■デイサービスは日本で一番多い297ヶ所となる

前期連結業績は12日に発表しているように、売上高394億4000万円(09年3月期比9.0%増)、営業利益15億8500万円(同3.1%減)、経常利益18億8700万円(同23.3%増)、純利益9億2800万円(同25.4%増)と売上高、経常利益、純利益共に過去最高を更新している。
代表取締役社長津久井督六氏は、前期を振り返り「前10年3月期は51ヶ所に新規出店しました。その内15ヶ所が移転統合したものです。有料老人ホームは松山、川崎、横浜の3ヶ所に建設しました。47都道府県の当社の施設は全部で477ヶ所となります。デイサービスは日本で一番多い297ヶ所となりました。その結果、前期の業績は4期連続の増収増益でした。
今期は、デイサービス52ヶ所、都市部に有料老人ホームを2ヶ所作る予定です。1施設80名以上のスケールの老人ホームを考えています。また、2〜3年前のデイサービスは1施設30名の規模でしたが、今期からは60名規模の施設を作っていきます。
4月5日には増資を行ないました。この増資で得たお金は設備投資に使う予定です。今期に入り、4月も当社の施設利用者数は増えています。そのため、今期も増収増益にしたいと思っています」と前期の概要と今後について語った後、津久井宏副社長が、経営戦略、前期の業績の説明と今期の業績について語った。
■マーケットシェアを確保するため「成長戦略」を展開
まず、経営戦略として、マーケットシェアを確保するため「成長戦略」を展開しているが、成長するためには設備投資が必要であるが、その資金を確保する安定した収益の基盤確立が不可欠であるため、「成長と収益のバランス」を住した経営を継続している。そのため、成長が期待でき「在宅介護事業」との相乗効果が見込まれる「有料老人ホーム事業」、「人材開発事業」の3事業を柱として事業を展開している。この3事業を拡大することで、介護保険法改正、介護報酬改定の影響を軽減し、将来的に安定した収益基盤の確立を目指している。
前期のセグメント別の売上高は、デイサービス159億7200万円(同23.8%増)、訪問介護66億8400万円(同3.2%増)、訪問入浴27億7500万円(同2.0%増)、グループホーム23億6700万円(同6.7%増)、その他の在宅介護事業15億1500万円(同3.7%減)、有料老人ホーム事業45億400万円(同15.3%増)、人材開発事業56億1900万円(同11.6%減)となっている。デイサービスが売上の牽引役となっている。一方、人材開発事業は、雇用環境悪化による派遣売上減少の影響で、2ケタ減収となった。
セグメント別営業利益は、デイサービス20億7400万円(同11.4%増)、訪問介護9億600万円(同1.5%増)、訪問入浴6億2300万円(同11.8%増)、グループホーム3億4900万円(同0.2%減)、介護事業のその他△2700万円(09年3月期は△1億7000万円)、有料老人ホーム事業△2億2600万円(同△700万円)、人材開発事業△1億6000万円(同△8900万円)、本社・その他△19億5200万円(同△17億5800万円)。介護事業は順調に売上が伸びているが、有料老人ホーム事業は景気低迷の影響が出ている。
貸借対照表を見ると、流動負債は、1年以内償還予定社債が10億円減少したものの、短期借入金の増加5億3500万円、リース債務の増加2億1500万円などがあり、78億6900万円(同2億300万円増)となった。
固定負債は、リース債務の増加54億9900万円、長期借入金の増加13億100万円があり、148億7500万円(同67億800万円増)。
純資産は純利益計上による利益剰余金の増加7億9900万円により38億3600万円(同7億9900万円増)となっている。
自己資本比率は14.4%と前年同期比で1.7ポイント下がった。
■順調に伸びているデイサービスに注力
介護事業の今後を占ううえで、2000年にスタートした介護保険サービス利用者数の推移を見ると、2000年148万人であったが、09年には382万人と9年間で約2.5倍に伸びている。今後更に利用者数が増えるものと予想される。
そのような環境の中で、同社が最も注力しているデイサービスと同業他社が注力している訪問介護の2000年から08年までの介護費の推移を見ると、訪問介護の2000年の介護費は約3000億円、05年がピークで7000億円強であるのに対して、デイサービスは同じく約3000億円からスタートし、順調に右肩上がりで伸びていて、直近のデータである08年には1兆円に後一歩というところまで増えている。今後もデイサービスは増えると思われるが、訪問介護はなだらかであるが減少傾向にある。同社がデイサービスに注力しているのは当然といえる。
同社は、順調に伸びているデイサービスに注力している。デイサービスの法人別の運営事業所数は、先述しているように日本で最も多い、5月現在で303事業所、11年3月には349事業所まで増やす計画。
今期から定員規模を30名から60名に拡大することで、より高い収益性を確保する方針。また、ヘルパーステーションをデイサービスに統合することも引き続き継続し、「利用客の利便性の向上」、「サービスの複合化による安定した収益の確保」、「職場環境の改善」に取り組むとしている。
出店計画は、年間50ヶ所程度とし、同時にヘルパーステーションを移転統合していく。
■有料老人ホームは需要が見込める東京都、神奈川県に年間2〜3棟の出店を計画
有料老人ホームは、既存施設の入居率向上と、新規施設の早期立ち上がりで収益を改善していく計画。
そのため、営業人員を増員し、過去の入居経路から効果的な営業活動を行うとともに、4月に立ち上げた有料老人ホーム特設サイトも活用し、戦略的な広告宣伝を実施していく方針。
更に運営面では、ターミナルケアの取り組みを強化すると共に、真空低温調理法による「美味しい・高栄養・安全」な食事と良質なサービスの提供を実施するとしている。
今後の開設は、需要が見込める東京都、神奈川県に年間2〜3棟の出店を計画している。今期は既に今月(5月)に世田谷区に定員125名の施設を開設している。9月には神奈川県相模原市に定員80名の施設を開設する予定。9月の開設により、総定員数は約1600人となる。
人材開発事業については、労働者派遣法等の改正を見据え「派遣」から「有料職業紹介」へのシフト必要と判断している。
まず、黒字化が急がれるために、収益改善への施策として、先述している有料職業紹介への事業転換、ニーズの高い医療機関への事業拡大、全国の人材流動化に伴う就職・転職フェアの実施の3点を実施する方針。
また、政府の「緊急雇用対策」に伴う委託事業を強化する計画。既に09年度に11事業を受託済み。10年度は5月現在で13事業を受託。
今後は、紹介予定派遣を有効活用し、ミスマッチを解消すると共に、委託事業で開拓したクライアントへの有料職業紹介も行なう。更に求人サイト「ツクステ」の基盤を拡充し人材事業を活発化させる。
今11年3月期連結業績予想は、売上高428億3800万円(同8.6%増)、営業利益16億5600万円(同4.5%増)、経常利益22億4300万円(同18.9%増)、純利益11億2900万円(同21.8%増)と最高益更新を見込む。
なお、処遇改善交付金・処遇改善事業助成金の入金は「営業外収益」に計上する一方、従業員に支払う人件費は売上原価に計上するため営業利益は低く見えることになる。今年度の処遇改善交付金・処遇改善事業助成金収入は 9億1500万円が見込まれている。