2011年10月24日
ピックルスコーポレーションは兜町平和ビルで第2四半期決算説明会を開催
■関西・新工場の製造効率の改善、原料野菜の仕入れ価格安定で大幅増益
漬物業界の最大手、ピックルスコーポレーション<2925>(JQS)は、10月20日に兜町平和ビルで、第2四半期決算説明会を開催した。
代表取締役社長荻野芳朗氏による、第2四半期決算概要、通期業績予想、外部環境と今後の主な施策に関してそれぞれ説明が行われた。
第2四半期連結業績は、売上高11,042百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益721百万円(同2.87倍)、経常利益777百万円(同2.66倍)、純利益444百万円(同3.25倍)と減収ながら大幅増益を確保した。
売上高は微減であったが、これは今期より青果物の販売を取りやめた影響であることから、前期の青果物売上高522百万円を除くと実質増収といえる。
大幅増益の要因は、関西・新工場の製造効率が改善したことと、原料野菜である、胡瓜、白菜等の仕入れ価格が安定していたことが挙げられる。
■関西・新工場の営業利益は、前期の赤字から89百万円の黒字へ
関西・新工場の売上高は、1,729百万円と前年同期比17.2%増となった。営業利益については前年同期の88百万円の赤字から、89百万円の黒字を確保する等、2年目を迎え、製造効率の改善が進んだことにより、大幅増益となった。
原料野菜の仕入れ価格については、胡瓜の価格は、前年同月を100とすると、5月103、6月131、7月129であったが、3月63、4月49、8月93と前年同月を下回る月が多かったことから、平均すると94.6と前年の価格を下回った。白菜は、3月108、4月77、5月76、6月96、7月103、8月95であった。平均すると胡瓜と同じく92.5と前年を下回った。そのため、営業利益は過去最高となった。
品目別の売上高は、浅漬け・キムチ5,230百万円(前年同期比3.9%減)、惣菜1,409百万円(同31.0%増)、ふる漬け337百万円(同5.1%減)、漬物4,064百万円(同11.0%増)となっている。
販路別売上高は、外食・その他1,238百万円(同23.9%減)、コンビニ1,778百万円(同6.1%増)、量販店・問屋等8,025百万円(同3.5%増)であった。外食・その他の大幅減収は、先述しているように青果物を今期より取り扱わなくなったため、その影響による。
営業利益の変動要因は、前年同期の営業利益250百万円に、製品原価改善による売上総利益増444百万円、製品原価改善による売上総利益増83百万円、製品売上増による売上総利益増25百万円が加わる一方で、販管費の増加により60百万円の減、商品売上減少による売上総利益減22百万円が発生したことで、営業利益は先述しているように、721百万円と過去最高を達成した。
■純資産は大幅増益により6,117百万円と前年同期比371百万円増
販管費は、2,186百万円(同2.8%増)となった。その内訳は、運搬費1,032百万円(同4.6%減)、人件費623百万円(同2.0%増)、広告宣伝費162百万円(同50.2%増)、減価償却費24百万円(同5.0%増)、その他343百万円(同13.9%増)。
資産合計は、13,603百万円(同1,182百万円増)となっている。その内訳は、流動資産4,653百万円(同1,297百万円増)、固定資産8,950百万円(同114百万円減)。
流動負債は、買掛金の増加により5,013百万円(同848百万円増)、固定負債は2,472百万円(同37百万円減)、純資産は大幅増益により6,117百万円(同371百万円増)となった。
キャッシュ・フローについては、営業活動キャッシュ・フローは純利益が増加したことで937百万円(同576百万円増)、投資活動キャッシュ・フローは投資が一巡したことで△88百万円(同465百万円増)、財務活動のキャッシュ・フローは長期借入金の返済により△206百万円(同462百万円の減)となり、期末残高は1,804百万円(同857百万円増)となった。
東日本大震災の復興支援として、あしなが育英会へ25百万円の寄付を実施した。また、大口需要家に対する電力使用制限に対応し、自家発電装置の導入や生産体制の見直しを実施した。
■通期業績予想は増収大幅増益を見込む
第2四半期の概況説明の後、通期業績予想について説明が行われた。
今通期連結業績予想に関しては、売上高20,948百万円(前期比0.6%増)、営業利益1,106百万円(同91.4%増)、純利益1,161百万円(同86.0%増)、純利益671百万円(同83.9%増)と増収大幅増益を見込んでいる。
品目別の売上高予想は、浅漬け・キムチ10,375百万円(同0.5%増)、惣菜2,467百万円(同22.2%増)、ふる漬け674百万円(同1.1%減)、漬物7,431百万円(同2.9%増)。
販路別売上高予想は、外食・その他は青果物の売上が今期よりなくなるため1,798百万円(同23.1%減)、コンビニ3,250百万円(同3.4%増)、量販店・問屋等15,900百万円(同3.6%増)と見ている。
販管費については、4,229百万円(同4.3%増)。その内訳は、運搬費2,053百万円(同0.3%増)、人件費1,307百万円(同7.6%増)、広告宣伝費200百万円(同36.8%増)、減価償却費48百万円(同4.4%減)、その他619百万円(同4.8%増)。
設備投資については、関西・新工場の土地購入と工場建設で10年878百万円、11年997百万円と2年連続で設備投資費用が嵩んだが、今期は526百万円と大幅減を見込んでいる。減価償却費は、10年288百万円、11年377百万円であり、今期は394百万円と増加する見込み。
■漬物業界の市場規模は4,081億円、惣菜業界の市場規模は8兆2,154億円
続いて、外部環境と今後の主な施策についての説明が行われた。
漬物業界の市場規模は、2011年2月の工業統計によると、野菜漬物製造出荷額は4,081億円となっている。品目別の割合は、浅漬け30%、キムチ21%、梅干し13%、沢庵13%、福神漬け3%、刻み漬け4%、姿物1%、菜漬け2%、酢漬け8%、その他4%。
全国漬物協同組合連合の会員数は、94年は2000社を超えていたが、年々減少し、2011年は約1200社と半減している。その中で、売上のトップ5を見ると、ピックルスコーポレーション(単体)175億円、東海漬物173億円、秋本食品133億円、新進103億円、丸越90億円と同社がトップである。
惣菜業界の市場規模は、2004年7兆1,897億円、2005年7兆5,804億円、2006年7兆8,129億円、2007年7兆9,491億円、2008年8兆2,154億円と順調に伸びている。
2010年の惣菜の販売チャネル別構成比は、総合スーパー12%、食品スーパー24%、コンビニエンスストア26%、百貨店・専門店39%となっている。
■消費者の購買傾向は、低価格商品、少量化商品へのニーズが高まる
同社を取り巻く市場環境に関しては、震災の影響は、震災直後に、食品の確保に動いた消費者も多かったことから、同社の売上は伸びる結果となった。一方で、計画停電に対応するため、自家発電の導入を行っている。
量販店の販売環境は、既存店ベースでは前年割れが継続している厳しい環境である。また、消費者のニーズをとらえ、少量化、低価格のPB商品の拡充に努めている。一方で、売上拡大のために、新規出店を模索している。
消費者の購買傾向は、低価格商品、少量化商品へのニーズが高まっている。また、食品の安心・安全には極めて敏感となっている。
そのような状況の中で、同社では、消費者のニーズをとらえた商品の開発に努めている。量販店に対しては、他社との差別化商品の投入や、提案力の向上に注力している。また、新規取引先の開拓と共に、既存店の深耕に努めるとしている。
■売上の伸び率が最も高い総菜商品に関しては、ラインナップを強化
商品の販売戦略としては、11月から12月まで「ご飯がススムキムチ」シリーズの20%増量キャンペンを実施する。また、POPを使った売り場での提案、試食販売も行う。更に、焼きそば、シチュー、ツナ等の食品会社とキムチを使ったメニューを提案し、販売促進のためのコラボレーションも実施している。
商品開発戦略としては、「ご飯がススム」シリーズのメニューを拡充し、消費者の多様化するニーズに対応している。例えば、蓮根キムチ、うま辛キュウリ、しそ香る白菜漬け、ミニキムチ、生姜福神漬け、カレー福神漬け、ガーリッキュー、おかず生姜等が挙げられる。更に、8月より叙叙苑ポギキムチも販売している。
漬物以外の商品も開発している。例えば、「うどんのかけだれ」、「鍋の具」がある。「うどんのかけだれ」には、じゃじゃ麺風 甘辛味噌味、ゆずこしょう風味、「鍋の具」には、キムチの鍋の具、ごま豆乳鍋の具とそれぞれ2種類がある。
惣菜は、ナムルセット、そら豆、ピリ辛胡瓜、オクラのおひたし、冬野菜のマリネ、ふろふき大根等がある。
同社では、既存商品の継続的な改善に努めると共に、売上の伸び率が最も高い総菜商品に関しては、ラインナップの強化に努めている。
他社とのコラボレーション商品では、山芳製菓とのコラボ商品「ご飯がススムキムチ味ポテトチップ」、山田食品産業とのコラボ「キムチサラダうどん」もある。
■中国・四国地方の販売強化策として、広島県に営業所を設立
営業戦略としては、関西・新工場の生産能力がアップしたことから、中国地方、四国地方での販売強化を行うため、7月に広島県にピックルスコーポレーション関西 中・四国営業所を設立し、新規顧客の開拓に努めている。
今期は、第2四半期の営業利益が過去最高を記録しているように、順調に推移している。また、関西・新工場が黒字化したことで、全ての子会社が黒字化した。このような背景には、「ご飯がススムキムチ」が人気化し、ナショナルブランドに育ったことが挙げられる。売上も伸び、工場での大量生産が可能となり、生産効率がアップしてきたことが利益率の改善に繋がっている。今後も最高益更新の継続が予想される。
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