神鋼商事は23年3月期3Q累計大幅増収増益、通期予想据え置きだが再上振れの可能性

(決算速報)
 神鋼商事<8075>(東証プライム)は2月3日の取引時間中に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。非鉄金属が伸銅品の取扱量減少で減益だが、鉄鋼や鉄鋼原料を中心とする価格上昇効果が牽引し、全体として大幅増収増益だった。不透明感などを考慮して通期会社予想を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値更新の展開だ。第3四半期決算発表を機に目先的な売りが優勢になったが、依然として指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期3Q累計大幅増収増益、通期予想は再上振れの可能性

 2月3日発表した23年3月期第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比23.8%増の4348億34百万円、営業利益が33.9%増の98億46百万円、経常利益が34.0%増の96億76百万円、親会社株主帰属四半期純利益が25.0%増の70億14百万円だった。

 非鉄金属が伸銅品の取扱量減少で減益だが、鉄鋼や鉄鋼原料を中心とする価格上昇効果が牽引し、全体として大幅増収増益だった。経常利益は第3四半期累計として過去最高となった。

 なお、営業外収益ではデリバティブ評価益が増加(前期は88百万円、今期は4億80百万円)し、持分法投資利益が増加(前期は4億69百万円、今期は5億94百万円)した。営業外費用では売掛債権譲渡損が拡大(前期は4億60百万円、今期は6億92百万円)し、為替差損が拡大(前期は差損16百万円、今期は差損8億88百万円)したが、前期計上の貸倒引当金繰入額6億92百万円が剥落した。特別利益では前期計上の負ののれん発生益1億83百万円が剥落したが、固定資産売却益4億29百万円を計上、投資有価証券売却益が増加(前期は77百万円、今期は2億99百万円)した。

 セグメント利益(経常利益)を見ると、鉄鋼は38.6%増の41億01百万円だった。半導体不足の影響を受けた自動車向けの取扱量が減少したが、鋼材価格上昇効果で大幅増収増益だった。鉄鋼原料は240.7%増の11億83百万円だった。神戸製鋼所向けの主原料や冷鉄源の取扱量が増加し、原料価格上昇効果も寄与して大幅増収増益だった。非鉄金属は20.4%減の22億20百万円だった。自動車・半導体向けアルミ板条や非鉄原料の増加で増収だが、自動車端子向け銅板条や空調向け銅管の減少で減益だった。機械・情報は23.6%増の12億11百万円だった。建設機械部品の好調、大型圧縮機の本体・メンテナンスの増加、国内子会社の好調などで増収増益だった。溶材は191.3%増の5億74百万円だった。造船向けなどの取扱量が堅調に推移し、溶接材料価格上昇も寄与して大幅増収増益だった。その他(不動産賃貸事業等)は3億86百万円(前年同期は51百万円の損失)だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1409億39百万円で経常利益が40億09百万円、第2四半期は売上高が1376億79百万円で経常利益が23億78百万円、第3四半期は売上高が1562億16百万円で経常利益が32億89百万円だった。

 通期連結業績予想(22年11月2日に上方修正)は据え置いて、売上高が22年3月期比16.7%増の5770億円、営業利益が18.4%増の119億円、経常利益が23.4%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が23.3%増の88億円としている。配当予想(22年11月2日に第2四半期末30円上方修正、期末30円上方修正、合計60円上方修正)も据え置いて、22年3月期比55円増配の300円(第2四半期末150円、期末150円)としている。

 市況価格が高値推移する好条件も背景として過去最高の取扱高および経常利益を見込んでいる。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率は売上高が75.4%、営業利益が82.7%、経常利益が80.6%、親会社株主帰属当期純利益が79.7%と高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は上場来高値更新の展開だ。第3四半期決算発表を機に目先的な売りが優勢になったが、依然として指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月3日の終値は5590円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1000円00銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の300円で算出)は約5.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS7107円83銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約495億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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