2009年11月26日
イメージワン:PACS(医療画像保管・配信・表示システム)関連市場の拡大に適応
衛星・医療画像のイメージワン<2667>(大へ)の今10年9月期連結業績予想は、売上高25億円(前期比13.1%増)、営業利益8700万円(前期△7200万円)、経常利益7500万円(同△7200万円)、純利益7000万円(同1億5300万円)と増収増益で黒字転換を見込む。
投資家は、新社長高田康廣氏がどのような経営方針をうち出すかに関心がある。本年6月に辞任した前社長岡本政晴氏の後を引き継いだ現社長高田康廣氏に注目が集まっている。
しかし、就任早々2期連続で赤字の企業を、今期より増収増益で黒字転換の予想を出しているところに新社長の意気込みが感じられる。期待したい。
高田氏は、元商社マン。社長に就任する以前は、医療画像事業の責任者(現在も兼任)として、事業拡大を目指し、努力してきた。
そこで、医療画像事業の前期業績を見ると、医療画像事業の売上高は12億円、営業利益は2億800万円と、前々期売上高11億8000万円を2000万円上回り、営業利益も2億300万円を500万円上回っている。増収の主な要因は、昨年4月の診療報酬改訂による「フィルムレス加算」の施行に対応した投資が結実し、PACS(医療画像保管・配信・表示システム)関連市場の拡大に適応することができたことに加えて、東北営業所の開設をはじめとする営業地域の拡大が成果をあげてきたため。営業利益は微増であるが、これは前期実施した事業拡大のための投資によるもので、この投資は本格稼動を目指す今期以降の成果に結びつくものと期待されている。
一方、衛星画像事業は減収、営業増益。セキュリティソリューション事業は減収減益となっている。医療画像事業だけが増収増益となっている。
■医療画像事業を展開している企業にとっては追い風
11月20日に前期の決算説明会が東京証券会館で開催され、今期の基本方針について詳しい説明が行われた。
まず、医療画像事業は、現在のPACS事業から今後は放射線科統合情報システム事業への転換を基本方針に掲げている。10年9月期は、事業基盤を強化するために、PACS事業では、営業重点地域の拡張を継続すると共に、既存顧客の囲い込みを行う。ヘルスケアに関しては、営業グループを新設し、マンモ検診システム「Breast―io」の拡販と遠隔画像診断サービスに注力する。さらに、放射線科情報システム(RIS)の市場投入により収益基盤を広げるとしている。
これまでの政府の施策を振り返ると、08年4月診療報酬改定、IT改革戦略、医療制度改革関連法、医療情報ガイドライン等があるが、その都度医療現場では、新しい動きが出てきていている。例えば、診療報酬の改定ではフィルムレス化が進むことになり、IT改革戦略ではレセプトの完全オンライン化、医療制度改革関連法では、特定検診・特定保健指導の実施が普及している。さらに、医療情報ガイドラインに至り、医療情報の外部保存受託を民間企業に解禁したことで、民間企業のビジネスチャンスは一層拡大している。しかも、これまでPACS事業が浸透しているものの、普及率はまだ全病院の30から40%までで、医療画像事業を展開している企業にとっては追い風といえる。
同社の医療画像事業もこの機を捉え、売上拡大を目指す。
衛星画像事業については、これまでの中央官公庁の安全保障分野への依存から脱却するために、事業を衛星画像ソリューション提供へ転換していく方針。
例えば、現在の対象顧客は中央官公庁が主であったが、今後は、地方自治体、海外も視野に入れた提案型営業を進めていく方針。従って、これまでの衛星画像の販売代理店から、衛星画像によるソリューションを提供する企業として活動する。対象となる事業分野は、安全保障を含め、農業、環境、水資源といった、これから国家の重要課題と重なるために、事業環境は整っているといえる。
今後、事業分野を広げ、事業環境変化への対応力強化を図る方針である。例えば、地表面変位モニタリング事業、水稲作付面積調査等、同社ならではの事業を立ち上げることが出来る。既に海象監視システムのように自社で開発した例もある。
新社長を迎え、新生イメージワンとして、当初計画通り、増収増益黒字転換となることを期待。