2011年09月01日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

第一カッター興業:代表取締役社長広瀬俊一氏、事業の概要、決算概要を語る


■切る、はつる、洗う、剥がす、削る各々の事業を全世界を対象に展開

第一カッター興業 第一カッター興業<1716>(JQS)は、8月24日東京証券会館で前11年6月期決算説明会を行った。
 代表取締役社長広瀬俊一氏による同社の概要、決算概要の説明が行われた。
 「当社の概要を説明します。当社の基本方針は、切る、はつる、洗う、剥がす、削る各々の事業を全世界を対象に行い、よって最良の企業となることを目指しています。法令順守はもとより、安心、安全の施工を通し、高い品質と工期を守ることが、社会に貢献することだと思っています。
 当社の設立は昭和42年8月で、神奈川県茅ヶ崎市で操業を始め、以来本社を茅ヶ崎市において、主にダイヤモンド工法及びウォータージェット工法を用いた事業を行っております。
 ダイヤモンド工法はほとんどが建設に関わる事業であります。ウォータージェット工法は建設だけでなく、工場のメインテナンスにも関わる事業でございます。当社の決算月は6月となっており、資本金は4億7030万円です。従業員数は、6月末現在で293名でございます。
 当社の事業内容ですが、ダイヤモンド工法事業は、工業ダイヤをちりばめたダイヤモンド工具を使い、コンクリートの切断、及び穴あけ工事を行っています。ダイヤモンド工法は、騒音・振動・粉塵などが少なく、安全性・効率性・経済性にも優れた環境に優しい工法です。アスファルトや、コンクリート構造物の解体、撤去には必要不可欠となっています。ダイヤモンド工法の主なものは、フラットソーイング工事、ウォールソーイング工事、ワイヤーソーイング工事、コアドリリング工事などがあります。
 ウォータージェット工法事業は、ジェット水流を利用して切る、斫る、洗う、剥す、削る等の画期的な工法でございます。当工法により化学工場、石油プラント、発電所など建設業者以外のクライアントの拡大を図っています。ウォータージェット工法の主な工事は、斫り工事、表明処理剥離工事、洗浄工事、切断工事などがございます。
 次にビルメンテナンス事業では、様々な事業がございますけれども当社はその中でも、環境衛生、管理業務を中心に事業を展開しております。ビルメンテナンス事業の主要作業は、配水管清掃作業、貯水槽清掃作業、ピット清掃作業、空調設備清掃作業などがございます。

■昭和44年札幌を皮切りに、栃木、水戸、高崎に営業所を開設、昨年の7月には沖縄県に新伸興業を設立

 事業所の展開につきましては、昭和44年札幌を皮切りに、栃木、水戸、高崎に営業所を開設いたしました。その後しばらくは組織の確立と営業商品の充実を図ってまいりました。次の展開といたしましては、平成8年に東京、翌9年に埼玉に営業所を開設。平成14年にはウォータージェット事業部を開設し、平成15年には仙台、平成21年には北陸営業所とビルメンテナンス事業部を開設しました。またグループ会社としまして、平成19年名古屋のウォールカッティング工業を子会社に、翌20年には、福岡のダイヤモンド機工を持分法適用会社とし、翌21年には愛媛県の光明工事を子会社にし、そして昨年の7月には沖縄県に新伸興業を設立しました」と事業規模拡大の概要を説明した。
 引き続き、前期の主な工事実績が紹介された。ダイヤモンド工法の公共工事では、大阪空港A滑走路の中心線灯改良工事、東京駅八重洲開発中央部新築工事、新日本坂トンネルグルーピング工事、有明フェリー埠頭第2バース補修工事、福島第一原子力発電所震災復旧工事、仙台空港アクセス線震災復旧工事などがある。
 ダイヤモンド工法の民間工事では、千葉マリンスタジアム改修工事、汐留プロジェクト、八景島アクアミュージアム壁撤去工事、某飲料メーカー製造工場改修工事、某印刷工場震災復旧工事、某鉄鋼メーカー工場震災復旧工事。
 ウォータージェット工法の公共工事は、八ッ場ダムはつり工事、道央道苫小牧管内補修工事、都立小金井科学技術高等学校改築工事、川崎海底トンネルはく落防止対策工事、館林地区橋梁剥落防止対策工事、東大和給水所耐震補強工事等。
 ウォータージェット工法の民間工事では、某鉄鋼工場蒸発塔管内スケール洗浄作業、某化学シンガポール工場配管洗浄作業、某商業施設駐車場白線消し作業、某精油所ボイラー内部清掃作業、某鉄鋼メーカー塗膜剥離作業、某鉄鋼メーカー金属切断作業等。

■前11年6月期連結業績は増収減益

 前期の主な工事実績に続き、前11年6月期決算概要の説明が行われた。
 「ダイヤモンド工法事業につきましては、耐震施設関連工事、鉄塔基礎補修関連工事、都市体制開発関連工事、民間設備関連工事の強化に努めました。ウォータージェット工法につきましては、公共事業補修関連工事、給水所耐震補強工事市場の拡大を図りました。その結果、前11年6月期連結業績は、売上高7,259百万円(10年6月期比10.1%増)、営業利益204百万円(同24.5%減)、経常利益225百万円(同26.8%減)、純利益123百万円(同8.8%減)と増収ながら減益となりました。
 営業利益の減少の要因といたしましては、人件費の増加と外注費の増加、消耗品・賃借料の増加、従業員退職金の増加によるものであります」と増収でありながらも減益となった要因を説明した。
 連結の売上高、売上総利益の過去4年を振り返ると、08年7040百万円、2,110百万円、09年6,637百万円、2,042百万円、10年6,594百万円、1,841百万円、11年7,259百万円、1,950百万円となっている。売上高は前期が最高であるが、売上総利益は10年を底に回復局面にある。
 連結最終利益の過去4年間の推移は、08年381百万円、09年313百万円、10年134百万円、11年123百万円となっている。前期の売上高は過去4年で最高でありながら、最終利益は最低である。単価が厳しくなっていることが伺える。
 バランスシートを見ると流動資産は3,268百万円(10年6月期比393百万円減)、固定資産は2,223百万円(同358百万円増)となっている。固定資産が増加した理由は、移転に伴う、土地建物の取得によるものと、本社の隣接地を取得したことによるもの。
 純資産は4,190百万円(同107百万円増)、自己資本比率75.6%(同1.2ポイント増)と共に増加し、安定した財務内容となっている。

■短中期方針として、既存事業の追及、機会の追求、新規事業の追及を目指す

 前期の決算概要に続いて、営業本部長の高橋氏より今後の展望について説明が行われた。
 「短中期方針については、既存事業の追及、機会の追求、新規事業の追及の以上3つを重点項目としています。
 まず、既存事業の追及につきましては、基本的には、営業の強化が中心となりますが、まず同業他社に奪われたマーケットを奪還すること、2番目として、大型工事に対して組織的な営業を展開してまいります。3番目には、民間営業の強化です。
 次に、機会の追求といたしましては、1番目として、全国展開の完成が挙げられます。昨年展開しました沖縄マーケットの拡大と、中国・関西地方への進出を検討してまいります。
 2番目として、海外進出の準備です。海外への展開につきましては、現在、欧米方面や、アジア方面の進出を目指し、市場の調査を開始いたしております。
 3番目としまして、ビルメンテナンス事業の強化が挙げられます。43期より事業を開始しました。44期は人員の増員や設備投資を行い、ビル管理会社を中心に営業を展開してまいりました結果、自主管理組合からも直接基本契約を受注し、順調に伸びています。45期につきましても神奈川県内に加え、東京都内においても営業を展開し、受託戸数の増加を図ってまいります。以上のようにマンションの管理業務の中でも水廻りの定期清掃や、飲料水の工程検査等、高圧洗浄分野の営業を展開し、より以上の成長を継続させて参ります。
 次に、新規事業の追求といたしまして、ブラスト工事が挙げられます。高構造物の塗膜除去について、塗膜を剥すために適した工法や機材が無いのが現状ですので、当社は研究開発を重ねた結果、リサイクル率を高めた、コンパクトな回収型ブラスト装置の開発に成功いたしました。先日も高知県において、施工が行われ、非常に施工性に富み、お客様より好評を得ることができました。今後の市場を見据え、更なる機械の改良を速やかに行い、この大きな市場に参入していくことにより当社にとって柱となる事業と考えています。
 次に床工事を挙げます。当社の床工事には、床下処理工事とプラチナコンクリートフロアーがあります。44期の計画通り、商業施設、工場や倉庫を中心に営業展開を行ってまいりました。特に、プラチナコンクリートフロアーでは、欧米では大変大きな市場でありますが、日本国内においては普及率は低く、浸透していないのが現状です。しかし、先日神奈川県内において施工を行い、お客様より好評を得ることができました。45期においては、商業施設や物流倉庫において、営業を強化し、PRを含め積極的な提案型営業を展開してまいります。
 以上ご説明させていただきました内容を元に、今期連結業績予想は、売上高7,320百万円(前期比0.8%増)、営業利益278百万円(同36.2%増)、経常利益283百万円(同25.3%増)、純利益152百万円(同23.5%増)と増収増益を見込んでいます」と語った。
 国内だけでなく、中国進出のため、合弁会社の手続きを申請している。中国進出を皮切りに、技術力を背景に海外での受注も進むものと予想される。