■前期は訴訟支援サービス事業の売上が減少

売上高9億4500万円(09年3月期比6.9%減)、営業利益△1億8800万円(09年3月期△7800万円)、経常利益△2億2200万円(同△7600万円)、純利益△4億6300万円(同△1億900万円)と減収大幅減益で赤字幅拡大となった。しかも2期連続の赤字である。
26日に兜町平和ビルで決算説明会が開催された。
同社の主力事業は、訴訟支援サービス事業であるが、同社の業績に最も関係が深い米国のトップ50の法律事務所で、電子証拠開示が必要な訴訟件数が約15%減少したうえに、コストの大きいディスカバリ(電子証拠開示)作業を社内で行なう動きが出てきたことから、訴訟支援サービス事業の売上が減少した。
前期の事業別売上高は、訴訟支援サービス6億8200万円(09年3月期比19.3%減)、不正調査1億2200万円(同27.4%増)、ツール販売7900万円(同172.6%増)、その他(主にトレーニング)6000万円(同36.4%増)であった。
訴訟支援サービスは先述した理由で減収となったが、不正調査は大型案件の獲得と新規・リピート顧客からの案件の増加により大幅増収となった。ツール販売も警察関連をはじめとする複数捜査機関らの大型案件受注により大幅増益。その他もツールの販売と共にトレーニングの売上が伸び、大幅増収となっている。
■6月に香港、8月に韓国と現地営業所を設立
代表取締役社長守本正宏氏は、訴訟支援サービスの受注を獲得するには、「まず国内本社、次に米国子会社、米国の弁護士事務所の3つにUBICのことを良く理解してもらうことが必要です」と営業の基本戦略を示した。
前期は、同社の開発したツールが中国語、日本語、韓国語を解析できることから在米アジア系子会社に対するアプローチの件数を大幅に増加したところ、上半期に2社との商談が開始され、下半期には40社と急増し、その内の2社と契約が成立するなど成果が出てきた。
米国の弁護士事務所へのアプローチも進んでいて、現在既に38の法律事務所にe−Discovery支援の実績がある。この実績を背景に、各主要都市のパートナー弁護士、法律事務所のITエキスパートにアプローチし、受注獲得のために活動している。現在は、18の法律事務所をペネトレーション中である。
また、日本では、各企業を招いて、米国の弁護士によるセミナーを開催し、企業への啓蒙活動を行っている。今期は下期だけでも8回のセミナーを全国各地で実施している。
アジアでも企業に対する啓蒙活動を行うために、6月に香港、8月に韓国と現地営業所を設立している。既に、香港の法律事務所と訴訟支援ビジネスで業務提携している。また、韓国ではUBIC主催でe−Discoveryセミナーを開催している。その結果、韓国企業の関心を集めた。既に、大手財閥系3社との契約が決まっている。
■通常なら電子情報開示処理だけで1年以上かかるのを3ヵ月半で終了
守本正宏社長は、「これまで訴訟に140件ほど携わったが、1件も敗訴したことはありません」とこれまでの成果を強調した後で、「化学業界の企業買収にかかわる契約違反に関する訴訟で、顧客が誤った手順で収集を行なっていた電子メール証拠情報を特定し、適切な手法に切り替えたことで、相手方からの疑義を防ぎ訴訟に勝ち、被告から数十億円の賠償金を得ることができました」と訴訟支援の事例を紹介した。
最近話題となった、三洋電機とパナソニックの業務統合では、独占禁止法の調査が国際的に行われたが、UBICは三洋電機の依頼を受けて動いたことで、経営統合はスムーズに行われた。「通常なら電子情報開示処理だけで1年以上はかかるだろうと思われたデータ量であったが、3ヵ月半で終了したことから、米国の弁護士が当社の実力を認めました」(守本正宏社長)と語った。
■今期大幅増収増益のけん引役になるのが、電子証拠開示支援ソフトウェア「Lit i View」
今11年3月期連結業績予想は、売上高12億7000万円(前期比34.4%増)、営業利益8600万円(前期△1億8800万円)、経常利益7400万円(同2億2200万円)、純利益7300万円(同△4億6300万円)と大幅増収増益で黒字転換を見込んでいる。
今期大幅増収増益のけん引役になるのが、電子証拠開示支援ソフトウェア「Lit i View(以下LIV)」。このソフトを前期に開発したが、余りにも優れたソフトであったことから、これまでのソフトを減損処理する破目になった、といういわく付の素晴しいソフトである。
企業は、企業情報を社外に出すことを嫌い、e−Discoveryを社内で行なう需要が高まっており、LIVを使うことで、短時間で、正確な解析が可能となり、業界の注目を集めている。同社では、LIVの販売を今期の事業計画の中心に置いている。
米国については、UBIC North America, Inc.の体制を強化し、より強固な販売体制・多彩なルートの開拓などの仕組みを構築し、米国でメジャーになることで、売上の拡大を目指す計画。
固定費は、前年と同じく、設備投資は1億3600万円と見ている。そのうちの1億500万円をLIVの機能追加費用にあてる。
今期の主要施策は、訴訟支援システムの導入を促進するために、LIVの販売を国内、米国で強力に推進することを挙げている。一方で、コンピュータフォレンジックのサービスを拡大するために、大手顧客の開拓を強化する。また、パテントマネジメントサービスの提供を開始している。
■LIVと同様、注目を浴びているのが、戦略予防法務
現在、LIVと同様、注目を浴びているのが、戦略予防法務である。
企業にとっては、国際特許訴訟、インターネット犯罪、事故等による製造安全に係わる訴訟、独占禁止法の訴訟、個人情報の不正使用など様々なリスクに囲まれている。戦略法務はこのようなリスクを予防、低減するためのサービスである。訴訟にかかわってきた同社ならではのハイテク技術を用いたリスク管理の提案である。そして、LIVこそ戦略予防法務を実践するための重要なソリューションである。
今期は、LIVを開発したことから、しかもアジアの言語を完全に解析できるソフトであることから、一挙に市場が拡大し、今後の業績拡大のスタートの年といえる。