- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- トーソーは下値切り上げ、原材料価格高騰で23年3月期減益予想だが24年3月期改善基調
トーソーは下値切り上げ、原材料価格高騰で23年3月期減益予想だが24年3月期改善基調
- 2023/2/21 09:59
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トーソー<5956>(東証スタンダード)はカーテンレール類やインテリアブラインド類の大手である。成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として住宅分野での深耕や高付加価値製品拡販などを推進している。23年3月期第3四半期累計は、原材料価格高騰の影響や販売促進関連費用の増加などで減益だったが、新設住宅着工戸数が減少する厳しい状況でも非住宅分野や海外などの拡販、カーテンレールの価格改定などで増収だった。通期も原材料価格高騰の影響などを考慮して減益予想としている。ただし、製品価格改定効果やコストダウン効果などで24年3月期の収益改善基調を期待したい。株価は上値が重く小幅レンジでモミ合う形だが、一方では徐々に下値を切り上げている。23年3月期減益予想を織り込み済みであり、調整一巡して出直りを期待したい。
■カーテンレール・インテリアブラインドの大手
室内装飾関連事業(カーテンレール類、ブラインド類、間仕切類)を主力として、介護用品事業(ステッキなど)も展開している。カーテンレール類やインテリアブラインド類の大手で、国内市場シェアは、カーテンレール類(国内市場規模約220億円)が約45%、ブラインド類(同約670億円)が約15%である。
ローマンシェード「クリエティ ループレス」はループ状の操作チェーンやコードがなく、優れたデザイン性も併せ持つ安心安全のチャイルドセーフティ製品である。21年9月には第15回キッズデザイン賞(主催:キッズデザイン協議会)において奨励賞およびキッズデザイン協議会会長賞を受賞、21年10月には2021年度グッドデザイン賞(主催:日本デザイン振興会)を受賞した。また22年10月にはカーテンレール「モノ16」が2022年度グッドデザイン賞を受賞した。
22年3月期のセグメント別売上高構成比は室内装飾関連事業が98%、その他が2%で、セグメント利益(営業利益)構成比は室内装飾関連事業が98%、その他が2%だった。室内装飾関連事業の商品別売上構成比はカーテンレール類が44%、ブラインド類が45%、間仕切類が1%、その他が10%だった。販売先別売上構成比は専門店・工事店(住宅メーカー、工務店納入業者、インテリア専門店、家具店、内装工事業者等)が80%、大型小売業(ホームセンター・GMS等)が6%、海外販売が3%、その他が11%だった。
生産は国内、インドネシア、中国で行い、国内外からの仕入品とともに、主に住宅市場向けに代理店等を通じて販売している。収益面では、新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い特性がある。
■高付加価値製品拡販などを推進
2016年度にスタートした10年間の経営ビジョン「Vision2025」では、目標値(新型コロナウイルスの影響を勘案して最終年度を26年度に変更)に売上高270億円、自己資本当期純利益率(ROE)8%以上を掲げている。
中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、住宅分野での深耕、高付加価値製品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新製品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を推進している。
そして第2フェーズ(20年度~23年度)目標値を23年度売上高240億円、ROE6%以上としている。住宅分野の停滞を補うため、コアビジネスにおける「TOSO」特有の新しい企業価値創造・新たな付加価値提案、成長戦略への重点投資による事業領域拡大、持続的な企業成長を実現するための強固な経営基盤の再整備を推進する。
なお22年4月には、ESGやSDGsへの取り組みとしてサステナビリティ方針を策定するとともに、ホームページに「サステナビリティ」ページを開設した。
■23年3月期は原材料価格高騰で減益予想だが24年3月期改善基調
23年3月期の連結業績予想は売上高が22年3月期比3.1%増の215億円、営業利益が23.6%減の6億円、経常利益が23.6%減の6億30百万円、親会社株主帰属当期純利益が21.0%減の4億20百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比1.6%増の155億28百万円、営業利益が36.5%減の3億69百万円、経常利益が34.0%減の4億07百万円、親会社株主帰属四半期純利益が38.4%減の2億41百万円だった。
売上面は、新設住宅着工戸数が減少する厳しい状況でも増収だった。住宅分野の販売が減少したが、非住宅分野、海外、福祉用品の販売が増加し、カーテンレールの価格改定も寄与した。利益面は、資材ロス低減や生産工程見直しなどの原価低減を推進したが、原材料価格高騰の影響で売上総利益率が低下(40.9%で1.8ポイント低下)し、さらに新製品発表や展示会の開催に伴う販売促進関連費用の増加をカバーできず減益だった。
セグメント別に見ると、室内装飾関連事業は売上高が1.3%増の151億90百万円でセグメント利益が36.7%減の3億57百万円、その他(福祉用品など)は売上高が13.3%増の3億37百万円でセグメント利益が28.8%減の11百万円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が48億46百万円、営業利益が43百万円、第2四半期は売上高が53億19百万円で営業利益が1億25百万円、第3四半期は売上高が53億63百万円で営業利益が2億01百万円だった。営業損益は改善基調である。
通期の連結業績予想は据え置いている。原材料価格高騰の影響などを考慮して減益予想としている。第3四半期累計の進捗率は売上高72.2%、営業利益61.5%、経常利益64.6%、親会社株主帰属当期純利益57.4%と低水準の形だが、住宅関連市場で第4四半期の構成比が高い季節特性があり、四半期別の営業損益が改善基調であることを勘案すれば通期会社予想の達成は可能だろう。さらにカーテンレールおよび関連部品の価格改定効果(22年7月4日受注分から実施)や、コストダウン効果などで24年3月期の収益改善基調を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点の株主を対象として、保有株式数および継続保有期間に応じて実施(詳細は会社HP参照)している。
■株価は下値切り上げ
株価は上値が重く小幅レンジでモミ合う形だが、一方では徐々に下値を切り上げている。23年3月期減益予想を織り込み済みであり、低PBRも評価材料だろう。調整一巡して出直りを期待したい。2月20日の終値は502円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円95銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1476円41銭で算出)は約0.3倍、そして時価総額は約50億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)