2011年06月09日
プラマテルズの前11年3月期連結業績は大幅増収増益を達成
■次々と海外に現地法人を設立し、海外進出の日系メーカーへの販売体制を構築
合成樹脂専門商社のプラマテルズ<2714>(JQS)は、6月3日に前11年3月期決算説明会を兜町平和ビルで開催した。
同社代表取締役社長井上正博氏は、同社グループの紹介、前期業績の概要、東日本大震災の影響、今期の業績予想の順で説明を開始した。
同社は合成樹脂の販売を目的に1952年3月に創立して以来着実に成長し、98年11月に販売会社の富士松を100%子会社化し、2001年10月にジャスダック市場に上場し又、03年9月に製造・販売会社のフィルタレンを設立した。一方で、03年1月に香港現地法人、同年4月上海現地法人、04年3月シンガポール現地法人、同年10月天津現地法人、06年2月東洋インキとベトナムに合弁コンパウンド工場、09年1月深?現地法人、同年8月大連現地法人と次々と海外に現地法人を設立することで、海外に進出する日系メーカーへの販売体制を構築している。
前11年3月期連結業績は、売上高55,762百万円(10年3月期比18.3%増)、営業利益899百万円(同35.5%増)、経常利益842百万円(同35.5%増)、純利益500百万円(同28.8%増)とリーマン・ショックの影響から急回復し、大幅増収増益を達成した。
■各業界の日本を代表する企業が顧客
来期で創業60周年を迎える業界の老舗で、その間に築き上げた顧客との信頼関係は厚く、コア・コンピタンス(同業他社を圧倒的に上回るレベルの能力)を持つ企業。
その裏付けとなるのが、合成樹脂原料に関する極めて高い専門性を持っているため、メーカーを巻き込んだ卓越した提案が出来るうえに、国内、海外にかかわらず、少量多品種であっても、即納体制を構築していることである。その結果、各業界の日本を代表する企業が同社の顧客となっている。
業界別売上高構成比の概要は、OA・事務機器36.0%、家電・電子15.0%、建材9.0%、医療器7.0%、自動車6.0%、容器・化粧品2.0%、玩具・その他25.0%となっていて、OA・事務機器、家電・電子を併せると50.0%を超える。しかもOA・事務機器、家電・電子共に高付加価値のエンジニアリング系、高機能スチレン系樹脂を使用しているため、合成樹脂売上高の76.0%を、エンジニアリング系樹脂とスチレン系樹脂が占める。
前期の商材別連結売上高を見ると、エンジニアリング系樹脂21,858百万円(同34.8%増)、スチレン系樹脂12,206百万円(同18.6%増)、オレフィン系樹脂4,958百万円(同11.8%増)、塩化ビニール系材料3,441百万円(21.3%増)、その他樹脂2,022百万円(同18.2%減)、製品(合成樹脂関連他9,961百万円(同1.0%増)、合成樹脂関連機械・シート1,313百万円(同8.3%減)となっている。
■海外売上高は対前期比56.5%アップと急増
今後の経営方針に重要な、現在の顧客動向は、アジア、中国等の新興国市場での拡販、新しい事業分野の開拓、省エネ・省資源の推進の3つに集約される。
そのため、「技術」「コスト」「消費地」を念頭に置いた最も合理的な世界最適生産体制の構築が求められるが、同社の場合は先述しているように、アジアへの進出を推進し、中国に4社、香港に1社、シンガポールに1社、フィリピンに駐在員事務所、ベトナムに合弁会社を設立していることから、顧客の世界最適生産体制の構築に対して適切なフォロー体制を敷いているといえる。
今後のエンジニアリング樹脂市場の見通しについては、国内は概ね横ばいと見ている。一方、日本を除くアジア市場は、年平均約5.0%の成長を見込んでいる。
その様な状況の中で、同社の10年3月期の海外売上高比率は19.3%、前11年3月期は25.5%と6.2%アップしている。全体の売上高が18.3%伸びるなかで、海外売上高は対前期比56.5%アップと急増していることが分かる。
前期の業績についての説明の後、東日本大震災の影響についての説明が行われた。
■震災の影響を受け、今期業績予想は減収減益を見込むが、事業拡大路線に変わりなし
地震・震災による同社の拠点、工場、倉庫への影響はなかったが、販売先の一部には直接的な影響も見られ、部品調達の停滞などの影響により、工場稼働が停滞した。仕入先では、生産の一時停止等の影響がみられたが、原材料の調達については現在までに回復しつつある。
そのような状況下、3月の売上高は、対前年同月比94.0%、4月は同86.0%となった。東京地区だけに限定すると3月同89.0%、4月同78.0%であったが、大阪、静岡、名古屋は影響が無かった。
今通期業績予想については、震災前には、売上高580億円、営業利益920百万円を予算化しようとしていたが、震災後の影響を精査した結果売上高540億円、営業利益830百万円での業績予想の発表となった。
OA・事務機器、家電・電子については、部品調達の停滞などの影響もあり、本格稼働は下期以降になる見通し。建材は、復興需要が期待されるものの、戸建住宅の部材調達の遅延による影響が懸念される。医療機器は、災害対応を優先しており、商品の安定供給に向けた在庫の確保の動きが顕著となっている。自動車は、部品調達の停滞などにより、自動車各社の減産、販売減少等の影響が顕著に出ている。玩具・その他は軽微と見ている。
その結果、今12年3月期連結業績予想は、売上高54,000百万円(前期比3.2%減)、営業利益830百万円(同7.7%減)、経常利益780百万円(同7.4%減)、純利益470百万円(同6.0%減)と減収減益を見込む。
顧客企業の震災後の動向を適時適切に把握し、必要な対応をスピード感をもって実行することを今期の方針としている。
リーマン・ショックから急回復したと思ったところに今回の大震災の発生となったが、60年近くの間に築いたコア・コンピタンスを基盤として、業界の大手企業との信頼関係を築いていることから、今後の事業拡大路線に変わりはない。
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