■ワールドインテックの広報担当者に聞く
昨年9月のリーマンショック以降、世界のトヨタが赤字に転落するなど、全く想像できないような状況となり、企業の業績も急速に悪化した。
ところが、リーマンショックから約半年経った現在、自動車業界に明るさが徐々に見えてきている。まずは、ホンダの価格200万円を切るHV車「インサイト」の発売である。一時はトヨタのプリウスを凌ぐ人気となった。その後、トヨタも新型プリウスを発売し、首位奪還を図るなど、2社間で我こそはHV車の本命だと熱い戦いが繰り広げられている。一方で、三菱自動車が電気自動車(EV)「アイ・ミーブ」を7月下旬に、富士重工も同じく7月からEV車「プラグイン ステラ」の販売を開始するなど、エコカーをめぐっての各社の熱の入れようがヒシヒシと感じられる昨今である。
そのような状況下で、5月の新車販売が発表された。初めて、HV車が全体の1割を超える12%となった。更に、新型トヨタ プリウスの販売台数が3週間で14万台を突破するなど、エコカー人気を中心に自動車業界の回復が進んでいる実態が明確となった。
自動車が回復してくると、裾野は広いことから、自動車関連の鉄鋼、ガラス、タイヤ、半導体、電気、合成樹脂、非鉄金属、運輸と各業界への波及効果は大きく、経済回復の起爆剤となるのは確かである。そのような状況の中で、生産工場で働く社員だけで賄えるのか、それとも派遣会社に頼ることになるのか、業界の最大手である ワールドインテック<2429>(JQ)の広報担当者を訪問した。
「今後の受注については、大きな契約が見えてきている状況で、当初思っていたタイミングより受注の回復が少し早まっているのではと感じています。業種でいうと、自動車関係が動いてきています。地域では、西日本の四国、九州です。まだ、当社の派遣の人数は減少したままで、横ばいで推移していますが、底は打ったと見ています。これから徐々に回復し、8月、9月はかなり忙しくなると判断しています。しかし、メーカー企業も派遣切りという経験をしているので一度直接雇用を試してみて、それでも足りない時は派遣を採用するという具合にかなり慎重になっています。一方で、仕事量が増えてきているので、派遣を採用せずにはいられない状況が近づいてきています。一旦派遣の採用に動き出したら、動きは早くなるため、かなり忙しくなると思います。でも、今期中に全盛期並みに戻ることはありません。やはり、少し時間がかかります。」との答えが返ってきた。
一方、鋼材を運ぶ船会社を訪問したが、1月から急激に荷物の動きが止まっているそうで、海上出荷は月当たり110万トンベースだったのが、4月、5月は半分以下の50万トンまで減少しているため、契約していた船腹も返船したり、傭船契約を取り止めた状態という。しかし、7月からは製鉄所向けの積み荷が増加するとの話が出ているので夏以降の荷動きに期待しているとのこと。
海運、鉄鋼業界の動きが始まると、派遣業界の回復も早いと思われる。
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