2010年11月24日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

イメージワンの10年9月期業績は2期連続の赤字から脱却


■医療画像事業の売上比率は09年9月期より7.0%アップ

イメージ ワンホームページ 医療画像、衛星画像のイメージワン<2667>(JQS)は、19日に前10年9月期決算説明会をJQプラザで行った。
 前通期業績は、10月29日に発表している。売上高22億1800万円(09年9月期比0.4%増)、営業利益3100万円(同1億400万円増)、経常利益2900万円(同1億200万円増)、純利益1500万円増(同1億6900万円増)と2期連続の赤字から脱却し、黒字化を果たしている。
 事業別の売上高の比率は、医療画像事業61.0%、衛星画像事業38.0%となっていて、医療画像事業の比率は09年9月期より7.0%アップしている。

■PACSにRISを組み合わせた付加価値の高いサービスを提供

 医療画像事業の主な事業内容は、PACS(ピクチャー・アーカイブ・コミュニケーション・システム)という医療画像の保管、配信、表示システムの開発・販売を行っている。また、08年から投資して、09年に完成したRIS(放射線科情報システム)ネットワークシステムの開発・販売も行っている。RISが出来たことにより、検査オーダを受けると検査装置に情報を送受信する機能や検査の進捗もリアルタイムで配信できることから、放射線科内で、予約の状況や、検査の進捗状況を把握できることになる。更に、遠隔画像診断支援ASPサービスの提供も行っている。現在は医師不足が問題になっているが、専門の医師がいない場合でも、画像診断専門医がいる病院に画像を送ることで、正確な診断が出来ることから、今後さらに普及すると予想される。
 医療画像事業の売上高、営業利益の過去3年間の推移は、08年9月期11億8000万円、2億2300万円、09年9月期12億円、2億800万円、10年9月期13億5200万円、1億9500万円と売上高は順調な伸びを示しているものの、営業利益は毎期減益が続いている。これは、システムの開発への投資の影響によるもので、今後はPACSにRISを組み合わせた付加価値の高いサービスを提供していくことから利益率が高くなると見ている。既に、24時間対応のコールセンターを開設し、サービス体制を整えている。

■農業や地球環境分野等の新規事業の立ち上げと付加価値のあるモニタリング事業を推進

 衛星画像事業は、衛星画像データ、画像処理用ソフトウェア、ハードウェアの販売を行う一方で、付加価値商品の提供と事業化を進めている。
 具体的には農業や地球環境分野等の新規事業の立ち上げと付加価値のあるモニタリング事業の推進を行っている。
 現在、フランスのスポット社、カナダのMDA社と日本での衛星画像の独占販売契約を結んでいる。
 過去3年間の衛星画像事業の売上高、営業利益の推移を見ると、08年9月期10億8100万円、△600万円、09年9月期9億4000万円、1100万円、10年9月期8億4200万円、4800万円と医療画像事業の業績とは逆に、売上高は毎期減少しているが、利益は毎期増益となっている。売上高は、防衛安全保障マーケット市場の縮小の影響による。増益となっているのは、画像だけでなく、分析、解析する等付加価値の高いものを販売しているため。

■自己資本比率は09年9月期末の31.8%から11.9ポイント改善

 貸借対照表を見ると、流動負債9億6500万円(対09年9月比期比3億3600万円減)、固定負債1億2200万円(同2億9900万円減)と負債を大幅に減らす一方で、純資産合計は8億4400万円(同4200万円増)となったことから、自己資本比率は09年9月期末の31.8%から11.9ポイント改善し、43.7%と財務体質の健全化も大幅に進んでいる。
 今11年9月期連結業績予想は、売上高24億円(前期比8.2%増)、営業利益7500万円(同2.35倍)、経常利益5500万円(同83.4%増)、純利益3500万円(同2.19倍)と増収大幅増益を見込む。

■放射線科統合情報システムは、1件当たり2000万円から4000万円

 今期の医療画像事業の取組について、代表取締役社長高田康廣氏は、PACSと前期より販売を開始しているRISを組み合わせ放射線科統合情報システム事業を確立したことにより、事業領域が拡大した現状の営業活動について、「放射線科統合情報システムは、1件当たり2000万円から4000万円します。受注してから検収するまで6カ月間必要です。現在は、約400件の既存顧客がありますが、その中で関東の顧客170件に営業をかけています。今期の売上を見込んでいます。まず、関東で安定した稼働を確立してから、地方へ進出する計画です」と語った。
 今後は、今期の後半または来期中に次世代の新カテゴリー医療情報システムである病院情報統合システムの開発を完了し、販売する計画。

■SAR衛星画像を用いた付加価値の高い事業を推進

 衛星画像事業については、これまでの防衛・インテリジェンス機関向けへの画像提供を主力とするのではなく、08年に議員立法で宇宙基本法が成立したことにより、政治主導の国際競争に打ち勝つ宇宙戦略作りを目指していることから、より活発な宇宙利用が予想される。
 その様な状況の中で、同社では、SAR衛星画像を用いた付加価値の高い事業を推進している。具体的には、画像提供に加え、画像処理、解析・分析処理サービスを付け加えることである。
 例えば農業分野で、水稲の作付状況を調べる際に、SAR衛星を用いると、撮影する地域の天候状況に左右されることなく撮影できる。SAR衛星で写した画像処理されていないものを訓練を重ねたスペシャリストが、画像処理をすると作付状況が一目でわかる。更に分析・解析することで、コメの育成状況まで調べることが出来る。農水省水稲統計をはじめ、火山・地震災害調査、地表面変動計測、海上オイル漏れ監視、不審船監視(AIS)等にこの技術を生かすことができる。
 奇しくも、決算説明会当日の日経新聞の1面に「低価格衛星民間で」という記事が出ていたように、衛星画像ビジネスはこれからますます拡大するものと思われる。
 医療画像事業、衛星画像事業ともに付加価値の高い事業領域のサービスにターゲットを絞り込んだことから今後の黒字拡大が期待できる。

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