【銘柄紹介】アルコニックスは全金属の5%にすぎない非鉄金属分野で戦っている、レアアースなどの強み発揮し高収益

銘柄紹介

■資源株人気の支援ないが好業績の実力で株価上昇基調

<歩み>

 アルコニックス<3036>(東1・売買単位100株)1981年7月に同社の前身となる日商岩井非鉄販売を資本金1億円で設立しアルミニウム、銅を中心に非鉄金属の販売を開始した。来年で社歴35年となる。200年に日商岩井メタルプロダクツと合併、社名を日商岩井アルコニックスと変更、さらに2005年に現社名へ変更した。

 2006年のジャスダック上場を経て、2008年に2部、2010年に東証1部に上場した。

 日商岩井に「鉄の正木あり」と知られた現社長の正木英逸氏が、2001年にMBO(経営者による買収)で日商岩井から独立し持ち前の積極性を発揮し一気に業績を飛躍させた。7年前に取材した時、正木社長はこう語っていた。

 「我々は鉄以外の金属はすべて扱っている。金属の内、鉄が95%くらい、非鉄金属は5%くらい、この5%の業界で戦っている。代表的なものはアルミ、銅、チタンなど鉄にはない、軽くて、強くて、錆びなくて、電気を通しやすいといったすばらしい特徴をもっている。薬にたとえれば必須アミノ酸とかビタミン剤のようなもので、なくてはならないもの。今後、環境問題、省エネなどのニーズで将来性は大きい分野である」と述べていた。

<規模・銘柄特性>

 年商約2015億円、従業員数約800名、発行済株式数は約1281万株の小型銘柄で動きは軽い。とくに、資源株としての人気が強く、中国がレアアース輸出規制を行った時は高人気となった。

<事業内容・特徴・強さ>

 非鉄金属を専門に扱う商社大手。伸銅品、圧延品などの半製品を電機、自動車メーカーなどに販売、とくに、モリブデンなどレアアース、レアメタルなどの輸入において強く最大手である。M&Aに積極的で金属加工など製造業分野にも力を入れている。

 セグメントは、(1)軽金属・銅製品事業が約40%、(2)電子・機能材事業が約26%、(3)非鉄原料事業が約20%、となっている(16年3月期・第1四半期)。

 正木英逸社長は、今後について、「当社は非鉄金属のエキスパートであり、電子材料、そしてレアメタル・レアアースの取扱いでは多くのノウハウを蓄積するとともに、スペシャリストを抱え業界では有数の企業であると自負をしている。今後、このような環境の中において日本の産業界からの高いニーズに応えるためにグループの能力を駆使し、安定供給をしていくのが当社の使命であり、また提案型商社であるオルガナイザーとしてお客様に幅広いサービスを提供すると同時に、変貌のスピードを加速する世界の様々な課題の解決に貢献していく」と述べている。

<業績推移>

 2015年3月期は売上2015億4300万円、営業利益45億8400万円。3年前2012年3月期は売上2207億0300万円、営業利益46億8700万円とほぼ横ばい。資源価格が値下がりした環境の中では、むしろ健闘といえるだろう。

 2016年3月期・第1四半期は、売上が前年同期比9.3%増の529億3000万円、営業利益28.2%増の12億3200万円と好調だった。昨年4月にゲイ・マックを持分法適用会社としたことに伴う負ののれん益が前年同期に含まれていたため今第1四半期の純益は前年同期比で39.5%の減益だった。実質では営業利益の2ケタ伸長にみられるように好調だ。

 2016年3月期通期では売上7.2%増の2160億円、営業利益5.1%減の43億5000万円、純益14.1%増の40億円、1株利益311.4円、配当は4円増配の年44円の見通し。

<株価推移と展望>

 昨年8月に株式2分割を実施している。権利修正チャートでみれば、2009年2月にリー
 マンショックで220円まで突っ込んだが、それ以降は、ほぼ1000円を挟んだ上下200円幅のモミ合いが続き、2014年5月にモミ合いを上放れた。

 今年6月には2198円まで値を上げた。足元では26週線前後まで押して下値を固める展開である。

 原油相場の低迷など資源株全体には人気の盛り上がりはないものの、自動車、IT産業向け需要の好調と指標面での割安感が強く、実力評価の展開といえる。PERはわずか6.1倍、配当利回り2.3%と魅力的である。

 資源株相場の支援を期待するのは難しそうだが、先行した主力大型銘柄に買い疲れがみれることから需給関係の良さが注目され上値を伸ばす可能性はありそうだ。5月に2000円台をつけたあとの2000円台初割れ狙いとしても注目できそうだ。出直れば2300~2400円が見込めそうだ。

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