
決算期が今期より5月決算に変更されるが、今回発表された第2四半期業績は前期通り、4月から9月までである。売上高46億700万円(前年同期比67.7%増)、経常利益2億8500万円(前年同期は△5億2100万円)、純利益3億8100万円(同△6億5800万円)と大幅増収を達成したことから黒字転換となっている。
大幅増収の要因は、一時途絶えていた大手企業からの受注が復活したことで、予想外に多くの大型案件を確保したことに加え、建築確認検査、共同住宅の性能評価、構造評定の分野で順調に売上が伸びたことによる。具体的なセグメント別の売上高を見ると、確認検査32億4900万円(同98.0%増)、住宅性能評価8億7000万円(同19.0%増)、その他4億8700万円(同29.9%増)と主力の確認検査が倍増している。
更にセグメント別の業務計数は、確認2万1172件(同10.9%増)、完了検査1万5115件(同2.4%増)、戸建住宅設計評価7008件(同17.9%増)、共同住宅設計評価1万4570件(同44.5%増)と各セグメントで伸びている。
財務内容を見ると自己資本比率が前期末と比較し14.8ポイントと大幅に改善して28.8%となっている。キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー3億7000万円、投資キャッシュ・フロー△4400万円、財務キャッシュ・フローの収支はゼロとなったことから、第2四半期末の現金及び現金同等物は3億2600万円増えて5億3700万円。財務面での健全化が進んでいる。
同社は、建築基準法で定める建造物の確認検査業務を行っている。全国展開している企業は同社のみで、業界のリーディングカンパニー。ところが、耐震偽装問題、改正建築基準法の影響で2期連続大幅な営業損失を計上していた。しかし、改正建築基準法の周知も進み通常の業務が行える状況になってきたことにより、業績が急回復している。
業績が急回復し、ゴーイング・コンサーンの注記が削除され、繰延税金資産が1年ぶりに計上されることになったことから企業としての信用力も付いてきた。同社にとって後押しとなる住宅瑕疵担保責任履行確保法が09年10月1日より完全施行される。新築住宅の発注者や買主を保護するため、新築住宅の請負人や売主に資力確保措置(保険への加入又は保証金の供託)が義務付けられる。同社は保険に加入する際の住宅検査を行う。これにより、住宅性能評価の需要拡大が予想され、大手パワービルダーとの業務提携が見込まれる等事業展望は明るくなっている。
通期連結業績予想は、先述しているように今期は5月決算への変更により、通期業績は14ヶ月となるため、前期との業績比較は出来ないが、上方修正を発表しているため、前回予想と比較すると売上高109億3500万円(前回予想比3.8%増)、経常利益6億5100万円(同2.4%増)、純利益7億2500万円(同22.3%増)と予想以上のペースで業績の回復が進んでいる。
不動産関連銘柄ではあるが、今後大きく飛躍が期待されることから、株価の見直しは既に始まっている。