年債』(第154回債、利率は半年ごとに見直し)、そして新型窓口販売の10年物国債。募集期間は令和5年1月10日から31日まで、発行日は令和5年2月15日。貯蓄商品としては、かれこれ10年近く「極超低金利」で発行されているため、「利息が電車賃より少ない」といった不評をかってきたが、2023年は「まともな利息」のつく貯蓄対象になることを願う投資家も少なくないようだ。

 なお、10年国債で戦後最高の利率とされるのは1980年3月債の年利率8.7%(固定利率)で、第2次オイルショックによる物価高を抑制するため日銀が公定歩合(当時)を連続引き上げ、同月に9.0%まで引き上げた時に発行された。当時のパンフレット(当時の山一證券)をみると、満期償還額より幾分安く購入できたため年利回りは8.888%になった。半年に1度の利息を再投資する「複利式国債貯蓄」(同)を利用すると、100万円を据え置いて10年後には239万8200円になるとある。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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