建設技術研究所は23年12月期減益予想だが保守的、自己株式取得も発表

(決算速報)
 建設技術研究所<9621>(東証プライム)は2月14日に22年12月期連結業績を発表した。計画を上回って着地した。国内は国土強靭化等で堅調に推移し、海外はコロナ禍の影響が解消して好調に推移した。23年12月期は、市場環境は良好だが、先行投資の影響で減益予想としている。ただし保守的だろう。中期経営計画の24年12月期営業利益目標を上方修正しており、積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。なお自己株式取得(上限48万株・10億円)も発表している。株価は昨年来高値圏だ。決算発表に対してはややネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。

■22年12月期は計画超で着地、23年12月期減益予想だが保守的

 22年12月期の連結業績(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非記載)は、売上高が834億85百万円で、営業利益が80億17百万円、経常利益が82億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が58億74百万円だった。配当(22年11月10日付で期末40円上方修正)は、21年12月期比40円増配の100円(期末一括)とした。

 計画(22年11月10日付で上方修正して売上高が820億円、営業利益が77億円、経常利益が79億円、親会社株主帰属当期純利益が53億円)を上回って着地した。グループ合計受注高は1.7%増の858億87百万円(期初計画は6.5%減の790億円)だった。受注が高水準に推移し、技術者単価の上昇、DX推進による生産性向上なども寄与した。

 なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が73億29百万円増加、売上原価が60億58百万円増加、営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益がそれぞれ13億29百万円増加している。参考値として21年12月期実績と単純比較すると、売上高は12.2%増収、営業利益は14.7%増益、経常利益は15.7%増益、親会社株主帰属当期純利益は法人税等調整額16億10百万円計上も寄与して31.4%増益となる。

 国内建設コンサルティング事業は、受注高が0.8%減の581億91百万円、売上高が8.3%増の581億60百万円、セグメント利益(営業利益)が14.1%増の68億85百万円だった。防災・減災対策関連やインフラ老朽化対策に関わる国土強靭化関連などが堅調に推移した。

 海外建設コンサルティング事業は、受注高が7.4%増の276億96百万円、売上高が22.3%増の253億25百万円、セグメント利益が18.8%増の11億31百万円だった。コロナ禍の影響が解消して好調に推移した。東南アジアを拠点とする建設技研インターナショナルが大型案件を受注し、英国を中心に展開するWaterman Groupの業績も拡大した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が235億38百万円で営業利益が34億90百万円、第2四半期は売上高が183億06百万円で営業利益が19億72百万円、第3四半期は売上高が196億02百万円で営業利益が10億51百万円、第4四半期は売上高が220億39百万円で営業利益が15億04百万円だった。

 23年12月期の連結業績予想は、受注高が22年12月期比2.2%減の840億円、売上高が22年12月期比0.6%増の840億円、営業利益が10.2%減の72億円、経常利益が11.4%減の73億円、そして親会社株主帰属当期純利益が16.6%減の49億円としている。配当予想は22年12月期と同額の100円(期末一括)としている。

 セグメント別には、国内建設コンサルティング事業の受注高が1.4%増の590億円、売上高が1.4%増の590億円、セグメント利益(営業利益)が5.6%減の65億円、海外建設コンサルティング事業の受注高が9.7%減の250億円、売上高が1.3%減の250億、セグメント利益が38.1%減の7億円の計画としている。

 市場環境は良好だが、不透明感の考慮に加えて、品質向上や労働負荷軽減を図るため受注を抑制し、さらに人材育成、技術競争力強化、事業拡大・生産性向上に向けた研究開発など、先行投資の影響で減益予想としている。

 ただし保守的だろう。中期経営計画の24年12月期営業利益目標を上方修正(連結営業利益の従来目標68億円、今回目標77億円)しており、国土強靭化関連で良好な事業環境も背景として、積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は昨年来高値圏だ。週足チャートで見ると13週移動平均線が支持線の形となっている。決算発表に対してはややネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。2月15日の終値は3260円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS346円54銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の100円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3360円83銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約462億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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