■自動車、デバイス関連で契約が始まる
人材派遣業のワールドインテック<2429>(JQ)は、昨年9月のリーマンショックの影響で、多くの製造会社が生産調整を実施したことから、それまで働いていた多くの同社の派遣社員が契約を解除される事態となった。それと共に、同社の業績も16期連続の増収が途切れ、前期を境に大幅な減収減益となっている。
前期の第4四半期(10月〜12月)の3ヶ月間で約2500名が契約を解除され、今期の第1四半期(1月から3月)で同じく約2500名も契約解除となったため、最盛期は約9000名いた契約社員が、一挙に半分以下までに激減。その後4月、5月も回復する兆しは全く無かった。
従って、7日に発表された09年12月期第2四半期連結業績は、売上高147億2800万円(前年同期比42.4%減)、営業利益5600万円(同94.5%減)、経常利益1億1100万円(同90.9%減)、純利益△1100万円(前年同期5億6400万円)と大幅な減収減益で最終赤字決算となっている。
ところが、最近HV(ハイブリッド車)、EV(電気自動車)といったエコカーに人気が集中していることから、生産体制が十分と言えない状況になっている。中でも、トヨタ「プリウス」は注文してから8ヶ月も待たされるなど、一部ではフル稼働状態となってきている。
そこで、ファクトリー系の人材派遣、請負業を行っている同社の現況を尋ねるためにIR担当者を訪問した。
「最近になって、案件は見えてきています。6月から契約が増えてきていることから、完全に潮目が変わりました。今思うと5月が底でした。今後どれだけ増えるかに期待しています」とリーマンショックから9ヶ月経ってようやく人材派遣・請負の雇用が増え始めそうである。
「自動車、デバイス関連で契約が始まっています。特に西日本での雇用回復が目立ちます。営業は忙しくなっていますが、これまでと違い、業種を絞り込んで、契約を結ぶための最終的な詰めの段階の営業を行っています」と先延ばしにされてきた話が、やっと本契約が始まっている状況である。
「当社では、製造派遣より、製造請負契約を勧めています。製造請負であれば、当社に雇用が任されるため、年齢別で採用することもなく、雇用を創出することができます。しかも請負は成果主義であるため、短期間で成果をあげれば、会社にもっと収益をもたらすことができます。そのため、企業の担当者とのあるべき姿を作って動いています」と語った。
6月になって、やっと在籍者が増加し、新たな再スタートとなるが、リーマンショック以前でも年間1500名増であったことを踏まえると、半年で約5000名の契約打ち切りのショックから回復するには、数年はかかりそうである。しかし、ともかく5月の底打ちを確認して、派遣・請負の需要が高まってきていることから、同社の業績回復へ向けて動き出したといえる。
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