2008年06月10日
プラマテルズ:既に業績回復策として独自戦略を推進
8号令販社認可取得も視野に、深せん業務サービスセンターを1月設立 |
6月5日に兜町平和ビル3階のアナリスト協会で、合成樹脂専門商社のプラマテルズ<2714>(JQ)の前09年3月期決算説明会が行われた。
代表取締役社長菅原正弘氏は挨拶の後、リーマンショックの影響から大幅に需要が落ち込んだ前期の決算について、「まず、前期の決算の概略に続き、市場動向、金融危機時の経営戦略、今期の通期業績予想の順で説明させていただきます。」と語り始めた。
前09年3月期連結業績は、売上高525億5000万円(前々期比7.6%減)、うち海外売上高83億9200万円(同0.3%減)、売上総利益31億4800万円(同9.4%減)、営業利益8億9300万円(同18.0%減)、経常利益8億900万円(同14.2%減)、純利益4億8900万円(同30.5%減)と減収減益であった。
「売上高は、11月以降需要が落ち込んだため、減収になりました。第4四半期だけで対前年比4割落ち込んだことが響きました。しかし、海外関連については、香港で新規案件を獲得したため、0.3%の微減に踏み止まりました。また、純利益が大幅に減少したのは、前の期の本社売却益のような特殊要因がなかったためです。」と前期業績のポイントを説明した。
主な商材別の売上高と構成比を見ると、高付加価値商材であるエンジニアリング系樹脂の売上高は10.2%減、構成比30.9%(前々期31.7%)、高機能商材であるスチレン系樹脂の売上高は10.4%減、構成比23.8%(同24.5%)と売上高、構成比共に減少している。一方、オレフィン系樹脂は売上高5.3%増、構成比10.2%(同9.0%)と売上、構成比共に伸びている。
単体での業界別販売比率は、OA・事務機器36%、家電・電子17%、自動車6%、医療器7%、建材10%、容器・化粧品3%、玩具・その他21%となっている。
財務面を見ると、キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー8億6700万円、投資キャッシュ・フロー△6100万円、財務キャッシュ・フロー△7700万円となったことで、期末の現金及び現金同等物は23億2100万円と6億3400万円増加。自己資本比率は29.2%と5.8ポイント改善し、商社としては高い自己資本比率を維持している。
次に、原料となるナフサの市場価格と数量を振り返ると、09年4月以降で最も価格が高かったのは、8月で1KL当たり9万円近くあったが、1月には2万円まで下げている。数量が最も多かったのは10月で220万KL、最も少なかったのは2月で100万KL近くまで落ち込んでいる。リーマンショックの9月までは、価格は例年を超える勢いで高くなっていたが、10月から急落が始まっている。数量、価格とも減少していることから、需要が激減していることが窺える。しかし、ナフサ価格の先行指標であるWTI(期近物)の価格は、1月(35$/バレル)を底に、4月には50$/バレル前後まで回復。また、6月5日のニューヨーク原油先物相場は、WTIで期近の7月物は1時1バレル70.32$と昨年11月上旬以来7カ月ぶりの高値を付けたことから、更なるナフサの上昇も予想され、同社にとっては追い風といえる。
このような金融危機の中の経営戦略は、アジア進出を進める日系企業、現地下請法人への供給体制を充実し、合成樹脂の素材専門商社として、グローバル・プレーヤーとしての橋頭堡を築くことを目標としている。「どのようにして、この難局をブレークスルーしてゆくか。そのためには、日本市場だけではなく、海外市場の開拓が必要です。中でも中国市場が重要。これまで、天津、上海、香港、シンガポールに現地法人を設立する一方で、コンパウンド工場を大連、ベトナムに建設し、順調に販路を広げてきました。しかし、更に取引を拡大するには、人民元で販売する販社が必要です。そのためには、8号令販社の認可を中国政府から取得する必要がありますが、その前段階として、深せん業務サービスセンターを1月に設立しました。このサービス会社を通じ、香港法人の営業支援業務を行い、日系企業、現地法人に対しデリバリーサービス等の充実を図りつつ体制を整備の上、将来的には8号令販社への形態変更により、人民元取引を開始して、商いのパイを広げる計画です。」と既に業績回復策として独自戦略を推進している。
主な海外拠点の今期の売上高予想は、香港37億8900万円(同6.0%増)、上海17億7400万円(同15.0%減)、シンガポール6億7800万円(同22.0%減)、天津1億9600万円(同22.0%増)となっている。また、全売上高に占める海外売上高の比率は、07年12.4%、08年14.8%、09年16.0%と年々高まっている。今後は20.0%超まで高めていきたいとの考え。
今期連結業績予想は、売上高460億円(前期比12.5%減)、営業利益4億7500万円(同46.8%減)、経常利益4億3500万円(同46.2%減)、純利益2億6000万円(同46.9%減)と減収大幅減益を見込んでいる。配当は、中間、期末ともに5円として、年間10円を予定している。
減配となるが配当性向は従来以上で、もし予想値よりも利益が上回る場合は、積極的に出来る限りの株主還元を行っていきたいとの意向。
未曽有の不況で業績は低迷しているが、高付加価値商材を取り扱っていることから、利益率は高く、しかもキャッシュ・フローを見て分かるように、堅実な事業運営を行っているため、手元資金は増えていて、健全な財務内容。今期も大幅減益を見込むが、将来へ向けての布石として、中国での事業展開等に対する積極的投資の姿勢は崩さぬ方針。一方で、在庫管理や与信管理も徹底していて、前期の売掛債権の焦げ付きは1件(300万円)のみ。攻守に亘り全力を尽くすことで、この難局の乗り切りを図る。
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