【どう見るこの相場】「大回り三年」の歴史は繰り返すでツインデミック関連株に先回りの選別投資余地

どう見るこの相場

 まさに「大回り三年」である。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の足元の第8波が、あの3年前の第1波とよく似ているのである。歴史と相場は繰り返すで、3年経てば一回りしてスタート地点に先祖返りしているかのようだ。第1波は、中国が2019年12月31日にWHO(世界保健機関)に原因不明の肺炎が発生したと通知したことが発端で、ヒトからヒトへの感染の重大な証拠は認められていないと報告し、野生動物からヒトへの感染のみが疑われた。このためWTOは、ディトロス事務局長と中国との政治的関係を加わり、緊急事態宣言の早期発出をためらい、その後のパンデミック(世界的な感染爆発)を惹起した。

 この第1波当時の日本では、1月16日に中国に滞在歴のある男性から国内初感染が確認されたと発表されたあとでも、中国の習近平国家主席の4月~5月の来日予定を控えて入国規制の水際対策が遅れ、折からの春節(旧正月)で中国人旅行客が大挙来日して新型コロナ感染症の全国各地での感染拡大要因となった。2月には、横浜港に接岸したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンス号」で集団感染(クラスター)が発生し、死亡者は13人に達した。このパニックのために、全国至るところのドラッグストアやスーパーなどの店舗の陳列棚から感染予防のマスクや除菌剤、解熱剤などが払底した。株価も、日経平均株価が3月に1万6358円まで急落してしまった。

 今回の第8波では、中国が厳格な外出制限や都市封鎖をする「ゼロコロナ政策」を解除したあとの感染拡大で、ディトロスWTO事務局長さえもが、新型コロナによる中国の死者数が過少申告されていると透明性のある報告を求めたが、衛生当局は、日々の感染状況を示すデータの公表を中止し、1月14日には前月12月8日から1月12日までの死亡者数を5万9938人と発表したにとどまったままだ。

 日本国内でも、第7波の感染者数が一応の収束をみせたあと、行動制限や入国規制を緩和し、国内旅行喚起策の全国旅行支援キャンペーンも推進、新型コロナの感染症法上の取り扱いも、危険度が2番目の「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類」へ引き下げを検討中である。それが今年1月14日の死者数は、503人と連日の過去最高となり、重症患者用病床のひっ迫も伝えられている。流石に春節を前にした中国からの入国者に対しては、空港での検疫を強化するなど入国規制に踏み切ったが、これに対抗して中国が、日本と韓国に対して中国渡航のためのビザ(査証)の発給を停止し政治問題化している。

 株式市場の反応は、第1波と第8波では大幅に異なる。第1波では、パニック対応でワクチン関連株、マスク株、除菌剤株はもちろん巣ごもり消費関連株、テレワーク関連株、遠隔医療関連株などが幅広く逆行高したが、その後は多くが大きく調整し、今回も、総じて織り込み済みとして限定的な反応にとどまっている。しかし「大回り三年」である。しかも今回は、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行(ツインデミック)となっている。さらにこれからスギ花粉飛散の本格期を迎え、花粉症も加わる複合流行(トリプルデミック)の可能性も捨て切れない。

 株式マーケットでは、テールリスクが取り沙汰されることがある。まれにしか起こらず発生確率は低いが、発生すると相場が大暴落するリスクのことである。今回の第8波は、未知ではなく目の前にあるリスクで、これまでの学習効果とワクチンや治療薬の備えもありパニックになることは想定されていない。しかし、ワクチンの免疫力がすり抜ける新派生株の感染拡大も報告されている。万が一に備えるのも株式投資のセオリーとなるはずである。

 もちろん人気化する関連株は、第1波と第8波ではかなり異なることが想定される。しかしベースとなるのは、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザ感染症の同時検査の抗原検査キット関連株とも想定され、この動向次第で関連株に波及する展開も想定され、先回りの選別投資も一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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