
11月12日に08年9月期連結業績は、発表されている。売上高70億8000万円(前々期比81.8%減)、営業利益4億8900万円(同69.7%増)、経常利益3億7100万円(同51.9%増)、純利益3億4900万円(前々期は△4200万円)と子会社を売却したことで、売上は大幅に減少しているが、利益面では大幅増益となり、最終利益は黒字転換となり、復配を実現している。
財務面を見ると総資産56億1700万円と36億9400万円減少したが、一方で、純資産は19億2500万円と3500万円増加したため、自己資本比率は16.5ポイント改善して34.3%となっている。今期は、有利子負債を前期の31億円から19億円までに削減し、自己資本比率43.0%と一層の改善を見込んでいる。
振り返ると、06年9月には237億円あった有利子負債をわずか2年で31億円まで削減しているように、決断と共にスピードを持って実行したことが窺える。自己資本比率も3.3%から34.3%と財務面での健全化が急速に実現している。
キャッシュ・フローを見ると、営業キャッシュ・フロー5億400万円、投資キャッシュ・フローは13億9300万円の貸付金を回収して16億7000万円、財務キャッシュ・フローは長期借入金を28億9000万円返済して△31億400万円であった。現金及び現金同等物の期末残高は16億8500万円。
同社は、人材派遣・施工図面作図・一般派遣事業の3事業を展開している。売上構成比率で見ると人材派遣90%とほとんどの売上は人材派遣である。施工図面作図事業と一般派遣事業は各5%。
同社の現代表取締役会長兼社長の佐藤眞吾氏が学生時代にアルバイトで始めた施工図面の作図が事業化のきっかけ。建築分野では、設計段階で細部まで詳細な図面を作図しておらず、施工段階で詳細な図面を描きながら施工する。この図面のことを施工図と呼ぶ。したがって、工事を着工する前に施工図を書く必要があり、施工図面の作図注文が来れば、次の建設現場の情報が事前に分かるため、施工管理の人材派遣事業も行う同社にとっては都合が良く、受注の呼び水となる。
しかも土木施工・建築施工管理者の求人ニーズは高く、アウトソーシング需要は年間26万8000人で215業種の中でトップである(05年リクルートの調査)。建設業界はバブル崩壊によるリストラにより人材不足であることから、同社のビジネスチャンスといえる。
首都圏の工事着工件数は、06年12万3931戸、07年8万2714戸、08年9万戸半ば、09年9万〜10万戸を想定している。従って、今期も人材派遣の需要は高いと思われるが、同社では採用数を抑え、前期より94名少ない235名とする方針。技術者としての質を高めることで、今後の事業基盤の強化を図る。
09年9月期連結業績予想は、売上高62億5000万円(前期比11.7%減)、営業利益6億8000万円(同38.9%増)、経常利益6億5200万円(同75.5%増)、純利益6億300万円(同72.8%増)と前期に引き続き大幅増益を見込んでいる。
完全に事業再建に成功し、今後の事業は着実に拡大するものと期待できる。
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