ティムコは利益確定売り一巡、23年11月期大幅営業・経常増益予想

 ティムコ<7501>(東証スタンダード)は、フィッシング用品およびアウトドア用品の企画・開発・販売を展開している。フィッシング用品分野ではフライフィッシングのパイオニアであり、アウトドア用品分野ではオリジナル衣料ブランド「Foxfire」を主力としている。22年11月期は2桁増収で黒字転換した。フィッシング事業では屋外アクティビティとして注目された釣り需要が平常に復したが、アウトドア事業が行動制限の緩和で好調に推移し、返品率改善なども寄与した。そして23年11月期は大幅営業・経常増益予想としている。価格改定効果(22年12月から実施)も期待され、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は23年1月17日付の22年11月期業績予想上方修正を好感して急伸する場面があった。その後は買いが続かず反落の形となったが、利益確定売りが一巡し、収益改善基調や低PBRを評価して戻りを試す展開を期待したい。

■フィッシング用品およびアウトドア用品の企画・販売

 フィッシング用品(ルアーフィッシング用品、フライフィッシング用品)およびアウトドア用品(アウトドア衣料・用品)の企画・開発・販売事業を展開している。

 フィッシング用品の分野では、日本では歴史の浅いフライフィッシングのパイオニアであり、竿から衣料品に至るまで全てのフライ用品を取り扱う唯一の企業であることを特徴・強みとしている。アウトドア用品の分野では、自社オリジナルブランドのアウトドア衣料ブランド「Foxfire」を主力としている。

 22年11月期のセグメント別の売上高は、フィッシング事業が21年11月期比3.3%減の10億29百万円、アウトドア事業が同20.5%増の22億39百万円、その他(不動産賃貸収入)が同24.5%減の20百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)は、フィッシング事業が同4.5%減の1億60百万円、アウトドア事業が1億25百万円の黒字(21年11月期は24百万円の赤字)、その他が同33.8%減の13百万円、営業利益の全社費用等調整額が▲1億85百万円(同▲1億91百万円)だった。

■ブランド力向上、ネット販売強化、グローバル化を推進

 中期的な重点課題としてBRAND(ブランド力を高めるための戦略強化)、NET(インターネット活用を前提とする仕組の強化)、GLOBAL(世界に通用することを目指す商品・仕組の構築)を掲げ、基本戦略としては規模の拡大よりも内容の充実に重点を置き、フィッシング事業ではフライ用品の裾野拡大やルアー用品のユーザー層拡大、アウトドア事業ではオリジナルアウトドア衣料ブランド「Foxfire」や直営店舗「Foxfire Store」の認知度向上・ユーザー層拡大に取り組んでいる。

 またネット通販や宣伝販売促進の更なる強化、フィッシング事業の強化、直営店フォックスファイヤーの販売チャネル見直しや不採算店舗整理による事業効率化、社内業務見直しによる販管費コントロール・経費削減なども推進している。

 なお19年4月にスノーピーク<7816>と資本業務提携し、スノーピークが第1位株主となっている。商品開発・販売などを共同展開する。21年11月にはスノーピーク、アイビック、アイビック食品、および同社の4社共同で、キャンプ・フィッシング・食を融合した体験型施設などを展開し、新たなアウトドアカルチャーの価値創造を目的とする新会社キャンパーズアンドアングラーズ(札幌市)を設立した。

■22年11月期黒字転換、23年11月期大幅営業・経常増益予想

 22年11月期の業績(非連結、収益認識会計基準適用だが影響軽微、22年11月28日付で売上高を下方修正、利益を上方修正、23年1月17日付で売上高、利益とも上方修正)は、売上高が21年11月期比11.5%増の32億90百万円、営業利益が1億13百万円の黒字(21年11月期は26百万円の赤字)、経常利益が1億19百万円の黒字(同14百万円の赤字)、そして当期純利益が1億26百万円の黒字(同9百万円の赤字)だった。配当(22年11月28日付で期末6円60銭上方修正)は、21年11月期比6円60銭増配の12円(期末一括)とした。

 2桁増収で各利益は黒字転換した。前回予想(22年11月28日付)に対して、売上高は43百万円、営業利益は25百万円、経常利益は26百万円、当期純利益は47百万円、それぞれ上回った。売上面では、フィッシング事業においては屋外アクティビティとして注目された釣り需要が平常に復したが、アウトドア事業がコロナ禍に伴う行動制限の緩和で好調に推移し、特に22年11月の販売が想定によりも上振れた。営業利益と経常利益については、アウトドア事業の販売が好調に推移して返品率が改善したことに伴い、期末に売上高から控除される返品額の見積もりが想定を下回ったことも寄与した。さらに当期純利益については、繰延税金資産(法人税等調整額)▲26百万円の計上も寄与した。

 フィッシング事業は売上高が3.3%減の10億29百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が4.5%減の1億60百万円だった。屋外アクティビティとして注目された釣り需要が平常に復したため販売がやや低調だった。製品別に見ると、フライ用品は他の釣種に比べて需要が安定していたため販売が堅調だったが、ルアー用品は対象魚種の釣果低迷に伴う釣行の減少で販売が低調だった。

 アウトドア事業は売上高が20.5%増の22億39百万円、利益が1億25百万円の黒字(同24百万円の赤字)だった。22年4月以降に行動制限が発出されなかったことを背景に登山やトレッキング等の外出機会が増加し、百貨店やショッピングセンター等の商業施設の集客も回復したため、アウトドア衣料の販売が好調に推移した。期前半の冬季は気温低下で防寒衣料の販売が伸長し、期後半の夏季以降は透湿防水素材(ゴアテックス)の軽量ジャケットや防虫素材(スコーロン)を使用した商品の販売が順調に推移した。

 その他(不動産賃貸収入)は賃貸面積の縮小により、売上高が24.5%減の20百万円、利益が33.8%減の13百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が7億53百万円で営業利益が0百万円の赤字、第2四半期は売上高が9億36百万円で営業利益が68百万円の黒字、第3四半期は売上高が7億67百万円で営業利益が10百万円の黒字、第4四半期は売上高が8億34百万円で営業利益が35百万円の黒字だった。

 23年11月期業績(非連結)予想は売上高が22年11月期比6.1%増の34億90百万円、営業利益が31.8%増の1億49百万円、経常利益が26.7%増の1億51百万円、当期純利益が2.1%増の1億28百万円としている。配当予想は22年11月期と同額の12円(期末一括)としている。

 大幅営業・経常増益予想としている。重点施策として、フィッシング事業ではキャンプ地など他のアウトドア・アクテビティとの融合により釣り人口の拡大を促すとともに、動画配信やソーシャル・ネットワーキング・サービスなどインターネットを活用した販売促進活動を強化して収益力向上を図る。アウトドア事業では、自社アウトドア衣料ブランド「フォックスファイヤー」の認知度向上と顧客数の増加を目指し、商品開発力の強化および顧客サービスの向上のほか、直営店舗の事業効率化や販売チャネルの見直しなどにより収益力向上を図る。さらに、フィッシング事業とアウトドア事業の相互の有機的連携を強化して、総合力の向上を推進する方針だ。なお当期純利益は前期の繰延税金資産(法人税等調整額)計上の影響が一巡して小幅増益予想としている。

 22年12月からフライ関連製品、ルアー関連製品、Foxfire関連製品(一部製品は23年2月から)の価格改定を実施しており、23年11月期は価格改定効果も期待される。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株主優待制度は毎年11月末の株主対象

 株主優待制度は毎年11月30日現在の株主を対象として、保有株式数に応じてFoxfire Store20%OFFお買物優待券を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は利益確定売り一巡

 株価は23年1月17日付の22年11月期業績予想上方修正を好感して急伸する場面があった。その後は買いが続かず反落の形となったが、利益確定売りが一巡し、収益改善基調や低PBRを評価して戻りを試す展開を期待したい。1月27日の終値は804円、今期予想PER(会社予想のEPS51円94銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約1.5%、前期実績PBR(前期実績のBPS1856円56銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約27億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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