ASIAN STARは上値試す、22年12月期は下方修正だが営業黒字転換予想、23年12月期も収益改善基調期待

 ASIAN STAR(エイシアンスター)<8946>(東証スタンダード)は国内と中国で不動産関連事業を展開し、成長戦略として不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。22年12月期連結業績は2月6日付で下方修正したが営業黒字転換予想としている。積極的な事業展開で23年12月期も収益改善基調を期待したい。株価は安値圏でのモミ合いから上放れの形となった。そして22年12月期予想下方修正に対するネガティブ反応も限定的だった。基調転換して上値を試す展開を期待したい。

■国内と中国で不動産事業を展開

 国内と中国で不動産関連事業を展開し、中国の上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携している。

 21年12月期のセグメント別売上高構成比は、不動産販売事業が41%、不動産管理事業が22%、不動産賃貸事業が16%、不動産仲介事業が20%、投資事業が0%だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、不動産販売事業が10%、不動産管理事業が34%、不動産賃貸事業が25%、不動産仲介事業が30%、投資事業が1%だった。

 国内では従来の主力だった投資用マンション開発・販売を縮小し、過去に販売した投資用マンション「グリフィンシリーズ」を中心とする安定収益源の管理・賃貸・仲介、および横浜エリアでの戸建住宅販売にシフトしている。投資事業を行う子会社のASIAN STAR INVESTMENTSは、民泊施設運営代行のオールステイへの投資を実行している。

 中国ではベルグラビアグループを買収して、サービスアパート運営管理事業、およびワンルームマンション賃貸事業を展開している。

 20年12月には子会社の柏雅香港が、資本提携先の中国・徳威企業の子会社である徳威不動産グループ3社(徳威不動産、U-HOME、特庫伊投資)を子会社化した。中国事業全般の事業管理および資金管理を柏雅香港に集約して中国事業の事業規模拡大を推進する。

 21年12月には、連結子会社(孫会社)で中国においてワンルームマンション賃貸を行っている陽光智寓(香港)の全株式、および上海陽光智寓の全持分を譲渡し、連結から除外した。今後の中国における賃貸管理事業については、引き続き子会社の柏雅酒店管理(上海)有限公司、上海優宏資産管理有限公司、上海特庫伊投資管理有限公司が行う。

■付加価値創造事業分野のアジア展開も推進

 中期成長戦略として、事業戦略では不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、投資戦略では企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。

 付加価値創造事業分野のアジア展開では、新たな事業ドメインとして医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」を推進する方針だ。

 20年12月には中国・海南太禾控股集団と戦略提携した。海南省・紅旗国際健康産業タウンプロジェクトを推進する。そして21年2月には、中国・海南太禾控股集団の子会社である中国・海南太禾健康産業と合弁会社設立に向けた契約を締結した。中国・海南太禾控股集団との戦略提携の一環として、紅旗国際健康産業タウンへの日本企業の誘致、日本製先端医療機器・医薬品・サプリメントなどの中国への導入・販売支援等を事業目的とする。

 21年9月には、健康コンサルティング会社の中国・広東泛華藍十字健康管理公司と、医療健康サービス分野における戦略提携で覚書を締結した。広東泛華藍十字健康管理公司の親会社である中国・泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して、訪日健康診断・先進医療治療・医療ツーリズム等のコーディネートサービスを計画している。日本の高水準の医療健康サービスを提供する。

 財務戦略では、資本市場を活用した資金調達の検討、財務レバレッジを利用した不動産投資の実施、配当戦略では利益水準に応じた安定的配当の実施、トータル・シェアホルダー・リターン(TSR)等の指標の検討を実施する。なお21年1月には指名・報酬委員会の設置を発表した。コーポレートガバナンスの一層の充実を図る。

■22年12月期営業黒字転換予想、23年12月期も収益改善基調期待

 22年12月期連結業績予想(2月6日付で下方修正)は、売上高が21年12月期比1.8%減の24億96百万円、営業利益が47百万円の黒字(21年12月期は3百万円の赤字)、経常利益が42百万円の黒字(同4百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が54百万円の黒字(同21百万円の赤字)としている。

 前回予想(期初予想の売上高34億39百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億11百万円、親会社株主帰属当期純利益69百万円)に対して、売上高を9億43百万円、営業利益を63百万円、経常利益を69百万円、親会社株主帰属当期純利益を15百万円、それぞれ下方修正した。リゾート開発地および収益マンション等の大型不動産販売が計画どおりに進捗しなかったことに加えて、計画していた新たな収益不動産の取得が成就しなかった。

 なお第3四半期累計は、売上高が前年同期比12.0%減の18億67百万円、営業利益が2百万円の赤字(前年同期は64百万円の黒字)、経常利益が7百万円の赤字(同70百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が特別利益計上で8百万円の黒字(同46百万円の黒字)だった。

 前期の1棟収益マンション販売の反動で減収となり、中国・上海のロックダウン影響による一部経費の増加も影響して営業・経常赤字だった。なお特別利益に違約金収入(埼玉県三郷市の物流事業用地販売に係る賠償金)34百万円を計上した。

 不動産販売事業は、売上高が前期の1棟収益マンション販売の反動で8.7減収だが、セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)は第3四半期に埼玉県三郷市の物流事業用地を販売して3.2%増の46百万円だった。不動産管理事業は売上高が3.2%増収と堅調に推移したが、利益は0.8%減の1億02百万円だった。不動産賃貸事業は、売上高が中国・上海ロックダウンで稼働停止したため6.2%減収だが、利益は経費削減などで5.0%増の66百万円だった。不動産仲介事業は、中国・上海ロックダウンの影響で39.3%減収となり、利益は71.5%減の32百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が4億03百万円で営業利益が34百万円の赤字、第2四半期は売上高が6億21百万円で営業利益が6百万円の赤字、第3四半期は売上高が8億43百万円で営業利益が38百万円の黒字だった。第3四半期は営業黒字に転換した。

 22年12月期連結業績は下方修正したが営業黒字転換予想としている。積極的な事業展開で23年12月期も収益改善基調を期待したい。

■株主優待制度は毎年6月末・12月末の株主対象

 22年1月に株主優待制度「ASIAN STARプレミアム優待倶楽部」の新設を発表した。毎年6月末および12月末の50単元(5000株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じた優待ポイントで食品や電化製品などの商品に交換できる。22年6月末対象から実施(詳細は会社HP参照)した。

■株価は上値試す

 株価は安値圏でのモミ合いから上放れの形となった。そして22年12月期予想下方修正に対するネガティブ反応も限定的だった。週足チャートで見ると、13週移動平均線と26週移動平均線に続いて52週移動平均線も上向きに転じた。基調転換して上値を試す展開を期待したい。2月7日の終値は91円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS2円86銭で算出)は約32倍、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS84円86銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約18億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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