2010年07月12日
エスプールの第2四半期連結業績は減収、赤字幅拡大
■システム事業の営業利益が1億2400万円の赤字となり、業績全体の足を引っ張る
人材派遣のエスプール<2471>(大ヘ)は、7月7日に東京証券会館で今10年11月期第2四半期の決算説明会を開催した。
第2四半期連結業績は、6日に発表されているように、売上高27億5600万円(前年同期比19.4%減)、営業利益△1億8100万円(前年同期△5000万円)、経常利益△1億9300万円(同△6400万円)、純利益△1億7800万円(同△9300万円)と減収、赤字幅拡大であった。
事業別の売上高、営業利益は、ビジネスソリューション事業(ロジスティックスアウトソーシング、キャンペーンアウトソーシングなど)9億1900万円、△1600万円、人材ソリューション事業(コールセンター、携帯販売への人材派遣、営業支援など)13億800万円、1億1100万円、パフォーマンス・コンサルティング事業(企業研修、組織開発コンサルティング)2億2200万円、4100万円、システム事業(システムエンジニアリングサービス、システム受託開発)4億4700万円、△1億2400万円、モバイル・マーケティング事業(市場調査サービス、モバイルマーケティングサービス)2400万円、△2000万円となっている。その内消去は売上高1億6500万円、営業利益1億7200万円。
中でも、パフォーマンス・コンサルティング事業は、売上高は16.2%増と過去最高の売上となり、営業利益は前期の100万円から4100万円と大幅な増益を確保し、順調であった。
■四半期毎でみると、前第4四半期を底に、今期から、売上高、営業利益共に回復
一方、システム事業は、前年同期と比較すると売上高は49.3%減少、営業利益は前期の1500万円の黒字から今期は1億2400万円の赤字となり、業績全体の足を引っ張る程悪化している。
しかし、四半期毎の売上高、営業利益の推移を前期の第3四半期から今期の第2四半期まで比較すると、前第3四半期(6月から8月)12億6000万円、△1億7500万円、前第4四半期(9月から11月)11億3100万円、△2億5200万円、今第1四半期(12月から2月)12億2200万円、△1億5600万円、今第2四半期(3月から5月)15億3400万円、△2500万円となっていて、前第4四半期を底に、今期から、売上高、営業利益共に回復している。
財務面を見ると、流動負債11億2800万円(前期末比2億300万円増)、固定負債3億2200万円(同6000万円減)、純資産5億4700万円(同1億7900万円減)であったことから、自己資本比率は前期末の35.6%から27.3%となっている。
キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー△7900万円、投資キャッシュ・フロー△2200万円、財務キャッシュ・フロー5200万円で、現金及び現金同等物は前年同期より4億円少ない5億2600万円となった。
■人材ソリューション事業では、前期でコスト削減体制を整えたことから、収益力が大幅に向上
四半期毎の業績は改善しているが、早期の業績回復を実現するために、下半期は、収益の柱となっている人材ソリューション事業、パフォーマンス・コンサルティング事業、ロジスティックスアウトソーシング事業を中心に注力していく。
まず、人材ソリューション事業では、前期でコスト削減体制を整えたことから、収益力が大幅に向上している。しかも今年に入り景気回復が明確となったほか、派遣法改正の延期もあり、需要が回復傾向にあるため、積極的な営業活動を行い、売上の拡大が期待できる状況となっている。
パフォーマンス・コンサルティング事業は、研修効果の即効性が高い、意識変革系の研修需要が高まってきているため、商品競争力の高い自社開発研修を武器に積極的な営業展開を実施する。
■ロジスティックアウトソーシングでは、大手メーカーや中堅通販会社を中心に発送業務を受託
ビジネスソリューション事業のロジスティックアウトソーシングでは、800坪の倉庫を借りて、約60社の商品発送代行業務を行なっている。インターネット通販が拡大していて、月1000件の発送を行なうのに、自社で倉庫を借りて、担当者を付け、配送の手配をするのでは、コストがかかり過ぎるため、同社に委託する企業が増えている。
同社では、複数企業の発送業務を集約することで、低コストの商品発送代行を実現している。現在大手メーカーや中堅通販会社を中心に発送業務を受託している。今後は、コスト削減だけでなく、品質向上とコンプライアンスに着目した営業アプローチを進めて、新規顧客開拓に努める方針。
■システム事業の足元の状況は、コスト削減により、収支バランスが回復
課題であるシステム事業の回復策として、システム事業部の経営体制を3月に一新している。更に、昨年末に28名在籍していた待機SE(システムエンジニア)は、5月末時点で3名までに削減している。その結果、販管費は、08年11月の3300万円から今年5月末には2300万円までに減少。
足元の状況は、コスト削減により、現状の売上規模でも利益の確保が可能な状態まで収支バランスが回復している。また、売上については、今期の第1四半期で歯止めがかかった状態となっていて、主力のSES(システムエンジニアリングサービス)部門の案件は増加傾向にあり、SEの確保により売上拡大が見込める状況である。しかも、収益悪化の大きな原因であった不採算案件は第2四半期で終息している。
今後の方針として、需要の回復が進んでいるSES部門に経営資源を集中し、受託開発は、開発済みのシステムである物流と会員管理のみを販売し、開発期間の短いサイト構築案件に特化する計画。また、開発案件を増やすために、グループ間での営業協力を強化していく。
■下半期の業績回復が予想されるが、システム事業の落ち込みが響き、黒字化は来期に持越し
以上のことを実施することで、今下半期の業績予想は、売上高30億7800万円(前下半期比28.6%増)、営業利益1億1900万円(前下半期△4億2700万円)、経常利益1億700万円(同△4億3600万円)と大幅増収増益を見込んでいる。
第3四半期、第4四半期の売上高、営業利益予想は、第3四半期14億2800万円、2000万円、第4四半期16億4900万円、9800万円を見込む。
下半期の業績回復が予想されるが、システム事業の落ち込みが響き、今通期連結業績予想は、売上高58億3400万円(前期比0.4%増)、営業利益△6200万円(前期△4億7800万円)、経常利益△8500万円(同△5億円)、純利益△1億2200万円(同△4億7000万円)と増収、赤字縮小と黒字化は来期持越しとなる見込み。
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提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.07 |特集