ゼリア新薬工業は23年3月期3Q累計大幅増益で通期営業・純利益予想を超過達成、配当予想は上方修正
- 2023/2/3 09:11
- 決算発表記事情報
(決算速報)
ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は2月2日の取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調だった。通期は期初予想を据え置いて2桁増収増益予想としている。ただし第3四半期累計の営業利益と純利益は通期会社予想を超過達成している。通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお配当予想は上方修正した。株価は22年12月の昨年来高値圏から利益確定売りで反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。好業績や配当予想上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。
■23年3月期3Q累計大幅増益で通期営業・純利益予想を超過達成、
23年3月期第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比14.7%増の517億29百万円、営業利益が55.6%増の85億50百万円、経常利益が24.0%増の69億57百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が47.9%増の59億80百万円だった。
大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調だった。なおスイスフラン高の影響で営業外の為替差損益が悪化(前年同期は為替差益1億31百万円計上、今期は為替差損16億28百万円計上)した。特別損失には契約解除損失引当金繰入額2億35百万円を計上した。
医療用医薬品事業は売上高が17.8%増の324億34百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が45.0%増の80億36百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外市場のカナダ、北欧、イタリアなどで伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは、欧州の感染症診療ガイドラインで第一選択薬として推奨され、営業リソースの積極投入も寄与して売上が大幅に拡大した。
コンシューマーヘルスケア事業は売上高が9.9%増の191億81百万円、利益が14.2%増の40億06百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍やインバウンド需要減少の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調だった。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円、第3四半期は売上高が180億17百万円、営業利益26億56百万円、経常利益17億75百万円だった。第2四半期と第3四半期は営業外の為替差損益が悪化した。
通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は2月2日付で期末2円上方修正して22年3月期比3円増配の38円(第2四半期末18円、期末20円)とした。
医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。なお、第3四半期累計は海外の医療用医薬品事業が計画以上に伸長しているが、為替影響や経費面の精査が必要なため通期予想を据え置いたとしている。
第3四半期累計の進捗率は売上高が78.4%、営業利益が122.1%、経常利益が99.4%、親会社株主帰属当期純利益が106.8%で、営業利益と親会社株主帰属当期純利益は通期会社予想を超過達成している。通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は22年12月の昨年来高値圏から利益確定売りで反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。週足チャートで見ると26週移動平均線を回復した。好業績や配当予想上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。2月2日の終値は2204円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円74銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の38円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、そして時価総額は約1171億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)