
同社は、約3年前の06年10月10日に中期経営戦略を発表している。競争力を付けるため、顧客の早期囲い込みを図り、料金体系を変更した。その結果、07年・08年4月期の業績予想を当初予想の黒字から赤字にするという苦しい決断であった。3年目を迎える今期は黒字転換になる計画。
スーパーデリバリーの会費売上と出展基本料は会員数の増加とともに積み上がる。一方、商品売上高は会員数の増加とともに増える傾向にある。したがって、会員小売店数、出展企業数、商材掲載数が順調に増え、前期の第4四半期で黒字転換しているため、今通期の黒字達成は確実といえる。
売上の主力は、スーパーデリバリーというネット上のプラットフォームを通じて行うBtoBビジネスで、商品売上が主な収入。商材はアパレル、雑貨が主である。
さて、第2四半期の業績は、売上高34億6600万円(前年同期比38.4%増)、営業利益4100万円(前年同期は△1億5100万円)、経常利益4100万円(同△1億5000万円)、純利益2400万円(同△1億5100万円)と大幅な増収効果により、特損1600万円を計上したものの黒字化を達成。
主力であるスーパーデリバリーの売上の内訳は、商品売上高29億7400万円(同42.0%増)、会員小売店向け売上高1億900万円(同52.4%増)、出展企業向け売上高1億4400万円(同107.2%増)と好調に伸びている。
スーパーデリバリーの経営指標(会員小売店・出展企業・商材掲載数)を見ると、会員小売店数2万260店舗(前期末比2687店舗増)、出展企業数941社(同64社増)、商材掲載数23万5261点(同4万4425点増)とこちらも好調。
キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー1億800万円、投資キャッシュ・フローはソフトウェア開発とソフトウェアの購入で△2400万円、財務キャッシュ・フローは短期借入金・長期借入金の返済と社債の償還で△5300万円となっている。すべて営業キャッシュ・フローの範囲内であり、理想的な事業運営といえる。現金及び現金同等物の期末残高は6億500万円。自己資本比率は49.25%(前年同期48.81%)と財務面での健全化も進んでいる。
一方、今期のこれまでの主なトピックスは、9月16日に「バイヤーズナビ」を開始したことである。出品型の新しいコンセプトで、集客力の高いサイトを目指している。出品企業は、問屋中心に13社でスタートしているする。したがって、「オンライン激安問屋」の問題点であった商材集めに苦慮することも無く、商材を保管する倉庫も必要としないことから、経費面での削減も実現。バイヤー(小売店)の会費は無料であることから、多くの集客が期待できる。また、「オンライン激安問屋」は10月末で終了。
通期業績予想は、売上高80億円(前期比45.5%増)、経常利益2億円(前期△1億7000万円)、純利益1億7000万円(同△1億7000万円)と大幅増収黒字転換を見込んでいる。
会員小売店、出展企業、商品掲載数が順調に伸びているので、今後利益は積み上がる一方、市場規模は大きいだけに今後の業績拡大に期待。
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