2010年11月09日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

インフォマートの第3四半期連結業績は増収ながら減益


■上場以来最高益更新を継続中であったが、初めての減益

ネット卸.com フード業界企業間電子商取引プラットフォーム「FOODS Info Mart」を運営するインフォマート<2492>(東マ)は、4日に10年12月期第3四半期連結業績を発表した。
 売上高22億3300万円(前年同期比4.1%増)、営業利益4億6700万円(同7.6%減)、経常利益4億6700万円(同7.8%減)、純利益2億7000万円(同8.3%減)と増収ながら減益となった。上場以来最高益更新を継続中であったが、初めての減益となる。
 5日に兜町平和ビルで決算説明会が開催された。
 事業別の売上高は、ASP商談事業6億2100万円(前年同期比22.4%減)、ASP受発注事業13億7500万円(同13.1%増)、ASP規格書事業2億3100万円(同78.5%増)、クラウドサービス事業500万円、海外ライセンス事業0円。
 事業別の営業利益と前年同期比での増減は、ASP商談事業△9300万円(同9700万円減)、ASP受発注事業6億5700万円(同1億800万円増)、ASP規格書事業3900万円(同6000万円増)、クラウドサービス事業△8100万円、海外ライセンス事業△5400万円(同2700万円減)となっている。

■「ASP受注・営業システム」、海外ライセンス事業、クラウドサービス事業の顧客開拓の進捗が計画を下回る

 ASP受発注事業、ASP規格書事業のシステム使用料が増加したものの、ASP商談事業の中の今年からスタートした「ASP受注・営業システム」、海外ライセンス事業、クラウドサービス事業への投資経費が先行し、第3四半期(7月〜9月)の営業利益は1億3500万円(前年同期比24.2%減)となった。
 同社では、「ASP受注・営業システム」、海外ライセンス事業、クラウドサービス事業の顧客開拓の進捗が計画を下回り、投資経費が嵩み当初予想の業績を確保できない見込みのため、通期連結業績予想の下方修正を発表した。
 売上高は前回予想を4億1000万円下回る30億3500万円(計画比11.9%減)、営業利益は2億円下回る6億円(同25.0%減)、経常利益は2億円下回る6億円(同25.0%減)、純利益は1億1500万円下回る3億4800万円(同24.9%減)を見込む。
 対前期比では、売上高3.1%増、営業利益17.5%減、経常利益17.5%減、純利益14.3%減と増収減益。

■ASP受注・営業システムは10月に入り顧客開拓が進捗、月毎にシステム取引高は拡大

 業績の下方修正の要因である「ASP受注・営業システム」は、卸会社(売り手)が取引先の個店・オーナー店からのデータ受注に利用するBtoBシステムである。
 第3四半期末の「ASP受注・営業システム」の状況は、食品卸会社のシステム利用と個店からのネット発注が着実に増加している。卸会社稼働数は41社増の89社、利用店舗数は861店舗増の1787店舗となり、月間のシステム取引高は2億円を超えている。
 さらに、「10月の結果を見ると卸会社の稼働数は91社となり、利用店舗数は一挙に増加し、3060店舗となったことで、月間の取引高は3億3400万円になりました。11月も順調であります」(同社代表取締役社長村上勝照氏)と10月に入り顧客開拓が進捗していることを紹介した。更に、説明会の出席者から目標としている月間システム取引高15億円の達成時期を問われると「現在のペースであっても来年の下期には達成すると見ています。前月比では毎月伸びていますので、スピード化すればもっと早めに達成できると思います」(村上勝照社長)と答えた。
 今期スタートしたことから、予測できない状況も出てきたようであるが、月毎にシステム取引高は拡大していることから、「ASP受注・営業システム」に関しては、今期のつまずきは来期までに大幅に回復されるものと思われる。

■クラウドサービス事業の黒字化への見通しは既に立っている

 また、業績の下方修正の要因となっているクラウドサービス事業の現況は、メーカー・卸会社間のクラウド型プラットフォーム「販促支援システム」が本格稼働し、メーカー23社、卸会社130社が利用を開始している。12月末のメーカー利用社数は50社(計画111社)、卸利用社数141社(計画120社)を見込んでいるように、卸利用社数は9月末で計画を上回っているが、メーカーの利用社数が大幅に計画を下回ると見ている。
 「クラウドサービス事業の未達は、営業が遅れたことにあります。卸の利用社数は計画を上回っているように、ニーズが高いのですが、メーカー利用の拡大を推進する必要があります」(村上勝照社長)とメーカーへの営業に注力する方針。また、黒字化の時期についての質問には「来期は、単月で黒字になると見ていますが、通期では赤字と見ています」(村上勝照社長)と既に黒字化への見通しは立っている。

■上場以来初めての減益となったが、来期の増収増益はほぼ確実と思える

 残りは、「海外ライセンス事業」であるが、4日に発表しているように、現地のパートナー企業である「Kfood」を子会社化し、同社主導の営業体制の構築を行い、早期にシステムの普及を目指すとしている。
 今後の事業運営は、「Kfood」がインターネットサービスの運営提供を行い、子会社のInfomart(Beijing) Consulting Limited Companyが営業活動、サポートを行う。「来期も赤字だが、赤字額が膨らむとは思っていません」(村上勝照社長)と黒字化するにはまだ時間が必要である。
 上場以来初めての減益となったが、「ASP受注・営業システム」、「クラウドサービス事業」の早期の黒字化が見込めるうえに、売上の主力であるASP受発注事業、ASP規格書事業は着実に売上高、営業利益共に拡大していることから、来期の増収増益はほぼ確実と思える。

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