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トーソーはモミ合い煮詰まり感、23年3月期減益予想だが下期改善基調
- 2023/1/20 09:56
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トーソー<5956>(東証スタンダード)はカーテンレール類やインテリアブラインド類の大手である。成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として住宅分野での深耕や高付加価値製品拡販などを推進している。1月17日にはカンテレ・フジテレビ系列の連続ドラマ「罠の戦争」に美術協力したとリリースしている。23年3月期は原材料価格高騰の影響や販促費の増加などで減益予想としているが、製品価格改定効果やコストダウン効果などで下期の収益改善基調が期待できるだろう。株価は小幅レンジでモミ合う形だ。地合い悪化も影響して上値が重いが、一方では22年5月の昨年来安値まで下押すことなく推移して煮詰まり感を強めている。23年3月期減益予想の織り込みは完了している形であり、低PBRも評価して出直りを期待したい。なお2月3日に23年3月期第3四半期決算発表を予定している。
■カーテンレール・インテリアブラインドの大手
室内装飾関連事業(カーテンレール類、ブラインド類、間仕切類)を主力として、介護用品事業(ステッキなど)も展開している。カーテンレール類やインテリアブラインド類の大手で、国内市場シェアは、カーテンレール類(国内市場規模約220億円)が約45%、ブラインド類(同約670億円)が約15%である。
ローマンシェード「クリエティ ループレス」はループ状の操作チェーンやコードがなく、優れたデザイン性も併せ持つ安心安全のチャイルドセーフティ製品である。21年9月には第15回キッズデザイン賞(主催:キッズデザイン協議会)において奨励賞およびキッズデザイン協議会会長賞を受賞、21年10月には2021年度グッドデザイン賞(主催:日本デザイン振興会)を受賞した。また22年10月にはカーテンレール「モノ16」が2022年度グッドデザイン賞を受賞した。
22年3月期のセグメント別売上高構成比は室内装飾関連事業が98%、その他が2%で、セグメント利益(営業利益)構成比は室内装飾関連事業が98%、その他が2%だった。室内装飾関連事業の商品別売上構成比はカーテンレール類が44%、ブラインド類が45%、間仕切類が1%、その他が10%だった。販売先別売上構成比は専門店・工事店(住宅メーカー、工務店納入業者、インテリア専門店、家具店、内装工事業者等)が80%、大型小売業(ホームセンター・GMS等)が6%、海外販売が3%、その他が11%だった。
生産は国内、インドネシア、中国で行い、国内外からの仕入品とともに、主に住宅市場向けに代理店等を通じて販売している。収益面では、新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い特性がある。
■高付加価値製品拡販などを推進
2016年度にスタートした10年間の経営ビジョン「Vision2025」では、目標値(新型コロナウイルスの影響を勘案して最終年度を26年度に変更)に売上高270億円、自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を掲げている。
中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、住宅分野での深耕、高付加価値製品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新製品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を推進している。
そして第2フェーズ(20年度~23年度)目標値を23年度売上高240億円、ROE6%以上としている。住宅分野の停滞を補うため、コアビジネスにおける「TOSO」特有の新しい企業価値創造・新たな付加価値提案、成長戦略への重点投資による事業領域拡大、持続的な企業成長を実現するための強固な経営基盤の再整備を推進する。
なお22年4月には、ESGやSDGsへの取り組みとしてサステナビリティ方針を策定するとともに、ホームページに「サステナビリティ」ページを開設した。
■23年3月期は原材料価格高騰で減益予想だが下期改善基調
23年3月期の連結業績予想は売上高が22年3月期比3.1%増の215億円、営業利益が23.6%減の6億円、経常利益が23.6%減の6億30百万円、親会社株主帰属当期純利益が21.0%減の4億20百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比2.2%増の101億65百万円、営業利益が28.6%減の1億68百万円、経常利益が22.0%減の1億99百万円、親会社株主帰属四半期純利益が32.6%減の1億04百万円だった。
売上面は、新設住宅着工戸数が減少する厳しい状況でも増収を確保した。住宅市場での販売が減少したが、非住宅分野、海外、福祉用品の販売が増加した。利益面は、資材ロス低減や生産工程見直しなどの原価低減を推進したが、原材料価格高騰の影響や販促費の増加などで減益だった。売上総利益率は41.4%で1.2ポイント低下した。
セグメント別に見ると、室内装飾関連事業は売上高が2.0%増の99億45百万円でセグメント利益が27.7%減の1億62百万円、その他(福祉用品など)は売上高が13.0%増の2億20百万円でセグメント利益が48.4%減の5百万円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が48億46百万円、営業利益が43百万円、第2四半期は売上高が53億19百万円で営業利益が1億25百万円だった。
通期の連結業績予想は据え置いている。原材料価格高騰の影響や販促費の増加などを考慮して減益予想としている。通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は低水準の形だが、住宅関連市場の影響で第4四半期の構成比が高い季節特性があり、カーテンレールおよび関連部品の価格改定効果(22年7月4日受注分から実施)やコストダウン効果などで下期の収益改善基調が期待できるだろう。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および継続保有期間に応じて実施(詳細は会社HP参照)している。
■株価はモミ合い煮詰まり感
株価は小幅レンジでモミ合う形だ。地合い悪化も影響して上値が重いが、一方では22年5月の昨年来安値まで下押すことなく推移して煮詰まり感を強めている。23年3月期減益予想の織り込みは完了している形であり、低PBRも評価して出直りを期待したい。1月19日の終値は500円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円95銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1476円41銭で算出)は約0.3倍、そして時価総額は約50億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)