2011年05月19日
エフティコミュニケーションズは前11年3月期の決算説明会を東京証券会館で開催
■強力な営業集団を形成し、ボリュームメリットを獲得するというテーマは狙い通り進捗
エフティコミュニケーションズ<2763>(JQS)は、16日前11年3月期の決算説明会を東京証券会館で開催した。
説明会は、2011年3月期決算レビュー、法人事業、コンシューマ事業、マーキングサプライ事業、業績予想と今後の取り組みの順で行われた。
3月11日に発生した大震災の被害については、同社のドコモショップ山田店が、津波により、建物、商品が流失。また、東北、北関東拠点の一部が破損するなどの被害を受けた。更に、地震によるメーカーの被災、ガソリン不足、交通規制、計画停電などにより、商品の供給不足が発生し、営業活動、工事メンテナンスの活動が停滞する等の影響を受けた。そのような状況であったことから、同社では、東日本地区から西日本地区への営業の移動を行い、商材を変更しての営業活動を継続することで対応した。
一方、法人向けモバイルの販売台数は順調に伸びた。iPhone4の販売開始による効果もあり21,080台(10年3月期比8,349台増)となった。WEBサイト販売は610百万円(同196百万円増)と順調。また、「Bizloopサーチ」地域版が47都道府県全て出来上がり、契約件数は約63千件(同約2万件増)と増加した。この結果、強力な営業集団を形成し、ボリュームメリットを獲得するという当期のテーマは狙い通りに進捗した。
10年5月にはベンチャー企業を会員として、支援、育成、投資等を行うアントレプレナー社の総発行株式数52.1%を取得して、子会社とした。8月には、企業間電子商取引サイト大手「アリババドットコム」の日本法人であるアリババの販売代理店であり、アリババドットコム国際サイトへの出展登録支援・サポート業務を行っているアリババマーケッティング社に資本参加した。11月にはコールセンター事業を行っているアイネットサポート社の株式11.1%を取得。更に人材派遣を中心とした人材関連事業を行う東日本教育研究所の株式20%を取得している。
また、コンプライアンス体制の強化策として、コンプライアンス委員会の四半期毎の開催、営業担当社員に対する特定商取引法の啓蒙活動、全社員を対象とした情報セキュリティ研修などの開催を実施した。8月31日には子会社のアイエフネットがプライバシーマークを取得するなど情報セキュリティの体制が整っていることが認められている。
■LED事業の売上約17億円が新たに加わる
以上のように前期のトピックスを紹介のあとで、業績の概要の説明に入った。
前11年3月期連結業績は、売上高416億5900万円(10年3月期比10.4%増)、売上総利益117億500万円(同27.0%増)、営業利益4億6500万円(同36.2%減)、経常利益5億500万円(同33.7%減)、純利益2億6100万円(同32.8%減)と増収ながら減益となった。
増収となった要因は、LED事業の売上約17億円が新たに加わったことによる。
四半期毎の売上高は、第1四半期9,659百万円、第2四半期9,797百万円、第3四半期10,804百万円、第4四半期11,397百万円。
減益となった要因は、東日本大震災の影響により法人事業やコンシューマ事業の売上高及び年間販売目標インセンティブが減少したことなどによる。
四半期毎の営業利益を見ると、第1四半期△31百万円、第2四半期247百万円、第3四半期119百万円、第4四半期129百万円。第1四半期が赤字となったのは、150名の新卒を投入したことで、売上高の割合に人件費などが嵩んだことによる。
バランスシーを見ると、総資産15,904百万円(同1675百万円増)、負債合計11,554百万円(同1,694百万円増)、純資産4,350百万円(同19百万円減)、自己資本比率22.3%(同2.0%減)となっている。
キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー707百万円(同1,800百万円増)、投資キャッシュ・フロー△245百万円(同157百万円減)、財務キャッシュ・フロー442百万円(同6百万円減)、現金及び現金同等物の四半期末残高3,727百万円(同898百万円増)。
セグメント毎の売上高、営業利益は、法人事業16,287百万円(同29.0%増)、476百万円(同51.8%減)、コンシューマ事業5,019百万円(同49.2%増)、△3百万円、マーキングサプライ事業20,608百万円(同6.1%減)、103百万円(同50.3%減)、本社経費等△255百万円、△111百万円であった。
■法人携帯電話21,078台(同65.6%増)と共に大幅増
決算概要の説明に引き続き、事業毎の詳しい説明が行われた。
法人事業は、ソリューション事業、法人ネットワーク事業、インターネットサービス事業、パートナー事業の4事業から成り立っている。
ソリューション事業では、ビジネスホン、複合機、セキュリティ、回線ネットワーク等の通信機器を取扱っている。
法人ネットワーク事業では、SoftBank法人携帯、回線ネットワーク、ハードウェア等のネットワーク商材を販売している。
インターネットサービス事業では、ISP、Webサイト制作、ホスティング、ポータルサイト運営等のサービスを提供している。
パートナー事業では、法人事業取扱商材の代理店展開、卸売販売を行なっている。直営店だけでなく、代理店でも同じノウハウで行う。
前期の実績を見ると、ビジネスホンの販売台数6256台(同2.1%増)、複合機販売台数はシャープ製複合機を中心に大幅に台数を伸ばし、単月で過去最高台数の432台を記録するなど好調であった。総販売台数は4,227台(同12.8%増)であった。その他、09年下期より新たな収益源となったISP商材の他、高速無線LAN端末(WiMAX・Wi−Fi)の販売も開始している。Webサイト制作は638サイト(同38.1%増)、法人携帯電話21,078台(同65.6%増)と共に大幅増となった。
同事業の今後の重点施策として、生産性の向上、ストック商材の販売強化、ラインアップの増加、パートナー企業の更なる出店による販路の拡大に加え、事業間のクロスセル、アップセルを行っていくとしている。そのほかに、早期人材育成と重要指数による全国統一戦略を挙げている。
■フレッツ光60,497回線(同84.4%増)、ISP54,964回戦(同2.14倍)と大幅に伸びる
コンシューマ事業は、ブロードバンド事業、モバイル事業の2事業。ブロードバンド事業では、固定ブロードバンド回線「フレッツ光」、インターネット接続サービスを行っている。モバイル事業では、ドコモショップを運営し、ドコモの携帯電話、データ通信関連商品を販売している。
11年3月期の営業拠点数は27拠点、営業人員は540名で、テレマーケッティング、訪問販売、店舗販売を行なっている。
前期の実績は、フレッツ光は60,497回線(同84.4%増)、ISPは54,964回戦(同2.14倍)と組織規模の拡大により大幅に伸びている。ドコモ携帯電話の販売台数は17,896台(同4.4%増)とソフトバンク「iPhone4」に押され苦戦を強いられたが、ドコモ冬春モデル28機種の大量投入により前年を上回る販売台数となった。
今後の重点施策としては、ブロードバンド事業では、NTT東日本フレッツ光ライトプラン投入による販売の強化、ストック型商材の販売を強化して将来収益を積み上げるとしている。モバイル事業では、法人向け外販営業の強化、ストック商材のセット販売強化、スマートフォンユーザーに対するモバイルWi−Fiルーター販売の3つを挙げている。キャリアからもらうコミッションだけでなく自社のストック商材を売上げることで強固な財務基盤を築く方針。
■太陽光発電システムの売上高・輸入家具卸売の売上が貢献
マーキングサプライ事業は、プリンタ印字廻りの消耗品を中心としたOAサプライ用品を取扱っている。その他の事業では、環境関連商品、ファニチャー、ファシリティ総合を販売している。
前期の実績は、マーキングサプライ事業は、消費者抑制や販売先の流通在庫調整が影響し主力商品であるトナーカートリッジ・インクカートリッジの売上高が減少したことで、売上高17,186百万円(同12.29%減)となった。その他の事業は、太陽光発電システムの売上高・輸入家具卸売の売上が貢献したことで、売上高3,463百万円(同35.72%増)と大幅増収を達成。
同事業の重点施策としては、マーキングサプライ事業での安定した収益の確保、成長事業の強化・育成を挙げている。
マーキングサプライ事業で安定した収益を確保するために、既存販路を生かした新商品の投入する一方で、単価の安い輸入品・汎用品の販売を強化する。更に、物流、配送といったサポート体制の機能強化を実施する。
成長事業の強化・育成に関しては、LED照明・太陽光発電システムの販売を強化するために、販売代理店を開拓するとしている。更に、輸入家具卸販売を拡充するために、アジア圏での生産拠点を拡充する方針。現在中国には5つの生産拠点があるが、人件費の高騰等の問題も出てきたことから、ベトナム、インドネシアまで生産拠点を拡大している。
■今期業績予想は増収大幅増益を見込む、配当は500円の増配を予想
以上事業毎の詳しい説明の後で、今12年3月期の業績予想と今後の取組が紹介された。
今12年3月期連結業績予想は、売上高420億円(前期比0.8%増)、営業利益7億5000万円(同61.2%増)、経常利益6億5000万円(同28.7%増)、純利益3億5000万円(同33.8%増)と増収大幅増益を見込む。
配当金は、第2四半期末配当予想500円、期末配当予想1000円で年間配当金は1,500円と500円の増配を予想している。
今後の取組みとして、既存事業におけるマーケットシェアの拡大、パートナー企業の開拓、ストック収益の積み上げに注力する。
また、クラウド・モバイル関連商品の拡販、新規事業の開発と推進、東日本大震災からの復興を実施する。
更に、人材育成と優秀な人員の確保、適正なコストコントロール、コンプライアンス体制の強化を継続的に行うとしている。
前期は、大震災の影響で、3月は満足な営業活動が出来なかったこともあり、減益となったが、アライアンスを強化していることで、事業規模が更に拡大し、売上高は伸びている。更に、LED照明が加わり、今期よりフルに売上に貢献すると予想されることから、大幅増益が見込まれている。
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