松田産業は23年3月期3Q累計増収増益、通期予想据え置きだが上振れの可能性

(決算速報)
 松田産業<7456>(東証プライム)は2月10日の取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。販売量の増加や販売単価の上昇などで増収増益だった。そして通期連結業績予想を据え置いた。世界景気減速で貴金属関連事業おける販売数量減少やインフレ影響によるコスト増加を織り込んでいる。ただし保守的な印象が強い。第3四半期累計の進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は調整一巡して徐々に下値を切り上げている。下期の下振れ懸念は織り込み済みであり、好業績を評価して出直りを期待したい。

■23年3月期3Q累計増収増益、通期予想据え置きだが上振れの可能性

 23年3月期第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比32.9%増の2705億28百万円で、営業利益が9.1%増の114億16百万円、経常利益が0.9%増の113億74百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が1.0%増の79億76百万円だった。

 販売量の増加や販売単価の上昇などで増収増益だった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は差益44百万円、今期は差損3億53百万円)し、営業外収益で前期計上の補助金収入3億26百万円が剥落した。

 貴金属関連事業は、売上高が33.9%増の1911億98百万円、セグメント利益(営業利益)が13.5%増の94億07百万円だった。第3四半期にエレクトロニクス業界の生産活動が低下傾向となったが、第3四半期累計ベースでは貴金属リサイクルの取扱量および産業廃棄物処理受託が増加し、金製品や白金族製品など貴金属製品の販売量が増加した。貴金属相場の上昇による販売単価上昇も寄与した。

 食品関連事業は、売上高が30.4%増の793億91百万円、セグメント利益が7.7%減の20億09百万円だった。売上面は水産品、畜産品、農産品の販売量が増加し、販売単価上昇も寄与して大幅増収だが、利益面は運送費や保管料の増加などにより減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高881億92百万円で営業利益42億63百万円、第2四半期は売上高878億12百万円で営業利益36億90百万円、第3四半期は売上高945億24百万円で営業利益34億63百万円だった。

 通期の連結業績予想(22年11月10日付で売上高予想を上方修正、利益予想を据え置き)は据え置いて、売上高が22年3月期比21.2%増の3300億円、営業利益が0.9%増の128億円、経常利益が3.2%減の133億円、親会社株主帰属当期純利益が2.7%減の93億円としている。配当予想(22年11月10日付で第2四半期末1円、期末1円、合計2円上方修正)も据え置いて、22年3月期比4円増配の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。

 世界景気減速で半導体・電子デバイス業界で生産動向の下振れが予想されるため、下期に貴金属関連事業おいて販売数量減少を想定し、さらにインフレ影響によるコスト増加を織り込んでいる。ただし保守的な印象が強い。第3四半期累計の進捗率が売上高82.0%、営業利益89.2%、経常利益85.5%、親会社株主帰属当期純利益85.8%と高水準であることを勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は調整一巡して徐々に下値を切り上げている。下期の下振れ懸念は織り込み済みであり、好業績を評価して出直りを期待したい。2月10日の終値は2341円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS356円51銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2848円19銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約630億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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