2010年06月10日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

プラマテルズは前期は減収減益なるも、当初公表数値を大幅クリア


■主な顧客は、主要業種のトップメーカー、大企業を含め幅広く取引

プラマテルズのHP 合成樹脂の専門商社プラマテルズ<2714>(JQ)は、4日に兜町平和ビルで前10年3月期の決算説明会を行った。
 前10年3月期連結業績は、471億4500万円(09年3月期比10.3%減)、営業利益6億6300万円(同25.7%減)、経常利益6億2100万円(同23.2%減)、純利益3億8800万円(同20.6%減)と2ケタの減収減益であった。
 代表取締役社長菅原正弘氏は、前期決算の概要、同社の強みと基本戦略、市場動向、今期業績予想の順で説明を始めた。
 国内の前期上半期は、リーマンショックの影響を受け、大幅な需要の落ち込みとなった。年度後半にかけて以降の需要の回復を確実に取り込むも、上半期の落ち込みをカバーするには至らず減収。
 海外は、下期以降の香港店の好調や大連店の販売が開始され、2か月分の売上が計上されたことで、通期では90億9300万円(同8.4%増)と増収。
 同社の特徴は、高付加価値の商材であるエンジニアリング系樹脂、スチレン系樹脂の売上高が70%以上を占めることから、売上総利益率6.0%と合成樹脂の商社としては利益率が高いことである。
 また、顧客密着型の営業体制を構築していることから、顧客に提案型の営業が出来るところが強みである。主な顧客は、主要業種のトップメーカーや日本を代表する大企業を含め幅広く取引をしている。
 販売先業界別売上高構成比は、OA・事務機器34%、家電・電子16%、自動車6%、医療器7%、建材9%、容器・化粧品3%、玩具・その他25%となっている。

■アジアに進出している日系企業への供給体制を整える

 顧客企業の海外進出の際に、国内と同様の原材料の供給体制構築を求められるケースが多く、アジアに進出している日系企業への供給体制を整えている。
 09年1月には中国・深せんに業務サービスセンターを設立し、現在8号令販社への法人形態変更申請の手続きを行っている。09年8月には大連にも海外子会社を設立している。現在の拠点は、深せんの業務サービスセンターの他に、大連、天津、上海、香港、シンガポールの現地法人に加え、フィリピンにおける駐在員事務所となっている。更に、ベトナムには、目的とする性能や機能を得るために、プラスチックのベース樹脂に強化材や添加剤を配合した材料を製造する拠点として東洋インキ制造株式会社との合弁でコンパウンド工場を稼動させている。
 合成樹脂の素材専門商社として、これまで10年をかけて、アジアに進出している日系企業へのサポート体制を強化している。また、将来的には人民元取引を見据え、8号令販社への申請の手続きを行っている。
 海外売上高と全売上に対する比率を見ると、07年3月期64億4600万円、12.4%、08年3月期84億1900万円、14.8%、09年3月期83億9200万円、16.0%、10年3月期90億9300万円、19.3%と順調に伸びている。
 今期の海外拠点別売上高予想は、香港68億9800万円(前期比36%増)、上海27億5700万円(同38%増)、大連12億8400万円(同494%増)、シンガポール8億5900万円(同36%増)、天津1億4300万円(同25%増)と合計で119億4100万円を見込み、全売上に対する比率は21.3%になる。なお、大連の前期は2カ月間だけの売上であったので今期の売上高は極端な大幅増となっている。

■参入障壁は高く、同社の経営基盤は強固

 同社の業務の流れは、顧客先の注文を聞き、仕入先から材料を仕入れ、場合によっては在庫し、配送する形態に加え、仕様に応じて加工し、加工したものを配送するまでに在庫として管理し、納入期日に合わせ顧客に届ける機能をも保有している。
 この間に同社ならではコア・コンピタンス(核となる能力)がある。まず、顧客先には密着営業を行っていることから、信頼関係は深まっていて、新製品を開発段階から提案を行っているため、受注を確保しやすい。
 仕入に関しては、顧客への拡販するための情報を伝えるなど、仕入先との信頼関係を構築していることで、販売先への共同提案も行える。
 更に、仕様に応じて加工する際には、品質管理の徹底が肝要で、そのためには顧客満足度調査を実施し、定期的に品質管理体制の見直し、改善に取り組んでいる。その結果、顧客満足度は高まっている。
 また、在庫管理、流通に関しては、顧客に密着し、発注先のニーズを詳細に把握しているため、最小限の在庫で少量多品種に対応できるうえに、急な要望にも対応できる即納体制を確立している。
 これらのコア・コンピタンスは、長年同社が築いてきたもので、一朝一夕できるものではないことから、参入障壁は高く、同社の経営基盤は強固といえる。

■ナフサ価格の利益に対する影響は少ない、為替の変動による収益への影響も限定的

 原料であるナフサの価格の利益に対する影響を調べるため、1kl当たりのナフサの価格と売上総利益率の推移を見ると、04年3月期2万7000円、5.7%、05年3月期3万2000円、5.9%、06年3月期4万5000円、6.0%、07年3月期4万8000円、6.3%、08年3月期6万4000円、6.1%、09年3月期2万9000円、6.0%、10年3月期4万6000円、6.0%となっている。ナフサの価格が倍増しても、半減しても、売上総利益率は6.0%ラインを挟んだ小動きで、安定しているといえる。ナフサ価格が利益率に与える影響は少ない。
 また為替の変動による収益への影響も限定的といえる。というのは輸出の際には、円建てで仕入れ、米ドル建てで販売し、輸入の場合は、米ドル建てで仕入れ、円建てで販売するため、輸出入で為替の影響はほぼ相殺されることになっているためである。
 今11年3月期連結業績予想は、売上高560億円(前期比18.8%増)、営業利益7億3000万円(同10.0%増)、経常利益6億9000万円(同11.0%増)、純利益4億2000万円(同8.0%増)と増収増益を見込む。
 「メインの顧客からの受注は4月、5月は順調で、今期の立ち上がりは好調です」(菅原正弘社長)と語っていることから、今期業績予想の達成は期待できる。

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