2011年11月15日
ピーアンドピー:今12年3月期第2四半期連結決算説明会を開催
■モバイル市場の拡大に伴い販売員の需要が増加
ピーアンドピー<2426>(JQS)は8日、今12年3月期第2四半期連結決算説明会を開催した。
第2四半期の決算ハイライト、上期トピックス、通期見通し、下期の重点施策について、代表取締役社長山室正之氏により詳しく説明が行われた。
決算のハイライトに関しては、第2四半期連結業績は、売上高112億13百万円(前年同期比7.0%増)、売上総利益20億29百万円(同3.7%増)、販売管理費18億10百万円(同5.4%増)、営業利益2億19百万円(同8.7%減)、経常利益2億24百万円(同7.3%減)、純利益1億4百万円(同18.3%増)と増収ながら、売上総利益率が低下したことで、営業・経常利益は減益であった。
売上高については、モバイル市場の拡大に伴う販売員の需要の増加と、震災後の棚卸サービス需要の発生により売上が増加した。
利益については、売上総利益率が0.6ポイント低下したことにより、営業利益、経常利益共に前年同期比で減益となった。売上総利益率の低下要因は、放送通信分野の業務委託案件が大幅に増加したことにより、利益率の低い外注スタッフの利用が増加したことによる。
しかし、最終利益は、前期にあった資産除去債務に関する特別損失が消えたことから2ケタの増益となった。
震災の影響により、第1四半期は自粛ムードや商品不足によるキャンペーンの縮小や中止の影響があったが、第2四半期以降では影響はほとんど見られない。
■SPOサービス、棚卸サービスは2ケタの増収
取扱商材別売上高は、SPO(セールス・プロセス・アウトソーシング)サービス63億75百万円(同15.8%増)、ストアサービス9億92百万円(同0.1%減)、人材サービス28億39百万円(同8.4%減)、棚卸サービス10億6百万円(同14.2%増)であった。
SPOサービスでは、スマートフォン市場の拡大などにより放送通信分野での業務請負案件が増加したことに加え、カード、ネットスーパー会員獲得が好調であったことから2ケタ増収となった。
ストアサービスは、期初は震災の影響が見られたが、キャンペーンの再開により微減に留まった。
人材サービスは、一般事務派遣案件の縮小により減少した。
棚卸サービスは、震災後の臨時棚卸案件受託により増加した。
セグメント別売上高は、アウトソーシング45億72百万円(同51.9%増)、人材派遣66億41百万円(同11.1%減)であった。
アウトソーシングの売上が大幅増収となった要因は、SPOを活用した請負案件を積極的に推進した結果、受注が増えたことと、震災後に発生した臨時棚卸案件を受託したことが挙げられる。
人材派遣の減収は、利益率の低い人材派遣から利益率の高い請負案件への切り替えを推進したことと、一般事務派遣の需要が縮小したことによる。
■PPR導入提案により効果的な売場管理を実現した結果、業務請負案件が急増
上期のトピックスとしては、SPOサービスの拡大、Web SPOサービスの立ち上げ、プラットフォーム事業の開発、東アジア地域へのSPO事業展開の4つが挙げられた。
SPOサービスの拡大に関しては、派遣事業から業務委託化に事業の比重をシフトするために、エリア毎の一括提案による独占案件の獲得を推進した。また、売場での販売力強化と効率的運営のため、優秀なSV(スーパーバイザー)を戦略的に育成すると共に、PPR(ピーアンドピー・リポーティングシステム)導入の提案により、クライアントへの円滑なフィードバックと効果的な売場管理を実現した。その結果、業務請負案件が急増し、アウトソーシング事業の売上高が51.9%も増加した。
Web SPOサービスの立ち上げについては、6月20日よりサンプル&モニターサイト「もにったー」サービスを開始したことである。
「もにったー」サービスにより、twitterやFacebook等のSNSと連動した口コミプロモーション効果が出てくる。商品に対する消費者の感想・意見の収集が可能である。また、もにったーサイトからクライアントサイトへユーザーを誘導することも出来る。更に、店頭デモンストレーションや統合プロモーションを受注するきっかけともなる。「リアル」とWebの流れを生み出す媒体として既存事業とのシナジー効果も期待できる。
プラットフォーム事業の開発に関しては、9月29日にWeb求人サイト「おいしい仕事」を譲受け、これまで同社の運営している求人サイト「4510181.com」との統合による、採用効率の向上を図る。また、同社のクライアントに対して直接雇用のための求人掲載サービスとして提供する。更に、「おいしい仕事」が持っているユーザーを活用することで、同社のWeb事業の活性化を図る。
■日本国内・台湾の社内にいながらリアルタイムに店頭の状況確認が可能
東アジア地域へのSPO事業展開については、台湾でのPPR提供を開始している。日本国内・台湾の社内にいながら、コンビニ・スーパーの店頭写真、接客データ、販売台数などのデータをPPRシステムを通じて送信できることから、リアルタイムに店頭の状況確認が可能であり、データを通じて、店頭装飾の改善・販促物の追加作成などの販売戦略の速やかな立案が可能となっている。
ピーアンドピーグループの上期の取組を見ると、ピーアンドピー・キャリアは、コールセンター派遣の積極的な営業活動を実施した。その結果、地デジ移行案件、震災関連案件のコールセンター派遣を受注。また、官公庁への営業活動も強化している。
ピーアンドピー・インベックスは、大型店へ棚卸を中心に営業を強化した。震災の影響で発生した臨時の棚卸案件の受託が増えた。台湾でも子会社による棚卸の営業活動を推進した。
ジャパンプロスタッフは、ソフトバンクを中心に携帯キャリアとの直接取引きを強化すると共に、粗利率改善に取組んだ。また、スマートフォン用サービスの新規の受託を確保した。
■下期は業務請負案件でスタッフの自社雇用化推進により粗利率の改善を図る
今期通期の見通しと下期の重点施策については、通期連結業績の売上高は228億円、売上総利益43億8百万円(売上総利益率18.9%)、販管費37億18百万円(販管比率16.3%)、営業利益5億90百万円(営業利益率2.6%)、経常利益5億90百万円(経常利益率2.6%)、純利益3億円(純利益率1.3%)を見込んでいる。
第2四半期に比較して利益率の改善が目立つ。売上総利益率で0.8ポイント、営業利益率で0.6ポイント、経常利益率で0.6ポイント、純利益率で0.4ポイントの改善となる。
この目標を達成するためのポイントとして、スマートフォン需要拡大を背景に更なるSPO案件の獲得と、業務請負案件におけるスタッフの自社雇用化推進により粗利率を改善することを挙げている。
下期のモバイル市場については、携帯電話は市場全体の伸びが鈍化する中で、スマートフォン市場は引き続き拡大していく見込であり、そのため、同社ではスマートフォンに特化した専門スタッフによる販売促進ニーズが拡大すると見ている。
家電市場については、節電機能を備えた白物家電やLED電球の商品数・出荷台数が増加している。しかし、エコポイント制度の終了や地デジ切替えによる買換え需要が減少したことで、クライアントのニーズが変化している。そのため、クライアントのニーズに沿ったトレンド商材の販売促進に注力する。
その様な状況の中で、中国、台湾、韓国といった海外のメーカーは、モバイル、家電分野での日本進出が加速している。同社では、国内店頭支援のノウハウを活かして、海外メーカーの日本での販売促進をサポートする。
■攻めの営業への変革、柱となる新規事業開発、売上500億円を目指す基盤強化が重点施策
下期の重点施策としては、攻めの営業への変革、今後の柱となる新規事業開発、売上500億円を目指す基盤強化の3点を挙げている。
攻めの営業への変革としては、P&Pレポーティングシステムを利用した店頭の「見える化」により、メーカー、ストアー、放送・通信における販売促進にかかわる全ての分野をワンストップで支援する。更に、P&Pレポーティングシステムを活用したSPOサービスを拡大するために、既存クライアントの拡大、新規クライアント開拓により、年末商戦・春商戦へ向けての積極的な営業活動を行い、キャンペーンの獲得を目指す。既存クライアントの拡大に関しては、派遣から請負案件の受託に注力する。取扱商材の拡充も行う。新規クライアント開拓については、トレンド商材の販売促進案件を獲得すると共に、日本の流通の仕組みが分かっていない海外メーカーへのアプローチも積極的に行い、受注に結び付ける。スマートフォン市場拡大に合わせた取組も行う。例えば、スマートフォンに特化したスタッフによる販売支援、新商品販促キャンペーンの実施、スマートフォン向けコールセンターに対する人材支援、タブレット、通信端末等の関連商材の拡販、代理店、販売店向け研修業務の請負と5つの施策を実施することでスマートフォン市場での売上を伸ばす。また、派遣サービスから請負業務への促進を図ることにより、利益率の改善を図る。しかし、今期は先述しているように請負案件が急増したことで、外部スタッフを採用したことで、利益率を下げている。そのため、スタッフの自社化を推進し、利益率を改善する計画。
■中国・台湾へ製品を販売する国内企業をSPOサービスで支援
新規事業開発に関しては、中国・台湾へ製品を販売する国内企業をSPOサービスで支援する。また、Web SPOサービス「もにったー」拡大の取り組みとして、伝播効果の高いソーシャルメディアを活用したユーザー獲得キャンペーンを実施する。「もにったー」とリアルイベントのパッケージプランを提案する。既存サービスと「もにったー」の融合による新サービスの開発等がある。更に、プラットフォーム事業の拡大による新規事業も出てきている。これまでの「4510181.com」と今期エスプールより譲受けた「おいしい仕事」を統合したリニューアルサイト「おいしい仕事」に人材派遣と業務請負案件の求人情報を掲載すると共に、クライアントにも直接雇用のための求人情報掲載枠を販売する。
売上500億円を目指す基盤強化については、積極的なM&Aと事業提携を推進することで対応していく。まず、SPOサービスの強化を目指し、シナジーが期待される隣接領域をターゲットとする。具体的には、マーケティング、マーケットリサーチ、セールスプロモーション、企画立案等の企業。その他には、特定の地域や顧客基盤に強みを持った企業を挙げている。
■人材採用の効率化、スタッフ、社員への研修強化を目的として10月に能力開発センターを設立
そのほかの施策としては、能力開発センターの設立、25周年プロジェクトの推進の2項目。
能力開発センターは10月に設立している。人材採用の効率化、スタッフ、社員への研修強化を目的として立ち上げている。
25周年プロジェクトの推進としては、働きやすい環境作りがある。具体的には、永年勤続表彰制度の導入、従業員保険への加入等である。
ピーアンドピーグループの下期の重点施策については、ピーアンドピー・キャリアでは、コールセンター派遣業務の拡大、内部統制機能の強化を実施する。ピーアンドピー・インベックスでは、大型店クライアントの獲得、既存クライアントのシェアの拡大を目指している。
ジャパンプロスタッフは、スマートフォン知識の豊富なスタッフの派遣を拡大すると共に、スタッフの研修を強化する。
株主還元策については、現金配当を基本方針としている。過去3期を振り返ると09年3月期850円、10年3月期900円、11年3月期1000円(創業25周年記念配100円を含む)と毎期増配を継続している。今12年3月期は普通配950円と実質50円増配を予定している。
繰り返しになるが、下半期には業務請負案件におけるスタッフの自社雇用化推進により粗利率を改善するため、今通期業績予想は増収増益を見込む。
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